2005.6.1(水) オーピー次回作『ダブル・マインド』決定稿、印刷に回す。 日刊ゲンダイの「イタ・セクスアリス」の取材を受ける。わが性の遍歴ってヤツね。性の目覚め、童貞喪失、初めてのフェラチオ体験などを中心に語る。7月16日が掲載日。ぜひ読んでみて下さい。 2005.6.2(木) 印刷台本上がる。演出部と打ち合わせ。 2005.6.4(土) 毎年恒例の浜松・シネマハウス新映での舞台挨拶。今年で6回目となる。 今年はSM映画の前後篇『襦袢を濡らす蛇 −SM開華編−』『人妻を濡らす蛇 −SM至極編−』の2本立て興行ということで、同行の女優は、主演の山口真里、前篇出演の持田さつきとなる。 6回目ともなると、お客さんたちとの関係もより親密度を増し、「おっ、また来たか。よく来たな」という感じで、とてもアット・ホームな雰囲気に包まれるというもの。 今年特に嬉しかったのは、70年配の方がオレの握手する手を離さずに言ってくれたこと。「私はピンク映画を40年以上も見続けていて、あんたのことも(オレのことね)、役者でデビューした頃からずっと見てるよ。エクセスで監督デビューした時も注目してね、以後もずっとあんたの映画見てるよ。しかし、あんた、うまくなったねえ!」「えっ、ホントですか?」とオレ。「ホント、ホントにうまくなったよ」。 ピンク映画のいわゆる定連のお客さんから、こういう話をしていただくことってまずないので、オレはとてつもなくうれしくなったというわけさ。 それにしてもうれしいよね。ずっと見続けているという人から「うまくなった」なんて言われるなんてね。ホント、今年も行けてよかったよ。 他に印象的だったのは、山口と持田の衣裳ね。2人とも、セクシーでゴージャスなドレスを2着ずつ持ってきてね、そのへんの女優魂というか、サービス精神が、トークショーをより盛り上げるのに多大な役割をはたしたと言えるだろうね。見なれているオレでさえ、思わず「オッ!」と思うほどにセクシーでゴージャスだったんだから。やはり、衣裳は大事だね。 今年も打ち上げは、ニューハーフと女装趣味の人たちが中心となってやってくれて、浜松の夜はナイスにふけていったのだった。 2005.6.5(日) この日は恒例の社長接待。オレにとっては3回目となる浜松湖畔の豪華和風ホテル「力重」での会席料理、そして露天風呂、しめは高速モーターボートでの湖上疾走!とあいなり、なんて楽しいの浜松は、来年もまた呼ばれたいと心から思うのだった。 ピンク映画をめぐるK社長との会話。 5年前に初めてお会いした時に社長は、「ピンク映画が私どもの命綱です」と言っていたものだ。K社長は、当時、長野と松本と川崎と浜松に映画館を数館づつ、合わせて10数館持っていた。ちなみにピンク館は浜松のみ。あとは全て洋画系のロードショー館。 社長「いずれはシネコンの拡大で私どもの劇場はやって行けなくなります。しかし、一般映画と競合しないピンク映画でなら生き残っていけます。だから本当のところ、ピンク館を増やしたいんです。でも今はどこの都市でもピンク館を排除する方向でいるので、なかなかうまくいきません」。 オレは当時、この社長の言葉を聞いて、今時、ピンク館を増やしたいという人がいるということに、とても驚いた憶えがある。しかし、一般映画と競合しないから、ピンクは強いという、いくつもの劇場を持っている小屋主の言葉に「ああ、なるほどね」という説得力とリアリティを感じたものだった。 で、今年。 社長「とうとうシネコンが浜松にもやってきて、私どもの洋画館は閉館しました。今や浜松は、このシネマハウス一館が残るのみです。川崎もなくなり、長野、松本もいずれは…という感じです。だから、ピンク館を持ちたいんですが、やはり、なかなかね…」 次の言葉が重要。 社長「はっきり言ってシネマハウス新映はもうかってます。命綱です」。 どうですか? もはや風前の灯と言われて久しいピンク映画館サイドからのこの自信にあふれた言葉。 ただこの社長、企業努力もすごいんです。この映画館は連日オールナイトで連日朝の5時まで営業していた。朝帰るお客には菓子パン2個とコーヒーのサービス付きで。ところが−。 「一年ほど前から、オールナイトの時間を朝の8時まで延長しました。5時だと、冬は寒いし暗いし、電車もまだ出てないということで、お客さん気の毒だなと。そんなわけで、8時までやるようにしました。当然少しは収入は減るだろうと思いました。そしたらなんと、お客さん逆に増えちゃって、よりもうかるようになっちゃったんですねえ。もちろん、パンとコーヒーのサービスは前のままです」。 どうですか? ピンク映画館を継続させてゆくカギは、この社長の言葉にふくまれていると思いませんか? 要は、やる気です。そして、愛です。お客さんに対する、劇場に対する、そして、映画に対する。 愛とやる気があれば、ピンク館はまだまだ滅びないと、しみじみ思うのでした。 2005.6.7(火) ロケハン。18日クランクインだ。そろそろエンジンかけてやらないとね。 夜は、山本竜二が高円寺にオープンした店の開店だったので、何とか駆けつける。 店名は「竜ちゃんの店」。場所はJR高円寺駅から歩いて6、7分。環七と早稲田通りの交差する大和陸橋を阿佐ヶ谷方向に向かってすぐの左側。高円寺駅からだと、大和陸橋に向かって右側だ。安くてうまくていい店だ。朝5時までやってる。行ってみてね! 2005.6.8(水) セメントマッチに、演出部、そして、ヒロイン役の三神サラ、池田こずえが集合して、2人の衣裳合わせ。 ちなみに今回のキャスティングは、ヒロイン役に新人の演劇少女・三神サラ、その妹役にオレの組は『肉体秘書』に続いての池田こずえ、そしてもう一人が、新人のトランジスタ・グラマー(古いね、この言い方)結奈美子(ゆいなみこ)。男衆は竹本泰志を中心に、本多菊次朗、神戸顕一のレギュラー陣、そして新人の津田篤。そして特別出演。これがすごい。久保新二、牧村耕次、持田さつき、山口真里、山ノ手ぐり子、原田なつみ(おぼえてるかな? 5、6年前オレの組とか深町組に何本か出た人。カムバックとなる)…とくるね。 衣裳合わせ、けっこう時間かかる。夕方5時くらいから始めて、終了。夜の9時過ぎ。2人の本読みもやるかと思っていたが、とてもそれどころじゃなくなる。でも、衣裳合わせ、しておいてホントよかったよ。 2005.6.10(金) 五代暁子の息子、つぶらの誕生会。オレも駆けつけ、ガンガンに飲む。 2005.6.11(土)〜12(日) 終日コンテ。 『ダブル・マインド』の公開タイトル決まる。 『黒い下着の好きもの女医』ね。そう、女医ものなんです。内容はサイコ・サスペンス。『肉体秘書』の別バージョンて感じかな。 2005.6.13(月) 役者リハーサル。メインの女のコ2人の衣裳合わせを8日にやっておいたので、10時から17時までの時間のほとんどを本読みに使える。ホント衣裳合わせやっておいてよかった。 注目の新人、三神サラと結奈美子。結は声がすばらしい。顔もカワイイ。体も、イイ。特にカオとコエは里見瑤子をホウフツさせる。とてもよくにている。初見で今回、また今後に期待をいだかせるコです。 三神。一言、カタイ。「何、やってんの、キミ?!」という感じ。演劇何年かやっている人なので、オレも遠りょなくズバズバとダメを出す。余りのカタサにちょっとガックリなのだが、ただしこの人、ある瞬間、集中した時のテンションのたかさがものすごい。つまり、ある線を超えた時にハジけるタイプ。オレも演劇時代の若い時に経験してることだが、芝居屋に、それも昔のアングラ時代の役者によくいたタイプ。この人の場合は持っていき方なので、オレ的には「よし、勝負!!」という感じで楽しみだね。 『肉体秘書』に続いて2回目の池田こずえ。いいねえ。前作で自信ついたのか、余裕まで感じさせる。頼むぜ、こずえって感じね。 リハーサル後は、場所を移動して、キャメラの長谷川ちゃん、そして演出部とコンテの打ち合わせ。 2005.6.14(火)〜15(水) 終日コンテ。 2005.6.16(木) 長谷川ちゃんと会い、最終的なコンテのチェック。いつもはキャメラマンとは一回しかしないのだが、今回は珍しく2回もする。つまり、今回のストーリーにオレはけっこう乗っていて、何かアイデアが浮かぶと楽しくて、それに長谷川ちゃんを巻き込んでいるという感じなんだけどね。もちろん、長谷川氏からも色々とアイデアが出てきて、増々楽しくなるというわけね。 打ち合わせ後は、長谷川ちゃんがキャメラを担当した国沢くんの新作試写におじゃまする。 城定くんが脚本を書いたという今回の国沢組作品、オレにはとても面白く見れたのだった。役者がみんな適役でいい。つまり、いい映画ってことね。多いに刺激も受け、触発される。オレの次回作にもパクれるというか、これいただきと思えるカットにも出会う。うん、あれはまねしよう。得した気分。こういう時、キャメラマンが同じだと実に便利ね。 2005.6.18(土)〜20(月) オーピー映画『黒下着の好きもの女医』撮影。 今回の最大の懸念は、いつものことだけど、時期が時期だけに、やはり天気ね。それを見越して、オープン・ロケは非常に少ないホンなのだが(実景を除けば、4シチュエーションのみ)、それだからこそ、その少ないオープンは絶対外で撮りたいし、やはり天気は心配なのだって予報では連日60〜70%と降ってもおかしくないパーセンテージを示している。 初日。 この日は一日中、新宿・抜弁天にある病室セットでのロケ。オープンは実景があるのみ。 雲天。今にも降りそうだが、降らない日となる。 まずは待合室での集合シーンから。久保新二、牧村耕次、持田さつき、山口真里などが出演。久保さん一人がにぎやか。作品のテイストとはかなり違うのだが、これはあの人の芸風でありキャラだし、暗いトーンの中にああいう真逆のシーンがあるのもホッと出来ていいかもと思い、オッケーね。 昼食をはさんで、いよいよ診察室のシーンへと突入。Hシーン3シーンを入れて10シーンほどある。スタジオ料金の問題もあるし、目標は深夜12時終了。からみ3シーンは、劇中最もメインのからみで、フィルムもそれなりに回す予定。12時?…終わんないだろうなあ…。 この日は3人の女優それぞれに1回づつのHシーンとなる。タイトルがタイトルなので、3回ともすべてメインというわけ。 池田こずえ。自信にあふれて、助平パワー全開であった。三神サラ。初めてのHシーンだが、必死にくらいついてくれた。よってオッケー。結奈美子。思った以上にキュートでHで面白い。しかし時間の問題と、前の2人でフィルムが予想以上に回ってしまったということで、結のHシーンは短くタイトなものとなり、少し残念。ま、次回だね。 終了。深夜2時。撤収、おくりと待っていると、えらく遅くなりそうなので、オレ一人タクシーで世田谷のセメントマッチまで。 シャワー、ビール。5時頃ベッドに入る。1時間半しか寝れない。 2日目。 7時半新宿集合。雲天だが、ごくたまに薄日がさし、雨は何とかしのげそうだ。今日が一番オープンの多い日なのだ。 まずは戸山公園。大学のキャンパスという設定で2シーン。 10時過ぎに、東大泉のスタジオに入る。このスタジオで明日も含めて2日間、終わるまでやるって寸法。 リビング、キッチン、自宅前の道のシーンなど、7シーンあまりをテンポよくやってゆく。次に三神サラの寝室のシーン。からみ一発、オナニー一発など4シーン。 三神サラの母親役に6年ぶり復帰の原田なつみ。すごい迫力。オペラやってるだけに声がいいしね。彼女にやってもらってホントよかったって感じね。 終了。深夜12時半。シャワー。ビール。結局4時頃まで飲んでしまう。 最終日。 8時開始。 今回の作品は、姉(三神)と妹(池田)の対決のドラマなのだが、この日はその2人の対決シーンばかりという本編中最もヘビーな日。今回は意識的に、かなりトリッキーな絵づくりをしてるので、以前『美人秘書 パンストを剥ぐ』の時、何人かの人に「編集間違ってるのかと思いましたよ」と言われたが、今回もまたそういうこと言われる可能性あるかな…なんてね。 雲天だが、天気も持った。今日もオープン2シーンばかりあったが助かった。 姉妹の対立シーンの中でも最大のクライマックスシーンを今回の撮影での最後に持ってきた。台本でも6ページ以上に渡る超ヘビーなシーン。 開始。深夜11時。 終了。朝の5時。 6時間のバトルだった。三神も池田もよくやってくれた。見た人がこの2人をどう見るか、ホント早く知りたいと思うよ。 (池田こずえは、前作『肉体秘書 パンスト濡らして』と今回で、新人女優賞の有力な候補になったと思う。いや、取って欲しいと思う。みなさん、どうかよろしく)。 バトル終了後は、池田も三神もボーゼンとして無の境地って感じね。特に映像初体験ですさまじいばかりのテンションで3日間やり通した三神は、ほとんど放心状態ね。 映画は戦いだ。戦いすんで日が暮れて…。それまでのすさまじい集中、緊張から解放された時にいきなりおとずれる心にポッカリ穴があいたかのような放心状態…。オレはこの放心状態ってヤツが大好きで、映画を作ってる楽しみのひとつはこれなんですね。 三神も池田も、ホントよくやってくれました。 今回の作品のないように全然触れてないと思うので、ホンのさわりを簡単に紹介します。 弥生(三神サラ)は死んだ母のあとをついで内科の医院をやっている。本当は精神科医になりたかった弥生。しかし幼い頃から母親に押さえつけられ、抑圧され、がんじがらめにされて生きてきた弥生には、自分の自由にやりたいことをやるなんて生き方は出来なかった。そのストレスが、弥生の心を蝕んでゆく…。そしてある日のこと、弥生が最も会いたくない妹・葉月(池田こずえ)が弥生の前に出現したのだった。弥生と葉月の戦いが始まる。そして…。 という話です。 この弥生を静かに見つめる看護士役に竹本泰志。前作『肉体秘書』の竹本くんもよかったけど、今回もいいです。いい味出してますよ。 |