2006.8.30(水)

新東宝・後藤組アフレコ。
終了、夜10時。それからは例によって飲み会となる。残っていた役者も多く、10人ほど参加の飲み会となる。オレは自分の組のインも近いしで、途中で帰るつもりでいたのだが、やっぱりというか、そうもいかず、結局朝の6時まで飲む。

2006.9.1(金)

役者リハ・衣裳合わせ。今回のものは、日高ゆりあの一人舞台とも言える内容で、実景を除くと彼女の出てないシーンはひとつもないというほどにまさに出づっぱりの映画。その分、他の役者はほとんどが2、3シーンのみの出番という内容。よって今回のリハーサルは全員来てもらうこともないからということで、日高ゆりあ、新人の星沢マリ、そして、一応男の主演となる(といっても出番は8シーン)津田篤の3人のみを呼ぶ。場所も梅ヶ丘のセメントマッチ事務所。
午後1時開始。終了5時。それから演出部の打ち合わせとなる。

2006.9.2(土)

森角の劇団、天然工房公演『やさしい教室』を見る。今回はいつもの森角脚本ではなく、林くんという22才の若者の脚本となる。とはいっても、ワンシチュエーションの集団ドラマという構成はいつもと変わらず。それに、最近の天然の芝居に感じる物足りなさ、喰い足りなさもいつもどおり。起承転結の部分が弱いというか甘いのだな。だから見てる間は役者はそれなりに鍛えた芝居をしているしで、それなりに楽しいことは楽しいのだが、心の奥の方にまで届いてくるものはないのだ。芝居はただ楽しいものであればいい、そういう芝居を目標にしているのだと言うのであれば何も言うことはないのだが。過去の天然の芝居で心の奥にまで届いた芝居をオレは3年は見ているので、やはり物足りない思いがぬぐえないのだな。
最近はけなしてばかりで申し訳ないなと思うのだが、いいかげんなこと言ってもよけいにまずいしね。
心に残る芝居をやって欲しいよ。
集団劇では限界あるだろ、やっぱり。
このままでは、天然工房は自家撞着に落ち入る一方だと思う。みんないい子いい子の芝居ばかりではね。
たまには発想を変えてみる、スタイルを変えてみることも必要なのでは…?
一人でいい。一人の人間の心の闇にまで踏み込んでみるということね。
ともあれ、天然工房には頑張ってもらいたいものだ。森角、頑張れ! 11月の吉祥寺シアターも楽しみにしてるよ。

2006.9.6(水)

キャメラマン、演出部と最終的なコンテ打ち合わせ。ホンが短いせいか、午後1時から始めて5時前には終了。あとは飲み会。またもや朝まで飲んでしまう。9月インというのに、オレってなんてバカ。

2006.9.9(土)〜12(火)

オーピー作品『痴漢電車 濡れ初めは夢心地』撮影。
なかなかいいタイトルだね。正月映画であるということと、「夢」がファクターとなる内容がうまくいけあわされている。
内容は、男運のない一人のOL(日高ゆりあ)がある朝電車に乗ると、今日もまた痴漢たちにおそわれる。その中の一人のオタク青年に痴漢された解きにる事が起こる。そして彼女は「不思議の国のアリス」のように不思議の世界をさまようことになるのだ。つまりは「不思議の国の痴漢電車」ね。

初日。
朝7時45分、池袋集合。8時、電車セットのあるスタジオに入る。ここで電車シーンのほとんどを撮る(2シーン除いて)。12時間で10万円という高いスタジオ。あとは一時間延長ごとに一万円プラスしていくという具合。よって、目標終了時間は20時。たけど、それははっきりいってムリ。なので、22時としたけど、やはりそれでもムリだったのだ。(今回は260カットほど撮ったが、そのうちの半分130カットがこの日に集中。それを12時間でやるなんて、どうあがいてもムリってもの。オレの最高が24時間くらいかけての140カットだもんね。ま、今回は移動もないので、それに賭けるのだ。)
今日はまたすごい人数なのだ。スタッフ9人、キャスト9人、エキストラ10人の計28人。スタジオがかなり広いので、ほとんど気にはならなかったけど、これが狭いとこだとホントまいるんだよね。

9時過ぎ準備完了。まずはエキストラの人たち全員登場の4シーン。午前中に終わらせたかったが、やはりムリ。終了1時半くらいであったか。
遅い昼食後再開。新人星沢マリ登場のシーンをやり、ついにこの日のハイライト、シーン21の幻想の電車シーン。仕掛けも色々あって大変なのよ。このシーンだけで40数カット。終了夜の9時。すでに1時間オーバー。
遅い夕食後再開。残りは1シーン。本日唯一のお部屋のシーン。新人星沢マリと、オレの組初登場の世志男クンのからみ。星沢、いやらしい。世志男、面白い。2人のHを覗く日高、セーラー服にメガネ、バッチリで可憐。
終了、深夜0時半。撤収、1時。あ〜あ、5時間オーバー。つまり5万円オーバー。
しかしながら、よくぞ撮れた、130カット!(回ったフィルムは9本。全部で19本だからフィルムもほぼ半分使ったことになる)。役者みんな面白いし、エキストラも頑張ってくれたし、それに何といってもキャメラの志賀ちゃんでなければクオリティおとさずこんなに撮るなんてムリだったろう。
気持いい疲労感につつまれたのだった。

2日目。今回はちょっと変則的でね、珍しく撮休が入ったのよ。なぜかと言うと、CDデビューした日高ゆりあのライブがこの日に入ってきてね、どうにもならんとなったからなのね。いつもは徹夜つづきで3日間やってるけど、今回はどう考えても徹夜はない。一番大変なんだからね。いつもの時のように大変な時にこうして仕方なく撮休が入るとホント助かるんだけどね。ま、うまくいかないもんです。
前日、梅ヶ丘の事務所に泊まったオレは、夜は近所に住む五代のトコまで遊びに行って、結局、朝の4時頃まで飲んでしまったのだった。バカね。

3日目。
朝7時半新宿集合。巣鴨に移動して、駅のホームをロングでねらって日高の歩きを撮る。色々あってワンカット撮るのに1時間近くかかってしまう。
東高円寺の墓地に移動。そこで2シーン。都営新宿三丁目駅のホームでワンシーン。
以上、オープン終了12時。1時までゆっくり休けい。
1時から某シティホテル。そこで、からみを中心に6シーン。終了夜の8時半。なんと今回はラクなのだ。
少し飲むかと、役者の竹本くんと日高を誘い夜の街へ。ついピッチが上がり、気分もハイになり、気づいた時にはボトル2本あけ、夜中の3時になっていた。別に気がゆるんでるわけではないとは思うのだが、結局は寝る時間はいつもと変わらずということになってしまったのだ。

最終日。
朝7時半新宿集合。やはり眠い! バカだバカだよと、世田谷のとある神社へ。
この神社はすごいのだ。五代の息子のつぶらと自転車で事務所の周辺にある神社をいくつかロケハンしてる時に発見したのだが、なんと、相撲場があるのだ。それも半円周に土俵を囲むヒナ段の客席まであるではないか。まるでコロシアムだよ。しかも周囲は森の木々に囲まれ、どう見てもかなりの田舎の雰囲気。田舎の神社という設定だったのだが、もうここしかないとなり、日高の相手役和彦役を相撲取りという設定に直し、急遽世志男くんにオファーしたしだいだ。
そこでワンシーン。
中野の平和の森公園へ移動。そこでラストシーンを撮る。
中野駅へ移動。いよいよ電車のゲリラ撮影。昔と比べると、はるかに監視がきびしくなった昨今、ほんとはあんまりやりたくはないのだが、ストーリーの流れ上、どうしても本当の電車内というのが2シーンほど欲しかったのだ。
三鷹に着くまでに全カット終了。帰りはのんびりと中野まで。
午後の1時過ぎ、落合のオフィス・スワット着。昼食後、再開。
まずは志賀ちゃんが作ってきたタイトルやCG映像の画面撮りから。今回の「電車」では、走る電車の実景というのをひとつも入れなかった。内容的なものから来たのだが、走る電車は全て志賀ちゃん制作のCG映像となった。これはメチャ斬新です。ま、見てのお楽しみってことで。(電車の実景がひとつもない「痴漢電車」ってのもかつてなかったのでは?)
次に、痴漢シーンの下半身の部分撮りね。
そして最後に「ある空間」のからみのシーンを二つ。ひとつは処女喪失シーンということで、赤い花ビラが舞い、もうひとつは天上のイメージということで青い空バックにドライアイスの雲が飛ぶ−という凝ったこともしたよ。
終了、6時半。エッ?! 翌朝のじゃないよ。夕方の6時半だよ。最終日がこんなに早く終わるなんて記憶にない。翌朝までやってるのが当たり前みたいだからね。とても変な感じ。ま、長いことやってればこんなこともあるさってことね。(長いことと言えば、ピンクの監督になって、ちょうど満15年になる。15年前の9月にデビュー作の『ザ・ONANIEレズ』を撮ったのだ。あれから15年。95本目の作品となる。来年の今頃は百本目だ。ちなみに神戸のオレの作品連続登場は今回で92本目だ。百本まではあと8本。なんでもギネスに出すそうだ。うまくいけば来年中、遅くてもさ来年の頭には実現するだろう。)
それにしても寝てないので眠い。それだけはいつもと一緒。いつもどおりヘロヘロになっている。
でも、回ったフィルムはいつもどおり19本だし、カット数はいつもより多目の260だし、つもり密度は濃かったということで、疲れも同じなのだといえばいえるね。
早く見たいよ。

2006.9.14(木)

木の実葉の出てる芝居を見に阿佐ヶ谷へ行く。わざわざ行ったのになァ…。何も言うまい。
そのあとは吉祥寺ビー・ポイントでの桜井明弘ライブ。下降していた気分が一気に上昇する。
見るものを楽しませるということでは、ほぼカンペキなショーであった。
4部構成。まず第一部では、杉山さんの人柄が見るものをほのぼのとさせるライブ。第2部では、桜井明弘ショー。最近の好調を持続させてる桜井さんの熱いライブ。第3部では、寒空はだかさんの「真空ギター」によるクール漫談で見るものを楽しませ(このへんで客は得をした気分になってくる)、そして第4部のクライマックス、ついに出ましたA・サーキット、ギターの達人2人による白熱のライブ。そして最後は、全員登場で「アメージング・グレイス」をやり、この感動的なショーの幕を閉じたのだった。
街角のエンタテイナー、桜井明弘のライブをいつかあなたにも見て欲しいものだ……と以前ここで書いてからだいぶたちます。少しずつだが支持者は増えている。さあ、次はあなたにも来てもらいたいものです。ちなみに桜井さんは、高円寺のグッドマンで毎月一回ライブをやってます。
ところで吉祥寺のビー・ポイントが今月で店を閉じるそうだ。今日のショーは、それもあってのスペシャル的な構成だったのだろう。思えば数年前、オレが桜井さんに本格的にはまるキッカケとなったのも、ここビー・ポイントでの大ワンマン・ショーであった。ゲストはいるものの、基本的には一人で4時間もやっていたのだった。この人、スゲーと思った。それからです。桜井さんのライブに足しげく通うようになったのは。
そのビー・ポイントも失くなる。オレ、好きだったな、あの空間。一度、ロケで借りたいと思っていたんだけどな…。この6月には荻窪のグッドマンも失くなった(グッドマンも魅力的な空間だった。さいわい、最近の作品で三回もロケが出来たのがラッキー。しかし、もっとあそこではロケしたかったよ)。
しかし、桜井さんは不滅です。いつかあなたも見るように。

2006.9.15(金)

編集。95分強。いつもは98分くらいになるのだが、カット数が多かったせいか、95分くらいですんでホッとする。
編集後、後藤組初号。ま、見て下さい。

2006.9.16(土)

次回のオーピーはバラ映画の予定。プロット上がる。スパイク・リーの『25時』からインスパイアーされたものだ。全ては主役の男のコしだい。さて、どうなるか。

2006.9.19(火)

オールラッシュ。
夜は後藤ちゃんと2人だけで飲む。先日の打ち上げの続きみたいなもんだったが、今井事務所社長の今井さんが亡くなったという報が佐々木麻由子から入り、今井さんにお世話になってたオレたちとしては急遽、2人だけのお通夜となったのだった。

2006.9.20(水)

アフレコ。快調に進み、終了、夜10時半。終了後の飲み会も大いに盛り上がり、終了、朝の7時。

2006.9.24(日)

ダビング。
ここ10年近くというもの、ずっと音楽をやってもらっている大場一魅が急病で倒れ、急遽オレの音楽選曲となる。選曲するなんて実に久しぶり。使う音源は以前何度も使ったヤツだけど、選曲自体は久しぶりなので、妙に新鮮な感じもあり、音入れ自体は楽しいものになった。
それにしても、一魅の容態が心配だ。

2006.9.25(月)

今井さんの告別式が中野の新井薬師で行われ、オレも駆けつける。
芸能プロのマネージャーには珍しくピンクに偏見のない奇特な方だった。いや、ピンクを愛していたとさえ言える人だった。若い役者によく言っていた。「ピンクはいいですよ。面白いし、勉強になる。ぜひやりなさい」と。
オレも、今井さんの一言に自信をつけさせられたことが何度もあった。
面白いとは、どういうことか、よく分かっていられる方だった。
本当に映画を、役者を愛してた方だった。
享年51歳。早過ぎる死だ。もっともっとオレらのそばにいて欲しい人だった。
合掌。

告別式が昼過ぎに終わり、オレはシネ・キャビンの中村さん、佐野和宏、森山とそれから夜まで飲み続けた。しとど酔う。

2006.9.27(水)

『痴漢電車 濡れ初めは夢心地』(コレ、公開タイトルね。正月に引っかけて、なかなか気がきいてるね)初号試写。
志賀ちゃんの手作りのCGも面白いし、役者はみんないいし、かなりうまくいってるんじゃないの、コレ。
女優陣は日高ゆりあ、結衣、星沢マリ(映画初出演のAVのコ)の3人。結衣は面白いし雰囲気あるし、キレイ。星沢はセリフに独特の味があって面白い。またからみもH。でも今回は、日高ゆりあの一人舞台というか、日高ゆりあショーって感じの映画なんだよね。まず、実景以外の全てのシーンに出てくる。いくら主役でも全シーンに出るなんてことはほとんどないことで、フツーは半分から3分の2くらいってとこだと思う。また、OLからセーラー服、そして喪服、メイドルックに変身と、コスプレ・ショーの趣もある。つまりこの映画は、日高ゆりあによる、日高ゆりあのためのアイドル映画なのだ。ま、彼女のアイドルぶりを楽しむ映画というわけね。
対する男優陣もゴーカというか、ほとんどピンク・オールスターね。
竹本泰志、世志男(オレの組、初出演)、野村貴浩、樹かず、正一、津田篤、そして、牧村耕次、本多菊次朗、なかみつせいじ、そしてそして、一番おいしいとこ持ってった神戸顕一とくるね。
そんなわけで、楽しい痴漢電車が出来ました。正月公開です。よろしくです。

2006.9.29(金)

映倫初号。
正月、上野オークラでの舞台挨拶が決まる。1月6日(土)か7日(日)のどちらかの線で。出席の女優陣は、この映画から、日高ゆりあ、そして、星沢マリ、そして、特別ゲストに佐々木麻由子ね。新旧とりまぜた美人ぞろい。こりゃもう成功したようなもんね。

2006.9.30(土)

石動三六氏のやってる劇団玉の湯・公演『完全犯罪』に行く。
感想は、飲み会の席で、作・演出の中村和愛にたんと言ったので、ここでは言いません。
注目の平沢里菜子はキラキラしてよかったよ。彼女のいいとこもっと見たかったね。

2006.10.1(日)

シンガー・ソング・ライターの桜井さんの教え子のK氏の結婚パーティが八王子で開かれ、オレも瀬川くん、白井里佳さん、木の実葉たちと出席する。食事がとてもおいしかったです。

2006.10.3(火)

新宿プラザで『マイアミ・バイス』。ずっと寝てしまった。

2006.10.4(水)

オーピーに出していたゲイ映画のプロットがNGをくらう。スパイク・リーの『25時』を下じきにしたものだったのだが、やくざ、クスリ、死…の匂いが強いものはダメとの判断であった。久々にクールでハードボイルドなヤツをやりたかったし、ゲイ映画ならOKかと思っていたので、ちょっとガックリ。
やはり、日常の延長路線じゃないとダメなのかね。

2006.10.6(金)

下北沢・トリウッドでの樹カズが参加しているショート・ムービー集を見に行く。4本の中では、やはり賀川さんのが抜けていた。カズも絵で遊ぼうとしないで、もっとアイデアとかストーリーを煮つめる方向に行かなくちゃダメだよなァ…。

2006.10.7(土)

ゲイ映画のプロット第2弾が上がる。悩めるゲイの日常ものになってしまった。これならOKだろう。

2006.10.8(日)

新東宝・福原組、衣裳合わせ、本読み。
新東宝プロデューサーの福ちゃんが監督デビューすることになり、今日はその役者リハ日ね。オレもちょっとした役で出ることになり、出かけて行ったというわけね。
福ちゃんはホンは書いてきた人なので(オレも彼のヤツ、何本かやった)今回も、もちろん自分のホンね。そのホンがいいんだな。内容は一言で言うと、男と女の情痴の世界を描いたもの。愛とか性じゃなくて、情痴という点がポイントね。
まず、濃密にリアルに書き込まれたセックス描写がとてもいい。汗や体液の匂いまで感じさせられるほどだ。
つまりこれは正しい意味でのまっとうなピンク映画の脚本なのだ。
情痴の世界(=動の世界として)を徹底的に描けば描くほど、逆に透けてくる、またはあぶり出されてくる人間の静の世界……それが見えて来た時、この映画はホントの意味でのドラマ、つまり映画になってくるのではないか……なんて妄想もわいてくる。
楽しみだ。(オレもこういうホン、ほんとはやりたいんだよね。なかなか出来ないけどね)14日、クランクイン。

2006.10.9(月)

三茶の中央劇場で『ヨコハマメリー』『アダン』見る。2作とも期待はずれ。