2006/12/3(日)〜5(火)

オーピー・ゲイ映画『奏愛のクロスロード』撮影。(いいタイトルつけてくれたね。クロスロードってのが、内容をうまく暗示してくれている。)

初日。
朝7時半。例によって新宿西口集合。
東京女子医大周辺で2シーン。オレもワンシーン出演(得意の医者役)。星沢マリくんが看護師役で特別出演。
渋谷246の地下道でワンシーン。
阿佐ヶ谷へ移動。バーのシーンで「スターダスト」を久しぶりに借りているのだ。午後1時からの予定。阿佐ヶ谷到着午前11時。なんと2時間もある。こんなムダな時間のすごし方オレたちピンク屋はなれてないので、急遽ママにTELして12時半にお店あけてもらうことにする。それでも1時間半もの昼休みとなる。
12時半から「スターダスト」でロケ。実景2つ含め7シーン。夕方5時頃には終了。
新宿へ移動。某シティホテルに入る。
からみワンシーン。イメージのからみワンシーン。終了22時。
オレはそのままホテル泊となり、一人、3時頃まで飲んでいたのだが、そんなことは言うまでもないことだろう。
この日のハイライトは、本多菊次朗の役者ぶりにつきる。ハッキリ言って、役の解釈、メイキャップ、衣裳プランに至るまで、ほぼカンペキないで立ちで現場に到着した。役者たるもの、こうじゃなくちゃ。カワイイよね…。

2日目。
朝7時半新宿集合。
今日は高円寺のスタジオのみ。移動はないのでラクだが、台本全体の半分強がこの日に集中している。ダンドリうまく運ばなくては、たいへんなことになる。でも、オレ。うまくいけば、夜中の2時。ヘタしても明け方4時頃には終わるだろうとのヨミ。
新人男優・山口慎次クン初登場の日(そういえばカレ、昨日も家が近所とかで女子医大の撮影見に来てたな。そういう熱意、オレは好きだ)。
スタジオ前の歩道橋、歩道などで4シーン。さすがに山口クン、緊張していて、表情固い。でも、それが生きるシチュエーションだし、ほとんど引きのカットなので、ノーモンダイ。
午前10時頃から、スタジオ内のみでの撮影となる。Hシーン4つ。オナニーひとつ含む、全18シーンの開始。
Hシーンも多いが、作品のヘソとなる芝居のシーンもこの日に集中してるんだよね。オレも考えたし、撮影の志賀ちゃんも例によってテキカクなフォローしてくれたけど、やはり、役者、役者にかけるしかない。
山口クン、とても頑張ってくれた。ツラとかコエとか素材もいい。今後、オレのレギュラーになることだろう。
樹カズ。不安だ。だが頑張ってくれたと思う。でもな、と思う。キャラ考えてみろよ。オレを不安がらせたり、頑張ったからよし、なんて思わせちゃダメだよ。オレを面白がらせてくれなくちゃ。長いこと付き合ってるコだから、オレもついカラクチになるのかもしれないけど、カズにはもっとハジけて欲しいのよね。
あとはカラミだけの出番だけど、新人のムーミンくん、もはやベテランの正一、そして最近のオレのオキニの野村くん、みんなそれぞれ個性的でよかったな。特に野村クン。さすがだよ。舞台できたえている人は違うな。ということね。すばらしいです。ムーミンクン。今後に期待、と思える個性がある。正一。相変わらず、カワイイ。
てなわけで、こだわるシーンはこだわりつつもテンポよく進み、終了。深夜2時半。ほぼオレのヨミどおりね。
最終日。
昼の12時新宿集合。中央公園及びその周辺で5シーン。
北新宿公園でラストシーン。
実景班を別に、オレと役者たちは石神井の樹カズのアパートへ移動。
夕方5時過ぎくらいからカズのアパートで3シーン。それなりにじっくりやる。
終了、夜9時。
今回の現場の印象。思った以上にサクサクといって、その点はラクな現場だった。でも手応えはある。イケメンぞろいだし、仕上げが楽しみだ。

2006/12/6(水)

で、オレの現場の翌日、名古屋ロケも生々しい荒木組の初号試写ね。
この作品に関しての感想批評はみなさまにゆだねます。
オレの書きたいことは今はただひとつ(詳しくは前回の日記に書いてます。そちらをごらんあれ)、オレはシアワセだった。あのいく日間、オレはまさに、「映画の胎内」にいたのだった。それだけです。
打ち上げは、脚本家監督もして太郎ちゃんの盟友・内藤忠司宅。
こういうのもいいな。
ふと、思う。オレ、今回の荒木組って、昔の演劇青年時代の血がたぎったって感じなんだけど、内藤さん宅での打ち上げは、まるで当時の、芝居が終って、いく日かして、反省会をかねて座長の家に集まって酒を飲みかわす…そんな感じがして、これもいいなと思ったのかもね。

2006/12/7(木)

編集。65分36秒。ラッキー。5分弱切ればいいということ。ホッとする。
今回オレの組にしては異常にフィルムが回らず、17本半でおさまったんだよね。普段は19から20本。多くて22本くらいというのがここ数年のパターンなんだけど、18本いかなかったなんて、10年以上前のエクセス時代に一度あったかどうかというくらいなので、ひょっとしたら、今までの90数本の中で最もフィルムは回らなかった作品かもしれないな。

2006/12/8(金)

オールラッシュ。ラッシュ後の再編集でサクサクと61分7秒までもってくる。あと、10秒切ればOK。

2006/12/9(土)

阿佐ヶ谷のザムザで『サノラソウ』という芝居見る。業界関係では、佐々木基子、野村貴浩が出演。
気取りすぎ。底が浅い。オレには今ひとつ届かない芝居ではあった。
でも野村くんにとってはよかったと思う。役者。野村貴浩にとっては、ベースである「め組」以外の舞台を踏むということが刺激的であるし、オレとしても、彼にはドンドン機会あれば、「め組」以外の経験をつんで欲しいと思うからだ。
オレは自分の経験もふまえて思うけど、役者は何でもやった方がいい。演劇なるものの全てのジャンルをひとつでも多く経験しておいた方がいいと思うのだ。

2006/12/10(日)

アフレコ。野村くんが舞台の本番中なので、普段より一時間早く9時開始となる。
終了、夜8時半。最近早いな。オレの組の場合、テッペンまでいくというのが大体のパターンだったんで、8時半なんて、単純にビックリする。
いつものパターンだと、朝まで飲み会なんだけど、今回は翌日のことがあり、12時半で解散という、これも珍しいことではあった。

2006/12/11(月)

午後2時。新東宝の福ちゃんと会って、1月新東宝作品の企画打ち合わせ(そういうことで前日に異例に早く切り上げたというわけね)。
企画、決まる。
内容は一言で言うと、結婚を控えた女が、過去の自分と「サヨナラ」する旅に出る…という話。
4時から深町組初号試写を見る。面白い。

2006/12/12(火)

ダビング。
大場一魅の音楽、例によってすばらしい。終了、夜10時。いい。んー。いいよ。
やっと、心おきなく朝まで飲める。

2006/12/15(金)

『奏愛のクロスロード』初号試写。

2006/12/16(土)

新東宝1月作品・仮題『いそがしい旅』初稿上がる。脚本・五代暁子。

2006/12/17(日)

さっそく五代と脚本直しの打ち合わせ。

2006/12/19(火)

新東宝、福ちゃんと会い、脚本直しの打ち合わせ。さらに五代と会い、脚本直しの打ち合わせ。
そのさい、五代から次回オーピー作品の初稿も出来ていると渡される(今春公開の『昭和エロ浪漫』の続編。1月撮影予定。2月にならんか…)。

2006/12/20(水)

『奏愛のクロスロード』映倫試写。
オーピー映画のS氏と、『続・昭和エロ浪漫』の脚本直しの打ち合わせ。撮影は2月でOKということで少しホッとする。
新東宝『いそがしい旅』第2稿上がる。

2006/12/21(木)

白井里佳さんのユニット「コリン」のライブ。高円寺「アリア」にて。
しとど飲む。気がついたら翌日の7時。オレはいったい誰とこんなに飲んでいたのだろう? 今、思い出した。瀬川くんがいたな…。

2006/12/22(金)

18時起床。あせってデスクワーク。

2006/12/23(土)

新東宝『いそがしい旅』決定稿上がる。
五代とオーピー『続・昭和エロ浪漫』脚本直しの打ち合わせ。

2006/12/24(日)

新東宝『いそがしい旅』印刷屋に入稿。
シネ・キャビンの中村さん、梅ちゃんと飲む。久々に久保新二さんとも会う。

2006/12/25(月)

久々にAVに男優として出ることになり、その打ち合わせ。メーカーは泣く子もだまるSMの「アートビデオ」。撮影は28日。
夜。五代宅でクリスマス・パーティ。つぶらが産まれてからは毎年恒例ね。

2006/12/26(火)

新東宝『いそがしい旅』印刷台本上がる。冬とは思えぬ大雨の中出かけて行って、助監督の中川と打ち合わせ。
下北沢・駅前劇場にて春咲いつかが出演している若宮優子プロデュース『たまてばこ、ほら』という芝居見る。テーマはズバリ「北朝鮮による拉致問題。そのせいか、会場にはカメラ片手のマスコミ陣がチラホラ。でも、芝居はダメだったなあ。ホンが特にダメでしょ。とても芝居のホンとは思えません。

2006/12/27(水)

1月作品のスケジュール表作成、台本発送とバタバタと片づけ、阿佐ヶ谷のザムザへ。かわさきひろゆき構成演出による『DONZOKO』見る。
はっきり言って素晴らしい出来だった。
オレと川崎くんは20何年の付き合いになる。今までの彼の芝居はほとんど見ているし、一緒にやったこともずい分ある。
ここ数年、芝居に対するモチベーションが低下する一方で、雑にもなるばかりであった彼に「もうやめたら」なんてひどいことも言ったことがある。
ところが去年の夏、下北沢のシネマ・アートンでやった役者かわさきと里見瑤子による2人芝居『小鳥の水浴』が素晴らしい出来で、役者かわさきは死んでなかった認識させられたものであった。
で、今回の『DONZOKO』だが、演出者かわさきとしての最高傑作であった。
ゴーリキーのホン、かわさきの演出、そして役者たちの演技…全部そろった。
特に前半がよかった。ただ後半に入ると、役者の息切れも目立つし、芝居としてもゆるんでくる。もう一工夫欲しいね。
役者では、ベテラン町田政則、超ベテラン森章二氏の2人の存在感が圧倒的。特に町田さんはたまにしか出てこない役なので、次の出番が待ち遠しいほどに魅力的であった(木賃宿の亭主役ね)。女優では、その女房役をやった西入美咲さんがよかった。あの役に必要な色気を持った女優さんだと思った。
他の役者さんたちも、みんな大熱演でね、ほんとに熱い演劇であった。でもね、ただ熱演するだけでなく、町田さんや森さんのように人間的な魅力まで感じさせてくれるまでになって欲しいよね。そしたら本物。
それにしても、町田さん、ピンクで何度か見たことあったけど、オレ、大ファンになってしまいましたよ。それに、西入美咲さんね。これから気にしよう。
スターダストで大音量のコルトレーンに酔ってくると、川崎くんからTEL。打ち上げに行く。いい芝居見たあとだし朝までコースしたかったけど、明日久々のAV出演なので泣く泣く最終電車で帰ったのだった。

2006/12/28(木)

何年ぶりかのAV出演。SMのアートビデオ。20年以上前から数年前まで、ここのビデオはずい分出たものだ。女優も何人かゲットしたしね。例えば水原香菜恵ともここで初めて会ってクドいたしね。数年前オレの『デリヘル嬢 絹肌のうるおい』で新人賞取った真咲紀子もここで会ったものだ。
数年前まではそれなりにしっかりしたSMドラマ作りをしていたものだが、御時世か、今やすっかりドキュメントになっていた。
オレも今回は、カレンな少女をひたすらいたぶるだけのSオヤジであった。
久しぶりだし、過激なSMだしで、最初は少しは不安もあったのだが、不思議なもので始めるとあっという間に以前のノリのオレになっている。自転車みたいなもんだね。何年乗ってなくても乗れちゃうみたいな。
それにしても現場は楽しい。オレってしみじみ現場大好き人間なんだと思う。
打ち上げで焼肉屋。アートの打ち上げって昔からゴーセイ。相変わらずだ。帰りはまだ電車の走っている時間だというのに、国分寺までのタクシー代まで出る。いいなァ…アートビデオ。楽しかった。また出たい。

2006/12/29(金)

恒例のシネ・キャビン忘年会。

2006/12/30(土)〜31(日)

疲れがドッと出る。11月の荒木組からほとんど休みなくここまで来たせいかな。珍しく外出しないで、ほとんど家でゴロゴロすごす。
今年も楽しい一年であった。
来年も楽しい一年であることを願う。

オレの今年の大事件「猫が消えた」。
オレは猫を二匹飼ってた。一匹はタドン(16才・牝の黒猫だからタドン)。もう一匹がランチ(13才・牝。牧場(ランチ)の牛の模様だからランチ)。
9月14日、芝居とライブを見て、深夜帰宅すると、タドがいない。牝だから夜さまようことはあるが、去年大病して2週間ほど入院してからはすっかりおとろえてしまい、最近は家で一人ポツンとしてることが多かったので、「オヤ?」と思った。
翌日、朝もいない。「オヤオヤ、マサカ…」。編集、後藤組初号、打ち上げで、深夜帰宅。いない。消えたままだ。
死んだのだと思った。
猫は消えるというけど、ホントだった。
9月は8日から12日の夜まで『痴漢電車 濡れ初めは夢心地』の撮影でオレは家にいなかったのだ。だからヤツの気持を想像すると、12日の夜オレに会って、やっと帰って来たかと安心し、13日は一日中一緒にいてヤツなりにケジメをつけ、14日、夕方オレが出かけるや、ランチに別れを告げ出ていったにちがいない。
そう思うと、愛おしくて、泣けてくるよ。
タドが消えてからというもの、それまでクールな猫だったランチが異常に甘えっ子になってしまった。オレのあとばかりつけてくる。
産まれてから一度も一匹になったことがないのだもの仕方ないか。さびしいんだね。
ランチのために、もう一匹飼うか、今だに迷っている。