2007.10.28(日)

下北沢の新しい芝居小屋・楽園。トム・プロジェクトによる、鳳いく太作・演出『…彼岸にて』見る。2年以上ぶりの復活舞台。
期待以上のすばらしい芝居だった。久しぶりに本物の「演劇」を見た思い。終わっても、余りに深い感動と余韻にしばらく席を立ちたくなかったほど。
「雨の通夜。斎場に現れた不思議な娘をめぐって、遺族である三兄妹は、触れようともしなかった父母の青春を垣間見る…」という話。
鳳さんらしい、1時間20分ほどの決して長くはない、というか、短い芝居なのだが、あの密度の濃さはただごとではないのだ。
少女の正体が明らかになってくる時、舞台空間から立ち昇ってくるサスペンス。ホンと演出の凝縮力が見事。
相変わらずうまい小道具の見せ方。
洗練され、かつ劇的な芝居の見事さ。
これが、「芝居」だ!
4人の役者も全員適役。気持いいなあ…。
鳳いく太の復活を示して余りある傑作舞台であった。鳳さんは、ホンモノです。
芝居は「出会い」だ。オレは芝居に出会った。


2007.10.29(月)

地元のシネコンでまたもや映画をハシゴ。
『プレイブ・ワン』、『インベージョン』。
『ブレイブ・ワン』。ジョディ・フォスターは全く色気感じず好きな女優ではないが、役者としては駄作は少ないし、監督がニール・ジョーダンなので、少しは期待して見たが、これが期待以上の傑作だったのだ。
最近は何見ても面白くなくて(ピンクは別。つまりピンクは面白い)、ほとんど絶望していただけに、久々に映画っていいなと思った。
最近は子供のために戦う母親的なイメージが強くなっていたジョディが、ここでは一人の女として、ピストル片手に不条理な世界に戦いを挑んでいくのだ。
さすがニール・ジョーダン。ただの通俗的な犯罪映画になりかねないストーリーを、リアルにサスペンスフルに、かつおとなの情感あふれるラブ・ストーリーにまで仕立て上げている。見事な映画だ。
特にオレ的には、ラスト近く、ジョディと彼女を追いつめる黒人刑事がカフェで静かに対決するシーン。そのバックにBGMで薄く流れているのが、わがエルビス・プレスリーの「You Don't Me」というバラード。「あなたは私を知らない」だぜ。なんとせつなく、かつ適確にこのシーンを盛り上げていたことか。オレはもうたまりませんでしたね。
『インベージョン』。もう勝手にしてよって感じの映画ね。


2007.10.30(火)

五代親子と、ここ5年ほど恒例のディズニー・ランド・ツアー。初日の今日はディズニー・ランドの方ね。ハロウィンということで人だらけ。アトラクションは当たり前に2時間待ち。並ぶの大キライなオレはもうブチ切れて、もう2度とディズニー・ランドなんかにくるものかと思ったのだった。


2007.10.31(水)

2日目の今日は、ディズニー・シーの方ね。ランドとはうってかわってガラ空き。全てのアトラクションがほとんど並ぶことなく乗りほうだい。いや〜、最高でした。朝の10時から夜の8時までたっぷり遊びました。サイコーでした。また来たいと思ったのだった。


2007.11.1(木)

待望の後藤大輔脚本「NEXT」の初稿上がる。一読。ワクワクもの。一人のピンク映画監督の現実と夢と幻想。そして、その胸に去来する悔恨と、かすかな希望…。「後藤ちゃん、『8 1/2』みたいのやりたいんだよね」と言った言葉そのままの世界観のホンがここに提示されたのだ。スゴい!
しかし、気がかりなのは、会社側(新東宝)の反応。はっきり言って、会社が一番いやがる構造のホンなのだ。いわく、「一人よがりはやめて下さい」、いわく、「お客さんは誰一人ついていけませんよ」等々…。
しかも、後藤ちゃんは今日から韓国での「ピンク映画祭」に出かけてしまい、4日までいない。感想も言ってないぜ。
さて、どうなる?


2007.11.2(金)

思ったとおり、というか、より過剰なリアクションが会社から来た。なんてったって、第一声が「これはムリでしょ。撮らせませんよ」だからね
やはり、そうきたか。
ハイ、そうですか、というわけにもいかない。オレはくいさがった。その流れの中で、死を目前にした老ピンク映画監督の夢と幻想の物語にしたらどうか…という話になる。それなら、ずっと分かりやすくなり、一人の老人の人生が客観視されることになり、観客も感情移入しやすいのでは…と。
会社もやっと乗ってきてくれて、あとは後藤氏の帰国を待って、全てを決めましょうとなる。
ハラハラ、ドキドキだ。


2007.11.4(日)

後藤大輔、帰国。深夜、連絡とれる。経過と直しの方向性を語り、明日5日新東宝でプロデューサーと対決ねと語る。


2007.11.5(月)

新東宝にて、会社側プロデューサー、後藤ちゃん、オレとのホン直しの打ち合わせ。
後藤ちゃん、納得してくれ、流れに光が射す。
その後は、3人で、最後には後藤ちゃんと2人で痛飲。


2007.11.7(水)

『NEXT』第2稿上がる。
さすが後藤ちゃん。分かりやすく、さらに面白くなる。
電話で、直しの打ち合わせ。


2007.11.8(木)

『NEXT』第3稿。
もう、これでどうだって感じだ。
会社はまだ少し言ってくるとこあるけど、後藤ちゃんはもう書き直す気はないと言う。あとは監督判断で好きにして下さいとまで言う。
よし、決まった。これで決定稿だ。
今回は『NEXT』。はっきり言って、こういうテーマと構造のホンて、オレやったことないんじゃないかな? 101本目にして新たなチャレンジだ。なんかいいなあ…。


2007.11.9(金)

1月オーピー作品のプロット出来てくる。会社からは「未亡人もの」ないしは「若妻もの」をやってくれと言われていた。先日の打ち合わせで「未亡人民宿」なるアイデアが出て来て、そのプロット。
が、しかし、今ひとつ面白くない。五代からは、アナタが言うとおり書いたのよ、と怒られたが、つまらいものはつまらない。
んー、どうしようか…。一応、会社に送ってみるか…。


2007.11.10(土)

久々に新宿国際。大西くんのデビュー作見るのが目的。
お、いつもより音がよく聞こえる。どうして? 何かやったのかな? すぐ気づいた。空調が動いてない。ああ、そのせいか。
しばし…。いや、ついこの間までは空調が動いてなくても音が聞こえてこないというイラダチがあった。しかし、今日は以前ほどのイラタチは感じない。
これは、やはり、国際の音が少し良くなったのではないか…? うん、そうだ。そう思いたい。
で、大西くんの映画だけど、相変わらずの国映イズムって印象だ。
オレもピンクの世界の住人だ。しかし、映画の世界の住人でもある。だから、ピンクがなくても、映画があればオレは充分楽しめるつもりだ。しかし、ピンクはもちろんのこと、映画もオレには弱いと感じた。届いて来ないのだ。
見終ってロビーで、その映画のポスターをオレはしげしげと眺めていた。少しハラが立っていたのだった。女のコは2人出ていた。普通のピンクより1人少ない。これにも少しはムッとした。しかしそれ以上にムッとしたのは2人の女のコのうちのオッパイの大きいおいしそうなコのからみがほとんどなかったことにだ。そのコの大きいオッパイが画面いっぱいに踊る瞬間を今か今かと待っていたのに、ついにはその瞬間が訪れることがなかったことにだ。
そんなわけで、なごりおしそうにポスターのそのコのオッパイを見てたってわけね。
いきなり声をかけられた。「失礼ですが、俳優さんで、監督もやっていられる方ですよね?」と。
見ると、60代半ばくらい感じのえらいハデなカッコした紳士。思うに、あの辺りの飲食店をいくつも経営してる遊び人のオヤジね。
オレもヘンなヤツはいやだけど、品のいいものごしの人だったので、つい、30分ほど話し込んでしまったよ。
そのオヤジさん、週に2〜3回は国際に来てるという。本人いわく「主みたいなもんですよ」。その証拠にオレたちの目の前を横切るお客さんたちが、みんなそのオヤジさんにアイサツしていくんだな。
そういう人との会話だもん、それは面白いよね。オレがここでは書けないようなことも遠りよがちにズバズバ言ってくれてね。例えば、オレがポスターを見ていたわけを言ったら、「その通りです!」。
その方とも親しくなりたかったが、オレはそのと約束があったのだ。またお会いしましょうと、その人と別れる。
その約束とは…。前作『小鳥の水浴』の主演・日高ゆりあと会う約束してたのだ。
ゆりあは初号見に来たけど、仕事の合間をぬって来たということで、打ち上げには顔出せなかった。
オーピーの評価も高かったことだし、ゆりあ、ここはひとつ2人だけの打ち上げやろうよ、と言っていて、その約束であったのだ。
高円寺で夜10時頃会い、それから何軒行ったことか。朝6時頃、ゆりあはタクシーで帰っていった。2人ともベロベロであった。
ホント、ゆりあには感謝している。色んな意味でね。オレの女神だよ。


2007.11.11(日)

野村貴浩所属のご存知劇団め組の芝居見物。下北沢、劇小劇場。
ゆりあ、いく日か前に見に行っているのだが、もう一度見たいということで、この日もゆりあと一緒。
今回のめ組は「義経」だ。
いつもながら、きたえられた役者たちによる、凛とした気迫漲る美しい舞台であった。このスタイルでのめ組の芝居はほぼ完成形に近いのではなかろうか?
しかし、衝撃がないのだ。真の意味での衝撃が…。
いつも思うことだが、オレが芝居に求めるものは、真の意味での「衝撃」「感動」「キレイがキタナイ」「キタナイがキレイ」の世界観だ。
5、6年前に初めてめ組を見た時には、それを感じたのだ。しかし、以後10本以上見てると思うが、あの時の衝撃は味わえない。
美しいだけの舞台は、やはりなにか物足りないのだ。


2007.11.12(月)

「映画芸術」のイベントに行く。よく知らないのだが、映画の上映会ね。そして、トークショー。
今回の上映作品は、新東宝のプロデューサー福ちゃんの監督デビュー作『連続不倫』。
この作品は1年前の初号の時にもオレは最大の評価をしたものだが、今見ても、その評価にはいささかの揺るぎもなかった。緊迫感あふれるメロドラマ、情痴ドラマの傑作です。
ちなみに、オレも出てる。思えばこの作品からオレの2007年の快進撃が始まったのだ。オレにとっても、その意味では忘れられない重要な作品となった。


2007.11.13(火)

『Next』決定稿上がる。
後藤ちゃん、いく日か前は「もう直しませんよ」と言っていたのに、読むとまたかなり直している。そして、さらに本質的なものに迫っている。
スゴイホンが出来た。
作品の成功を祈って二人で6時間も呑む。
オレの101本目の映画『Next』。まさにnextなのだ。うまくいったら、これはスゴイ映画になる。


2007.11.14(水)

助監督中川と初の打ち合わせ。『Next』印刷所に入稿。
深町組初号『やりたがる女4人』見る。
昔、『告白的女優論』という吉田喜重の映画があったが、今回の深町組はまさに「血液型女優論」て感じだね。4人の女性が何型だろうか?と思いながら見ると、さらに楽しめます。


2007.11.15(木)〜16(金)

オレの監督100本を記念してスタッフ有志がオレを熱海旅行に招待してくれた。なんともありがたく、感謝であります。
そのメンバー4人。録音技師でシネキャビンのオーナーの中村さん、編集の酒井さん、俳優のなかみつくん、助監督の中川です。
うち、中村さんと酒井さんはオレの100本全てにかかわってくれている唯一の2人。なかみつくんは、オレの3本目の『剃毛緊縛魔』以来、オレの組のレギュラーとなり、監督、役者としてはもう15年以上もつき合っているという、監督・池島としては最も長い付き合いの俳優さん。中川はここ3年のオレの全作品で助監督をして、オレの今現在を支えてくれているヤツ。という、とても濃い4人組。
オレは生まれて初めて釣りをした。一匹釣った。
15日の夜はしとど酔い、久々に記憶を飛ばした。
ただただ感謝であります。


2007.11.17(土)

『Next』印刷台本上がる。シネキャビン集合。ほとんどの役者が顔を出してくれた。その数、10人。すごいね。
打ち合わせ後、呑み会。またもや朝まで呑んでしまう。しかしオレはもはやつぶれることなく、朝の電車で帰宅。


2007.11.18(日)

小林悟監督七回忌。
どうぞ、『Next』見守って下さいと手を合わせる。


2007.11.19(月)

三五館にて「ピンク映画本」の打ち合わせ。ピンク映画第一号と言われている小林悟監督『肉体の市場』を付録のDVDに収録するというアイデアが実現化の運びとなる。まさに今回のホンにピッタリのアイデア。先にこのアイデアを思いついてくれた中村勝則氏に感謝です。


2007.11.22(木)

『Next』ロケハン。朝8時新宿集合。都内のスタジオをぐるぐるまわり、最後は高円寺でオープン・ロケの場所を決める。
終了、夕方4時。新東宝へ向かう。
夕方5時より、新東宝にて役者の衣裳合わせ、本読み。衣裳合わせにずい分時間がとられ、本読み一回しか出来ず。
終了、夜9時半。
終了後、脚本の後藤大輔氏、役者の牧村耕次、倖田李梨、日高ゆりあと飲み会。


2007.11.23(金)

この日からコンテやるかということだが、例によってエンジンかからず、今回の作品のモトになったフェリーニの『81/2』やゴダール『気狂いピエロ』などを再見して時間をつぶす。


2007.11.24(土)

1月クランクイン予定のオーピー作品『未亡人民宿』のプロットの直しが上がる。だいぶよくなっている。


2007.11.25(日)〜27(火)

一回目のコンテ。
最近は現場もそうだが、コンテもだいぶ早くなってきて、以前はいく日もかけてたものだが、最近は1日か2日でやっつけていた。それが今回は3日かかった。理由はふたつ。ひとつはホンが長い。もうひとつは、難しい。その難しさは、Hシーンも全てコンテやらなくてはならないというところにもある。最近は、Hシーンはよほどのねらいがない限りはコンテなんてやらず、ほとんど現場でサクサクやるというのがパターンであったということを思うと、やはり今回は難しいのだ。


2007.11.28(水)

キャメラマンの志賀ちゃん、演出部とコンテ打ち合わせ。
ここまでで、実質的にはイン前のオレの作業の7〜8割は終わっているといえる。


2007.11.29(木)〜30(金)

二回目のコンテ。これでほぼ固まる。現場で何か起こっても大丈夫だという自信をつけるには、この固めるということが逆にとても重要なのだ。


2007.12.1(土)

クランクイン前日。いつものように何もしないで、静かに時を待つ。


2007.12.2(日)〜5(水)

新東宝作品『Next』撮影。
前に言ってるかもしれないが、今回の作品は、オレの101本目の映画だ。その101本目に『Next』という仮題をつけてくれた後藤大輔氏のセンスはさすがと言うしかない。
10月15日に後藤ちゃんに会って、初めて正式に依頼したのだが、その時は、フェリーニの『8 1/2』みたいなものやれないかな?…だった。あとは丸投げ。どんなものが上がるか、不安と期待が相半ばした。
二週間後、初稿が上がった。オレたちの『8 1/2』だと感じた。
その後、数度の改稿を経て、11月13日に決定稿上がった。オレたちの『8 1/2』になったと思った。あとは、どう撮るか…だ。
丸投げしてから完成まで1ヵ月もたっていない。これもさすがだと思う。
内容は、死を目前にした病床の老ピンク映画監督の混濁した意識の中を去来する夢と幻想のお話です。
キャスティング。その老ピンク映画監督に牧村耕次(今回の彼は、30代から60代までを演じる)。その青年時代を千葉尚之。彼の人生の女たちに倖田李梨、青山えりな(2人ともにオレの組、初出演)。他に、川瀬陽太、なかみつせいじ、野村貴浩、大場一魅、樹カズ…そして、ジミー土田!(ジミーは、もちろんオレの組、初登場にして、ピンク出演も8、9年ぶりだって)。そして、役名「映画」役に、オレの組の女神、日高ゆりあ。
エキストラも多くて、総勢20人。その中には、久保新二、華沢レモン、春咲いつか、銀治…なども混じっているというゴーカさ!
まさに、100本記念、パート2、『Next』というしかない御膳立ては用意された。
あとは、どう撮るか。現場が、どう転がってゆくかだ…。

初日。12月2日。
今回の作品のある意味での主役だろう。シネ・キャビンでのロケからスタート。
(シネ・キャビン。93年の初頭からスタートした録音スタジオ。オレはそのスタート時からかかわっている。オレの作品ナンバーの中では、8作目の『裏本番 嗅ぐ』からのかかわり。以後、今回の『Next』まで94本ここでやっているということだ。最初の1年くらいは、オレと小林悟かんとくだけがここのスタジオを利用していて、スタジオのスケジュール表は真っ白に近かった。それが今や基本的にはピンク映画の録音スタジオはここしかないという状況となり、スケジュール表は真っ黒に近くなり、2ヶ月先のスケジュール押さえも場合によってはきびしいという状況となっている。スタジオのオーナー兼技師は業界屈指の名物男・中村さん。中村さん主催による「納涼会」「忘年会」は今や業界の中での重要な行事となっている。)
朝7時半、シネ・キャビン集合。スタジオの全てを使って7シーン。終了(何時だったろう? 今となっては(今は1月7日)よく分からない。いつもはけっこうおぼえているものなのですが…たぶん夕方の4時とか5時6時頃だったのでは?)
終了後、某シティホテルへ移動。からみ芝居からみ芝居…の全8シーン。室内は異様な暑さで、いや〜しんどかった。ホント、つらかった。かつて経験したことないほどのつらさだった。終了、翌朝3時半。
ヘロヘロになったが、終わるやいなや元気になるのがオレたち映画屋。そのままホテル泊となったオレ、日高ゆりあ、牧村耕次と、そりゃあ飲むよね。
飲み、終了、朝の6時半。少し寝ようとベッドに入った。

2日目。12月3日。
9時新宿集合。オレたち3人とも1、2時間の仮眠で集合場所に向かうも、天気予報どおりの小雨模様。この日は九十九里浜で日が落ちるまでの大ロケーションをするという日。はっきり言って、今回の作品の大主役と言っていいのが九十九里浜なのだ。
キャメラマン、助監督たちと協議すること、小一時間。「決行!」とオレの決定がくだる。九十九里浜に向かいだすロケ隊。しかし、オレの心は重い。今回の九十九里浜は、雲ひとつないホントウの青空がねらいであったのだ。こんな雲空、雨空でいいのか? しかし、過去100本、いついかなる時も、その日の撮影をバラしたことは一度もない。なんとかなるだろう…と出発したのだった。
しかし、お台場のあたりで雨足強くなる。その瞬間、心は決まった。
今日は、やめ!
新宿に引き返す。
オレの心の中にひとつの確信が生まれたのだ。今日やめた方がいい。4日目でやれないことはないのだ。きっといい結果になるにちがいない…という確信が。
新宿にもどり、再びスタッフと今後のことを協議。昼頃、解散となった。
家に帰り、夕方頃眠りにつく。
(今回の作品は久しぶりの4日撮りのスケジュールなのだ。3日で無理すればやれないことはないが、今回は最初から4日にしていた。なぜなら4日撮りは予算的に無理だから普段は出来なくなってきたのだが、今回は今年のピンク大賞で監督賞をもらい、その副賞でピンク映画一本分に当たるフィルム20本をいただけることになり、つまり、フィルム代がタダ、余裕が出来た…そんなわけで、今回は4日のスケジュールにしたということだ。2日目バラしたので、結局は3日撮りといういつものことになったのだが、この日の休養が結果的に大きいものになったのだった。)

3日目。12月4日。
10時間くらい眠った。午前の2時頃目を覚ます。ホントよく寝た。初日の疲れもとれた。
朝7時半新宿集合。
板橋のKさんのアパートへ。Kさんはいわゆる映画狂人。今年はKさんのアパートで3回もお世話になった。感謝感謝です。
そこで、とてつもなくヘビーな数シーン。
終了、夕方5時頃。もはや外は暗い。
そのあと、オープンがいっぱつだったが、日が落ちた。どうしよう?…と考えていたら、今回も現場だけ来てくれた田中康文が「このあとのスワットの現場近くにロケ可能な坂道がありますよ」と言って来た。
その場所へ移動! すばらしい! 明るいし、坂道自体、実に映画的。華沢レモン、春咲いつからのエキストラも10人ほど集合。ねらいどおりの感じでやれる。
落合のスワット。劇団のケイコ場のシーンを5シーン。10時撤収。
高円寺南口へ移動。オープン5シーン。ここでも、あるシーン撮り終えた直後、アーケードの電飾が消えてしまい、ギリギリそのシーンがやれたというラッキーにめぐまれる。
終了、午前1時半。
2時半、梅ヶ丘の事務所着。4時までシャワー、ビールですごす。1時間半仮眠。

4日目。12月5日。
朝7時新宿集合。
勝負の日。
まずは2日目出来なかった九十九里浜ロケから。雲ひとつないピーカン。すごい! やはりこうなった!
夕方4時頃までの日が落ちる寸前までの大ロケーション、映画ゴッコ。「映画」が立ち昇ってくるかのようなコーフンと感動をおぼえつつ…。
新宿抜弁天のTスタジオへ。夜7時半着。十数シーンをガンガン撮り進める。
終了、深夜2時。
初日以来のシネ・キャビンへ移動。
スクリーン撮り、小物撮り、ビデオ撮り、タイトル撮り…終了、朝の7時。
まさに24時間ノン・ストップ。2日目、休めたので、最後の最後までパワーが持続した。
結果オーライ。
こうして、オレの101本目『Next』の現場は終わったのだった。


2007.12.6(木)

朝8時過ぎ、自宅にもどる。
1月中旬クランクイン予定の次回作『未亡人民宿』の初稿が五代暁子からFAXされていた。
昼頃までビール飲みながら、シャワー浴びたり、洗たくしたりしてすごす。
昼過ぎ、ベッドに入る。とてつもない幸福感とともに眠りにつく。


2007.12.7(金)

『Next』編集。
いいじゃん、いいじゃん…って感じ。
しかし、尺は69分50秒となる。新東宝からは62分30秒まではOKと言われているが、7分20秒以上カットしなくてはならない。いつものことだけど、今回はHシーンの尺が基本的に短いので、かなり悩まなくてはいけない予感が…。


2007.12.8(土)

『未亡人民宿』さっそく五代とホン直しの打ち合わせ。気が全く入らない。まいった。


2007.12.10(月)

オールラッシュ。再編集。
ラッシュ後、新東宝プロデューサー福ちゃんから「商業映画になってますよ。内容的には、ラッシュだけでこれだけ面白いんだから、これはかなりすごいんじゃないですか」と言われ、ホッとすると同時に、大いなる自信ともなる。
再編集。大胆にかつ繊細にやった結果、6分30秒ほど切れた。あと、50秒だ。なんとかなるだろう。
夜。『Next』脚本の後藤大輔と会い、痛飲。後藤ちゃんは、ホント、すばらしいホンをオレに与えてくれたと思うのだ。