2005.9.6(火)

オーピーの次回作『Angel』(仮題)の決定稿、印刷に回す。
新宿ピカデリーで『亡国のイージス』見る。ただ一言、つまらなかった!! オレにはこの映画、とてつもなくヘタくそな冗談にしか思えなかった。または、とてつもないムダ使いね。
帰宅後、今連日CS放送でやっている勝新太郎の座頭市、『座頭市血笑旅』を見る。いいんだよなァ。勝新・座頭市に泣けた。ラストシーンの哀しさ、美しさは、シリーズ中屈指のものだろう。
そうだ。いいものは、やはり、いいのだ。

2005.9.7(水)

『Angel』の印刷台本上がる。
演出部の初の打ち合わせ。今回は、キャリア二年半の茂木が初のチーフをやる。茂木は一昨年のピンク大賞の時、オレに声を掛けてきたコだった。「ピンクの助監督になりたいんです」とね。それから2年半、ずい分たくましくなってきたものだ。だから今回チーフをやってもらうんだけどね。1年くらいすると消えて行ってしまうコが多い中、茂木のようにマジにピンクに取り組もうとするコは実に貴重だ。まだ22才。これからが楽しみなヤツだ。ま、今回は勉強してもらおう。

2005.9.8(木)

やっとキャスティングが固まる。今回のヤツは韓国映画『誰にでも秘密がある』を元ネタにしてるということは以前にも言ったと思う。「三人姉妹と、ひとりの男をめぐる、ちょっと危険な秘密の関係」というのがその内容。イ・ビョンホンが演じた主役の男役に、竹本泰志、三人姉妹は、長女に新人の朝丘ひらり、次女に森ルリこ(今年、堀組でデビューしたコで、それ以外にも国沢組(主役)、後藤組に出ている。オレは国沢くん、堀くんの映画見ていて、後藤組では共演までしてしまったというちょっと珍しい巡り合わせのコ。この役、元ネタではチェ・ジウが演じていて、27才にして堅物の処女というかなり面白い役だころ。この役が一番難航した。最後は本人のキャラクターと、珍しい巡り合わせであるという部分に駆けてみた)、そして三女に、オレの映画にここ3本連続となる池田こずえ(ホントは池田に次女役やらせたかったというのもあるのだが、ま、なかなか思い通りにはいかないものでね)。他には本多菊次朗、牧村耕次のレギュラー陣。原田なつみ、津田篤のセミ・レギュラー陣。そして、国沢くんがちょっといい役で出るというのがオレ的にはお楽しみね。神戸は、ビデオ出演となる。どのように出てくるか、それは見てのお楽しみね。

2005.9.12(月)

ロケハン。いつも夏はヒマでヒマで遊ぶしかないのだが、今年の夏はいつも以上にヒマで、やることもなく、緊張感のないぬるい時間が流れるのみであった。頭の中もすっかりボワンボワンで、23日クランクインというのに全くエンジンがかからなくて困っていたのだった……。
で、ロケハン。やっとスイッチが入った。いきなりモードが切り変わるという感じね。やっとやる気になってきたのだ。

2005.9.14(水)

コンテの合間をぬって、世志男くんのプロデュース公演『玩具』を王子の「北とぴあ」というなかなかにおしゃれな芝居小屋まで見に行く。
世志男くんのかんだ芝居を見るのは、去年の8月以来これで5回目。今年の5月にみゆき館で見た『熱海殺人事件』だけは、「おい、ちょっと待ってよ」という出来であったのだが、あとは全て見応えのある一人芝居で、世志男くんのかかわる芝居には(要)注目という気分をオレはいだいているのだ。だから忙しいさなかもいとわずとりあえず見に行ったってわけね。
で、今回のヤツね。テーマはズバリ「次々と起こる女児殺害事件」ね。基本的には世志男クンの一人芝居で、内容は世志男くん演じる死刑囚の独白ね。
役者としての世志男くんのパワーはすごいもので、しかし、その圧倒的な演技が、演劇的な感動にまで迫ってこないというか、昇華されてこないのだ。
なんで? もったいない…。
それは、やはり、ホンなのだろうなあ…。ホンにくい足りなさをとても感じるのだよ。
結局、事象の羅列なんだよなあ。そこからもうひとつふみ込んでいく「何か」、その「何か」が足りないと思うのだ。
その「何か」って、何なの?
とは思うものの、そんなことオレに分かるはずがない。そんなことは、作るヒトが必死になって考えればいいことであってね。
でも、その「何か」を探る行為、捜す行為が、真にクリエイティブなものを作り出すということなのだ…と思う。それを求めて、オレたち、モノを作っているんだもんね。
ま、いずれにしても、今のオレの近しい演劇人の中では、世志男くんに一番興味があるということだ。次も楽しみにしたい。
それにしても『熱海』の部長刑事役、世志男くんで見たかったね。かなりすごいことになっていたんじゃないかと思うのだ。(そういえば8月のシネキャビンの納涼会の時に、そういう話を彼にしていたら、いきなり「次やる時は、池島さんがやってくれませんか?」なんて言ってきたからビックリした。はっきり言ってオレはあの役は若い時からのあこがれの役で、一度やってみたいものだと、ずっと思っていたということもあってビックリし、かつ、少なからず心が動いたのも事実だ。でもね、今のオレには、はっきり言ってムリ。少なくとも半年以上は体を作ったり、セリフをおぼえたり、と色々とやらなくてはいけないし、物理的にもムリだなと判断し、世志男くんにもそう答えたのだが、でもなあ、やれるもんならやってみたいなあ…。でも、もう6年以上も舞台に立ってないし、やはりムリだよァ…。と心は揺れ動くのだった…)。

2005.9.16(金)

役者・リハーサル。
夜。撮影の志賀ちゃんとコンテ打ち合わせ。

2005.9.17(土)

セメントマッチ制作ルームで演出部打ち合わせ。
夜。近所の神社のお祭り。五代とその息子つぶらと行く。

2005.9.21(水)

昼からシネキャビンにて劇中歌の録音。作詞・作曲/桜井明弘。歌・池田こずえ。2時間くらいで終わるかと思っていたが、これがなんと5時間以上もかかる。なぜか? 池田のあまりのオンチぶりにテープを回すことが出来なかったのだ。ともかくビックリした。あれほどヘタとは想像だにしてなかった。時間かければうまくなるものではないとあきらめ、最後は仕方なく妥協ね。それにしてもマイッたよ。
終了後は飲み会。最後はカラオケ・パブで歌を歌って発散。

2005.9.22(木)

明日からクランクイン。天気が心配。台風が来るのだ。ま、いつものことだけどね。

2005.9.23(金)〜25(日)

オーピー映画『乱れ三姉妹』撮影。

初日。
荻窪のライブ・ハウス「グッドマン」ロケ。朝8時開始。終了午後1時。3シーン。
中野、平和の森公園で2シーン。
北新宿公園で1シーン。
午後4時過ぎ、初台スタジオに入る。8シーン。終了夜中2時半。

2日目。
朝8時新宿集合。ついに来た。雨。
早稲田大学ロケ。3シーン。雨の中でのロケであったが、雨が実に効果的。雨にけぶる大学キャンパスが実にいい雰囲気。雨に助けられた。
新宿で2シーン。これも雨をさけてのロケとなったがここもうまくいく。
午後3時、某シティホテルに入る。7シーン。劇中の白眉ともいえる森田りこの処女喪失シーン、じっくりとやる竹本くん、森田ともいい。手応え感じる。夜9時半終了。
オレはそのままホテルに泊。例によって酒を飲み、3時頃までダラダラ起きている。

最終日。
朝7時半新宿集合。東大泉のスタジオへ。若干のオープンもはさみつつ、21シーン、そして小物撮り。タイトル撮り。
ほとんど芝居のシーンのみ。シーンによっては20回くらいテストするほどねばる。ああ、この映画は、芝居の映画だったのだと、初めて気づく。手応えを感じる。
終了深夜1時半。撤収2時半。思ったより早く終わった。というか、最終日はいつも朝までやってるので、そういう意味で早く終わったと感じる。
今回、手応え感じる。
たぶん、いいよ。

2005.9.27(火)

編集。68分強。7分以上切らなくては。

2005.9.28(水)

HDD付きのDVDレコーダーをやっと購入。これでやっと増え続けるビデオ地獄から解放されるのかな?

2005.9.30(金)

オールラッシュ。面白い。快作です、コレ。
編集。62分まで切った。あと1分だ。

久々の映画見物。新宿プラザで、やっと『スター・ウォーズ エピソード3』見る。途中1時間ほど気持ちよく眠れた。そういう映画だ、やはり。

2005.10.1(土)

シネキャビンで劇中歌とフィルムのシンクロ合わせ。
音楽の大場一魅と打ち合わせ。
終了後は、飲み会に突入。しとど酔う。タクシーで梅ヶ丘のアパートへ。アパート泊。

2005.10.3(月)

アフレコ。セリフの言い方から教えなくてはいけないような手のかかる人がいたということもあり、いつ以上に時間かかり、終了深夜1時半。でも全体的にはみんなベスト・アクトという感じで手応え感じる。
終了後は飲み会。朝の8時まで飲んでしまう。

2005.10.4(火)

午前10時からオールラッシュ。2時間ソファで寝たものの酔いが抜けるはずもなく、ラッシュの間も爆睡。なんてこった。今後はアフレコ後の飲み会も考えなくちゃな。以前に比べると、確実に酒が弱くなってる。

2005.10.5(水)

ダビング。音楽の大場一魅の体調すぐれず、今回はやれないんじゃないかと心配したものの、何とか間に合ってくれた。今回もすばらしい曲を作ってきてくれた。特に終盤での、大学キャンパスから公園にかけて流れる曲の美しさといったら例えようもない。グッときて感動してしまうのだ。音楽がのる前は別に泣けるようなシーンではないと思っていただけに新鮮な驚きを感じた。また一魅の音楽に助けられたね。
終了深夜0時。ま、いつもどおりって感じね。
しかし、今回のヤツ、いいわ。撮影前よりはるかにいいイメージで仕上がってると感じる。早く試写見たいよ。
飲み会。3時にお開き。アフレコの時は、役者が数人残っていることが多いので、つい長くなるが、ダビングの時は、一魅はヘロヘロになって帰るし、助監督は作業がまだ残ってるしで、結局飲むのはオレと中村さんくらいなのでお開きも早くなるわけだ。
梅ヶ丘のアパート泊。ここにも酒が弱くなったオレがいる。以前は朝まで飲んで、電車で国分寺の自宅まで帰ったものだが、最近は無理せず梅ヶ丘のアパートに泊まることが多くなった。

2005.10.9(日)

下北沢のトリウッドで樹かずの自主映画を見る。かずと平賀勘ちゃん、そしてもう一人によるオムニバス。一話分が20分の3話ものね。かずが主演した賀川くん(だったよね?ちがってたらゴメン)のものは、なかなか見ごたえあったけど、あと2本は分からん。三話に共通したテーマなりモチーフも何も感じられず、ひどく散漫な印象であった。

2005.10.10(月)

五代の息子つぶらを連れて三茶の映画館中央劇場で2本立て見る。今時の映画館しか知らないつぶら(8才)は中央の中に入るや「これが映画館?」とビックリしていたなァ。
『コントロール』と『ハイド・アンド・シーク』。
『コントロール』は面白かったな。凶悪な殺人鬼の男が処刑の前に刑務側から取り引きを求められる。このまま死刑されるか、それとも新薬の実験台、つまりモルモットになるか。男は心を善に変えるという薬。はたして男はどうなるのか? ホントにいいものになるのか、それとも…というサスペンス。新薬の開発者の医者にウィレム・デフオー。このデフォーがいいんだな。デフォーがやるからにはマッド・サイエンティストだと思うじゃない。ところが違うんだ。とてもマトモでマジメでフツーにいい人。それをとてもリアルにさりげなく演じていて説得力ビンビン。いつものあの特異な顔を駆使するような芝居はいっさいなし。ウィレム・デフオーという役者の奥行きの深さを感じたね。
ともあれこの映画、意外な拾い物。こんな映画あるの見るまで知らなかったしね。お勧めします。つぶらもけっこうおとなしく見ていたよ。
片や、こっちを見に行ったのだ、『ハイド・アンド・シーク』。こちらは完全な肩すかし。途中でネタはバレちゃうし、事件の原因も、何じゃコレ?というくらいリアリティないし、なんでこんなもんにデ・ニーロ出てんのよって感じね。いくら作品を選ばないので有名なデ・ニーロとはいえ、これはないんじゃないの。つぶらもここでは集中力切れてうるさくなってきたので、ずっと抱っ子しててやるしかなかったよ。まいったです。

2005.10.11(火)

オーピー『乱れ三姉妹』初号試写。
思った以上の出来具合というか、なかなかうまく仕上がりました。こういうのをウエルメイド・プレイというのだろう。一人三役をやったといえる竹本くんの頑張り、そして三人姉妹それぞれの個性も光り、ホントうまくいった。よかったよかった。こういうのを見たあとって、みんな幸福そうに見えるよね。

2005.10.13(木)

『乱れ三姉妹』映倫試写。(ずっとサブ・タイトルしか書いてないけど、コレ実はメイン・タイトル忘れてしまったからなのだ。いつもは手帖にちゃんとメモしておくんだけど、今回に関しては、なぜかそれも忘れていてね。)
やっぱりこういうものって会社に受けるよね。(こういうもの=暗くない。難しくない。登場人物のキャラはそれぞれ立っている。話の展開に若干のミステリーがある。Hシーンもバラエティに富んでいて、ひとつひとつがスリリングでリアルで面白い。ラストにはほのかなカンドーがある…etc.)。前作の『黒下着の好きもの女医』が、会社には今ひとつ受けなかっただけによけいにそう思うよ。オレ的には、前作も今回も同じくらいうまくいってると思うんだけどね。
さっそく次回作の注文。
昭和の時代を舞台に、何かなつかしくてほのぼのした気分にさせられるものをやれないかと言ってきた。また難しいことを言ってくれるよね。衣装どうすんのよ? 小道具どうすんのよ?−ということだからね。また、風景の問題もあるしね。ホント、どうしよう? ま、チャレンジだね。
スバル座で『ファンタスティック・フォー』。気楽に見れるものを見ようということでね。まさにそれだけの映画だった。

2005.10.15(土)

三茶の中央劇場で『愛の神、エロス』『サラ、いつわりの祈り』。
『エロス』はウォン・カーウァイなど3人の世界的監督によるオムニバス。ズバリ、エロスをめぐる3つの話。ミケランジェロ・アントニオーニなんて名前があるんでビックリした。まだ生きてたんだ。撮影時、92だって。60年代には時代の流行の一端をになって、大監督のひとりだったんだけどね。ま、オレはあまり好きじゃなかったな。そのアントニオーニ、92才の「エロス」、何だかよく分からん。おとろえたりということね。SEXシーンは一番過激だったけどね。3人の中ではカーウァイの作品のみ見ごたえあり。せつない「エロス」の物語を、いつになくたんたんとじっくりと美しく繊細に描き出す。あの大女優コン・リーの、男のペニスを握っての手コキのシーンなんて、信じられる?これも、そのシーンのあまりの美しさ、そして、あまりのせつなさに泣けてしまうなんてね。手コキで泣ける! 大発見!! マジ、勉強になった。やはり、考えなくちゃね。
『サラ』。ダリオ・アルジェントの娘の監督主演作。ということで少し楽しみにしてたけど、コレ、だめね。一人よがりってヤツね。

2005.10.16(日)〜21(金)

次のオーピーのネタさがしのため、DVD、ビデオを10本以上見まくる。

2005.10.22(土)

五代と打ち合わせ。一応プロット出来上がる。まさに昭和30年代を舞台としたもの。さて、どうしようか?