2002.2.3(日)

五代と打ち合わせ。オーピー『欲望という名の電車・ピンク版』の最終的なツメね。そして、新東宝『暗くなるまで待って・ピンク版』の直し。

2002.2.4(月)

有楽町スバル座で『フォルテ』。シャンゼリゼで『レイン』。
『フォルテ』。「とにかく、ちょっとシニカルな『三好家』(オレが一年に一本の割りで撮ってる家族映画のシリーズで、かなりおバカなドタバタコメディ。シリーズとしては3本目まである)だからさァ。ネタになると思うんで、絶対見ておいて」と脚本家の五代に言われて見に行ったってわけ。ウディ・アレンがよくやってるような、都会派風の艶笑コメディってヤツ。ああいうちょっとオシャレで、ピンクだからもっとHなヤツをやりたいと最近思っていてね。当然、五代にもそういうこと言ってたので、「ひっょとして、こういう感じなんじゃない?」と五代は思い、オレに見ておけと言ったってわけ。
ウン、まさに、オレがやりたいと思っていたネタの映画であった。(それにしても、ゴーカ・キャスト。ウォーレン・ベイティ、ダイアン・キートン、ゴールディ・ホーン、そして今をときめくジョシュ・ハートネット。あっ、そうだ、ベン・ハー=チャールトン・ヘストンも出ていた。あ、それに、ナスターシャ・キンスキーまでが、なぜか、いた)。
ま、映画自体はたいした映画じゃなかったけどね。星ひとつ半くらいかな。
『レイン』、よい。感動した。珍しくパンフなんぞ買ってしまった(今年は『息子の部屋』についで2回目ね)。ろうあ者の殺し屋というアイデアがまず秀逸だと思う。あとはけっこうコテコテなストーリー展開なんだけどね。でも、オレにとっては、無問題。唯一、オレが思うのは、主人公のろうあ者の殺し屋のすさんだ私生活をもっと描きこんでればなァ…ということ。特に、女関係、SEXを中心にね。そういう部分の描き込みが全くないので、あの殺し屋と純真な少女の出会いが、処女と童貞の出会いにしか見えないのだ。つまり、絵に描いたようなキレイ事の世界にしかね。ま、女の子は当然処女としてもね。殺し屋のすさんだ私生活(女関係を中心としたね)、そういうのが少しでもあれば、少女との出会いがより輝きを帯び、より悲劇の度合いが強まると思うのだが…どんなもんかね?
久しぶりに阿佐ヶ谷のジャズバー「スターダスト」へ。今年初めてママに会ったので、ついつい話し込んでしまい、ふっと気づいたら深夜の3時。またもや今日も朝までコースかよ…と思いつつ、ママと歩いて高円寺。そこで別れ、オレは一人さびしく駅前の「角屋」で朝まで呑んでいたのだった(「鳥やす」が、マスターの松木のやる芝居『ハムレット』の本番近くで営業してなかったのだ。)

2002.2.5(火)

新宿国際で上映中の最近作『OL性告白 燃えつきた情事』を見に行く。
近いうちに、オレの映画でデビューさせる予定のAVギャルの紀子も連れて行く。
終了後のオレと紀子の会話。「どうだった?」「途中で驚いちゃって。アレ、これって去年私が見たキアヌの映画『ウウィート・ノベンバー』と同じじゃない。な〜んだァ、もう話分かっちゃったァ…と思いながら見てたんだけど、ラストが近づいてきたら泣けてきちゃって…。キアヌの映画の時は私全然泣けなかったんだけど、どうしてマネしたヤツで泣けちゃうのよ、なんで?−と思いながら見てしまいました。今もまだウルウルしてます」。
うれしいなァ。まさにキアヌの映画にはない「泣ける」という映画をやりたいと、五代と進めた作品なだけに、ズバリ言われると、「そ、そうだろ、そうなんだよねェ。泣ける映画にしたかったというのが最大のテーマだったんだよねェ」なんて舞い上がってしまうオレであった。
と、いきなり「池島さん!」と呼ぶ声。誰かと見れば、ライターの切通理作ではないか。「なんだ、切通くんじゃないの? こんなに聞こえなくて、話分かった?」と聞くと、「ここ(国際)は一番前で見てますから、かろうじてギリギリセリフは聞こえます。上(オーピー系の方)は全然聞こえないので、オーピー作品は上野で見てますけど」「あ、そう。今のどうだった?」「ウルウル来ちゃって…」「あ、そう、ありがとう」。
ということで珍しくオレの映画ほめてくれた切通くんとは別れたのだが、今の会話の中にも出てきた「音」の問題ね、また言及しなくてはならない。
去年の夏、後藤組『喪服の女 崩れる』、田尻組『姉妹OL』を見た時は、国際の音、少しはよくなったと思ったものだ。石動三六氏も、ちょっと大きくなりましたね、なんて言ってたしね。
それがだ「最近また以前のようにほとんど聞こえなくなりましたよ」と石動氏にも言われていたのだが、自分で見てみて、ガクゼン。
まったくその通り。ひどい。映画を見せる環境ではない。例。オフの音、セリフは全く聞こえない。電話中の相手の声−全く聞こえない。こんなのアリ!? ちゃんと入ってるのに! つまり限りなく、音の入っていないラッシュフィルムを見てる感じなのだ。
ラッシュってのは、完成前だからね。
「オイオイ、完成前のフィルム回して金取るなよ」てことなのだ。
こんなもんで、よくまあ、紀子も切通くんもウルウルしてくれたものだ。ということは、フツーに音が聞こえたら、もっと感動してくれたということなのだよ。
つらい、つらいねェ。自分の映画が理不尽なイジメに会ってるみたいでねェ…。
なんとかならないものなのか…。
声を大にして言いたい。
なんとかならないものなのか!!
みんなで、映画館に言ってもらえないものなのかな? 全然聞こえないって。お客一人一人のそういう声が少しでも集まってくれば、ちょっとは変わってくんじゃないかな…と思うのだ。オレ一人ではどうにもならない。
とにかく、なんとかして欲しいよ!!

2002.2.6(水)

女のコと面接。神戸くんの紹介のギャル2人と会う。
倉沢七海くんと渋谷千夏くん。
七海は、AV歴数年というAVギャル。おとなし系。
千夏は、AV歴なし。SMクラブでバイトしてるってことで全く裸にエンがないわけではないが、とにかくポルノ関係の映像には全く出たことがないという人。アクティブ系
2人とも全然キャラ違うんだけど、それぞれに面白くてね。オレはこの2人にはやってもらうしかないと思ったしだい。
とにかく、「今やりたい」という気持がすごいのだ。2人とも、ということは、明日はどうなるか分からないのだ。つまり、「今」なのだ。使うとしたら「今」しかないのだ。
相当な冒険だけど、紀子も含めて、3人、次の2作で使う決心をする。
オレも覚悟を決めたよ。
ここ5年ほどで、オレから始まった、または、オレが育てたといえる女優は何人もいるが、ピンクのレギュラーと言える存在になったのは3人−佐々木基子、水原香菜恵、河村栞−だ。河村以来、ちょっとレギュラーまで育ったのがいないので、今年はそろそろと思っているのだ。この3人がそうなるかどうかは分からないが、とりあえずやってみないと結果は出ないしね。ま、気持を見せてくれたコが3人いるので、やってみるか!ということだ。
五代と会う。オーピー映画『欲望という名の電車・ピンク版』の決定稿上がる。ちなみに、仮題は、『デラシネノオンナ』。
新東宝『暗くなるまで待って』の直し。途中で2人ダウン。こちらはまた後日ということだ。

2002.2.7(木)

オーピー『デラシネノオンナ』印刷所へ入稿。新宿ピカデリーに『ラットレース』見に行ったら、上映していなかった。ちょっと客入んないと、コロコロ変えるからなァ、劇場も。おバカ映画、すごく見たかったんだけどね。仕方ないので、『息子の部屋』を再見。徹底的なリアリズム演出にまたもや圧倒される。「映画には文法はない」という小津の言葉も思い出し、オレにはとても勉強になる映画でもある。
女のコのキャスティングも決める。
オーピー『デラシネノオンナ』の方に、倉沢七海、渋谷千夏、新東宝『暗くなるまで待って』に、紀子、と決めた。これで、オーピーの方は他に、若宮弥咲(星座のヒロイン手塚美南子の芸名)、新東宝は、ヒロインに葉月螢、そして、美麗…ということになる。

2002.2.8(金)

オーピー『デラシネノオンナ』印刷台本上がる。助監督の佐藤吏、田中と簡単な打ち合わせ。ドキドキしながら抜てきした七海も呼んで台本渡す。
夜、高円寺「ペンギンハウス」でのライブを見に行く。姫路の天才少女2人組COAが来たのだ。監督の後藤ちゃんもしばらく前から見たいと言ってたので2人で行く。
やはり、いい。オレは音楽に関しては全くのシロウトなので、よく分からないのだが、COAは、すごくいい。とても、スリリング。とてもデッカイ音だけど、生理的に心地いい。そして、とてもカッコイイ。ベースのEDIE、ドラムのBILL、2人ともフツーの女のコなんだけど、どこに、そんなパワーがあるの? どこにそんな才能があるの?−って感じなんだよ。ライブ聴いてると、陶酔して、ホント、惚れちゃうよ。
興味ある人、ぜひ見てね。今後はオレも早めに告知するからさァ。ちなみに後藤ちゃんもエライ感銘を受けたようで、自分の作品の音楽で使えたら…とか、なんたらかんたら言いだしてね、さすがだよ、後藤氏も−と、オレは言いたい。
とりあえず、みなさん、「COA=怖」をお忘れなく。
COAでテンション上がったオレと後藤ちゃんは、そのまま呑みに突入。途中、オレは次回作『ジラシネノオンナ』の台本渡しで、手塚美南子=若宮弥咲を呼んだりしたけどね。「じじばば」→「鳥やす」→「角屋」と呑み歩く。「角屋」には佐々木麻由ちゃんも呼んでね。結局は朝の7時まで呑んでしまったのだった…。

2002.2.11(月)

五代と打ち合わせ。3月2日から入る新東宝のね。仮題『BLACK OUT』。

2002.2.12(火)

オーピーでプロデューサーのS氏と話し込む。
夕方3時。シネキャビン。次回オーピー作品・仮題『デラシネノオンナ』で重要な好役を演じる倉沢七海くんと会い、特訓。故人レッスンなんて、実に久しぶり。終了8時。それから呑みに行く。最後は「if」で沈没。朝の8時まで呑んでしまう。24日のクランクインまでに、こんなに呑めるのはあと一回くらいかなと思うと、ま、いいかって感じね。

2002.2.14(木)

新東宝作品・仮題『BLACK OUT』決定稿上がる。