小川欽也監督 死去
2024-12-28
1964年の劇場用映画第一作『妾』以降400本以上のピンク映画を手掛けてきた小川欽也監督が2024年12月10日にご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
〈略歴〉1934年12月28日、京都府生まれ。父は歌舞伎俳優の中村時二郎で、自身も歌舞伎俳優を志すが断念し映画監督を目指す。中央大学経済学部卒業後、フリーの助監督として山本弘之、田口哲、倉田文人、小林悟、渡辺祐介、近江俊郎、曲谷守平、渡辺邦男、ブレーク・ストーンらにつく。ピンク映画第一号といわれる小林悟監督『肉体の市場』(62年)ではチーフ助監督を務めた。同年、テレビ映画『がんばれ!!大作』で監督デビュー。
64年、国映で劇場用映画『妾』を初監督。同作の成功によって大蔵映画で『雌 めす 牝』を撮り、これも大ヒットとなる。以降、大蔵映画を中心に、小川和久、小川卓寛、姿良三などの名義も使いながら、2020年までに400本以上のピンク映画を発表した。日活のお色気路線『女浮世風呂』(68年 井田探監督)では監修を務めた。94年には監督500本記念作として、松竹大船撮影所ロケを敢行した官能時代劇『秘技四十八手 枕絵のおんな』を発表、「枕絵こそがエロス」とい語る小川の集大成的な作品となった。女優を育てることにも定評があり、谷ナオミ、二条朱美、原悦子、三条まゆみ、水鳥川彩など多くの女優が小川作品で活躍した。助監督を務めた北沢幸雄、竹洞哲也は小川のプロデュースで監督デビューを果たしている。
また、「大蔵怪談」シリーズの『生首情痴事件』(67年)、『怪談バラバラ幽霊』(68年)でも高く評価された。85年には初の一般映画『乙女はいつか星になる』を手掛けた。
「第26回ピンク大賞」(2013年度)では監督デビュ−50周年の節目として「特別功労賞」が、「第28回日本映画批評家大賞」(2018年度)ではシルバー賞が贈られた。
〈主な映画監督作〉
妾(1964年 国映)
独立グラマー部隊(1964年 国映)
雌 めす 牝(1965年 大蔵)
女王蜂の欲情(1966年 大蔵)
禁じられた乳房(1966年 大蔵)
生首情痴事件(1967年 大蔵)
怪談バラバラ幽霊(1968年 大蔵)
いろ包丁(1973年 六邦映画)
人類の性典(1973年 大蔵)
新怪談色欲外道 お岩の怨霊四谷怪談(1976年 大蔵)
麻雀ポルノ パイパン合戦(1976年 大蔵)
売春グループ 花の予備軍(1977年 新東宝)
セックス・ナンバー 006は性番号(1978年 大蔵)
USAアニマル 華麗な性体験(1981年 大蔵)
痴漢ワイセツ電車(1983年 大蔵)
セックスサスペンス リズの熱い肌(1984年 大蔵)
乙女はいつか星になる(1985年 スター・ザ・ワールド)
痴漢電車 まゆみのお尻(1986年 大蔵)
光る少年(1989年 大蔵)
制服の告白 処女あげます(1990年 大蔵)
はめられて(1991年 大蔵)
ザ・変態ONANIE(1992年 Xces)
秘技四十八手 枕絵のおんな(1994年 大蔵)
痴漢 穴場びしょ濡れ(1996年 大蔵)
指戯 魔性の香り(1996年 ビームエンタテインメント Vシネマ)
OL 性の裏窓(2001年 オーピー)
淫欲怪談 美肉ハメしびれ(2004年 オーピー)
美女家庭教師の谷間レッスン(2012年 オーピー)
乱宴の宿 湯けむり未亡人(2013年 オーピー)
熟女の誘惑 入れ食いの宿(2018年 オーピー)
女ざかり 白く濡れた太股(2020年 オーピー)
参考:日本映画人名事典 監督篇(1996年 キネマ旬報社)
ドキュメント成人映画(1978年 ミリオン出版)
PINK HOLIC(2010年 Hoga Holic)
日本映画データベース http://www.jmdb.ne.jp/
写真は2002年「PG NO.91 追悼・小林悟」での取材時 撮影:松本知大
★上野オークラ劇場にて、2025/1/24(金)〜30(木)の期間、小川監督追悼企画として『怪談バラバラ幽霊』『生首情痴事件』が上映されます。(一部作品が変更になりました) http://www.okura-movie.co.jp/uenookura/