2003.10.14(火) テアトル新宿で『アイノカラダ』見る。 新人・村上なほが、いまを生きる女性たちのエピソード5編を連作風につづった監督デビュー作−とチラシにあるが、まさにそのとおりの映画。あとはその5編の内容と全体として見えてくるものはあったか?ということだが…。 オレはけっこうこの作品気に入った。特に女優とダンサーのエピソードは面白かったね。 ただ、第1話の新人カメラマンの話の抽象論と、それとリンクしてくる第5話のレズ・カップルの話、これが今ひとつ。特にレズ・カップルの話が、第1話のカメラマンとリンクさせるためだけにあるという感じで、つまり、2人の関係性が描写がくいたりず、リアリティを感じなかったのだが、これをもう少し練ればなあ…と、少し惜しいなという感じね。 でも、全体としては好印象。キャメラがよかった。 2003.10.15(水)〜18(土) 久々にAVの監督をする。4本撮り。特に言うことなし。 2003.10.20(月) 新宿ピカデリーで、たけしの『座頭市』。 ま、細かいことはここではいいのだが、オレが一番ビックリしたのは、北野武の映画を特徴づけていた、「タケシの映画の殺人シーンのコワサ」がここには全くないことにだ。人はあきれるほどたくさん死ぬが、そこにはコワサが全くないのだった…。 ま、全体としては、オレは楽しく見れたけどね。 2003.10.24(金) 五代暁子と打ち合わせ。 来年早々にやる予定の新東宝の企画の立ち上げ。五代もオレもためこんだアイデアを色々出すが、どれもが今ひとつ。 どういう企画かというと、以前、荒木太郎が吉行由実と組んでやった『せつなく求めて』のようなものだ。 つまり、新東宝の注文としては、2本撮りしてくれと。しかも内容は、一本一本は独立しているが、同時に見ればつながっているというものだ。 なんだ、そんなのいくらでもアイデアあるじゃないと思うかも知れないが、そういう誰もが思いつくものって、結局はそういうことであって、今ひとつ面白くない。それに、実はもう一つの条件があって、なかなかこれが難しいのだよ。 もうひとつの条件とは、ヒロインは変えてくれというもの。 これが難しいのだ。 どれもこれも「帯に短したすきに長し」って感じでね。今ひとつ面白がれない。 オレの場合、とりあえず、面白がるとこから始まるんでね。 こう着状態…その時、五代が「こういうのはどう?」と言ってきた。 ン…、それだ! それでいけるよ!ってアイデア。ま、生まれちゃえば、なんだそういうこと、ってことなんだが、オレはこれで一気に盛り上がる。 それでいこう! それでいい! 面白い! 出来た…そう、この、映画がもう出来たかのようなサッカクにとらわれることがオレの場合は重要。これで一気に乗るからだ。 どんなアイデアか…それはまたあとでね。 なんせ来春にクランクインという予定のヤツなんで、今はあまり言いたくないということ。 でも久しぶりだね。というか、ここ数年ないか。企画からクランクインまで半年間のスパンのヤツなんて。だいたいいつもは1〜2ヶ月のスパンでやってるもんね(ちなみに一番長かったのは、98年にやった『超いんらん 姉妹どんぶり』ね。オレがAVの監督から始めた87年頃に考えたものだったからね。10年もかかったわけだ。どこもやらせてくれなくて、最後に国映のおネエちゃんが「いいよ」と言ってくれてやれたのだった。そういうのもあるけどね)。 2003.10.27(月)〜31(金) AVの編集。特に言うことなし。 2003.11.2(日) 新東宝の例の2本撮りのプロット上がる。 面白い。これでいけるだろう。五代暁子は天才だ。 2003.11.4(火) 次回オーピー作品の初稿上がる。巨乳ちゃんとフツーパイが入れかわるというヤツね。 一気にスケジュール決める。プロデュース作の森山組が今月の16日クランクインということもあって、オレの方は、12月13日クランクインとする。その他のスケジュールもバタバタと決め、初号は来年の1月7日ね。 ま、新年会ということで、ちょうどいいか。 そういえば、来年の1月10日(土)、上野オークラで『痴漢電車 誘惑のよがり声』の舞台アイサツが決まる。愛田美々、山口玲子、望月梨央、柏木舞の女優4人衆勢ぞろいとなるので、ぜひみなさん来て下さいね。 2003.11.5(水)〜7(金) AVの撮影・編集。久しぶりにAVをガンガンやってる。ま、食うためだ。映画だけで食えれば、どんなにいいことか。しかし、オレほどの売れっ子でさえ食えないという現実が厳然とそこにはある。ま、今さらなんだけどね。オレは二十数年前のピンク・デビュー以来、ピンクそのもので食えたことは一度もないので、長い間、それを別に不思議とも思わず、楽しいということだけでやってきてはいるが、ごくたまに、ホント、ごくたまになのだが、「?」を感じ、ほんの少しせつなくなることもあるのですよ。今年なんか、プロデュース作も入れれば、実に10本以上の映画を作っているというのに、そのオレの収入といったら、「…」だよ。恥ずかしくてとても口に出さないよね。人一人食っていくことも出来ないくらいのひどさです。ホント、いい歳して恥ずかしいと思う。しかし、しかしだ、映画を作るという楽しさ、魅力、魔力の前では、そんなこと普段は全く考えもしないということも、また事実なのだ。今や昔ほど面白く思えなくなったAVの仕事で消耗し、グッタリしている時に、そんな思いが、フッとよぎるだけなんだけどね。 ホント、映画って、コワイ…。 かくて、今日もありがたくAVをやりにけり、だよ。まったく。 7日は、俳優の牧村耕次の家で飲み会あり。オレ、なかみつせいじ、舞まち子など10人ほどの役者連が集まり、朝までしとど、ホント浴びるほど飲む。翌朝、よくぞ家まで帰れけりだ。 2003.11.10(月) アンディ・ラウ、トニー・レオンの2大スター共演の香港映画『インファナル・アフェア』と、タランティーノの『キル・ビル』を見る。 『インファナル』は面白かった。「潜入者」として、マフィア、警察の組織で生きる2人の男の「無間地獄」を生きるかのような生き様、宿命を、すさまじい緊迫感でもって描いたサスペンスの傑作だ。やはり、2人のスターがいいよね。 『キル・ビル』はガッカリ。前半はワクワクする展開で見せていくが、後半失速。単純に疲れてくんだよね。話で引っぱれないのが、その要因だと思う。オタクの「映画愛」だけでは、やはりどうしようもないのだ。それにしても『パルプ・フィクション』の 頃の、切れ、展開の妙、しゃれっ気はいったいどこにいってしまったんだろう? 2003.11.12(水)〜14(金) AVの撮影・編集。 2003.11.15(土) 小林悟監督三回忌。法要の終った午後3時頃から、なんと翌日の午前8時頃まで飲み続けたのだった…。最後は「PG」ライターの松島氏と電車に乗ってたなァ。 2003.11.16(日)〜18(火) 森山組『後家・後妻 生しゃぶ名器めぐり』撮影。森山・6作目のピンク。佐野和宏脚本・主演。佐々木麻由子ピンク復活2作目。 見どころは、佐野和の坊主頭。みごとに剃ってしまったよ。また似合うんだな、これが。 ロケはすべて、塩山の水上荘。 オレは2日目の午後、顔を出し、3日目の夕方過ぎに先に帰る。 今日驚いたのはその進行の早さ。これが「あの森山組!?」かとビックリした。だって、初日も二日目も、夜中の1時、2時に終ってるんだもん。逆に「どうしたんだろ?」と心配になるほどだった。最終日こそさすがに朝までやってたけど、それは理解の範ちゅうというか一日くらいは当たり前。まるでオレの組のようだった。 なにげに見てたけど、キャメラマンの長谷川氏の仕切りのうまさを感じたね。現場をリードしてたのは長谷川氏だった。もちろん森山自身のこれが3本目となる3日撮りに対する意識の持ち方の変化もあるわけだけどね。つまり、分かってきた、慣れてきたということね。 キャスティングもピッタリはまってる感じ。新人の神島美緒はものすごくヘタだが、これが役のキャラにハマってて、実にいい感じ。なんといっても本物の19歳というのがすごい。しかもなったばかりという、ふとした表情が林由美香にも似ていたりしてとてもカワイイ。このコいいですよ。佐々木麻由子。2年前、彼女がやめる時に「引退じゃありません。ちょっとピンクを休むだけです」と言ったオレの言葉どおりに戻ってきた。オレもうれしい。ここで麻由子がいればなァ、と思うことが何度かあっただけにね。今回は麻由子のウェディングドレス姿が見れます。そしてなんといっても、佐野の坊主だよね。コレはオレも仕上がりが楽しみだね。 あとは森山のウデだな。どのようなコメディに仕立て上げてくるか。楽しみにしてよう。 2003.11.20(木) 森山組編集。オレは次回作の脚本の直し。仮題は『Gショック!』。オレにも「ショック!」あり。山口玲子とWヒロインで内定していた西園きさら(『ノーパン2』でデビューしたコ)が、いきなりダメになってしまったのだ。また女優探しかよ。ホント、まいったよ。 |