2003.7.19(土) 17日から始まった「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」だが、今日はオレの『恋する男たち』が上映される日。 会場は青山スパイラル・ホール。オレは初めて行ったのだが、まずその会場に驚く。 とてつもなくお洒落な空間設計の建物の3Fにそれはあり、こんなハイソなところで、オレの超ハードなSEXシーン満載の映画が上映されるという不思議。いいの?って感じ。 そして気づいた。このイベントはオレがいつもかかわっているピンク映画のイベントではないのだという当り前のことに。 つまり、フィルム一本かついで、ピンク村から、シティ=都会にやって来たということなのだな。 そうなるとあとは、どの映画もキャパ(400人強)いっぱいの満員になるということなので、オレの映画も満員の客が集まってくれるのだろうかということと、もうひとつは、はたしてオレの映画が受け入れられるのだろうかということが、オレにとっての大事な勝負の分かれ目となってきたのだった。 少し不安。 ところが上映の30分ほど前から広いスパイラルのロビーには人があふれかえってきて、少し安心。 客席に座って回りを見ると、かなりの熱気で直前には空席の無い状態。遅れてやってきたオレの知人は立ち見だったよとボヤいていたので、つまりは満員だったということ。 うれしい。モーレツにうれしい。一度に400人以上の人がオレの映画を見るなんてことはかつて一度もない。うれしくないわけがない。 映画が始まった。 最初の笑いが起きたのは、一度目のSEXシーンの射精のシーンの時のことだ。ボカシの中のペニスから、とても人間とは思えないほど大量のザーメンが発射された瞬間、客席がドッとわいたのだ。そうか、ここで笑ってくれるんだ。現場の時もこの射精カットではみんな大笑いしたものだ。馬だよね、馬のように出たよな、でもコレがいいんだよね−と、大いに笑って撮影していたのだった。 こういうシャレが分かってくれるんだ、ここの客たちはと大いに感激。 おとは波状的に笑いの渦がわき、オレもいつしか客に乗せられ大笑いしながら映画を見ていたのだった。 そうか、そうだったのか。この映画はこうして笑いながら見ているとより楽しめるということを、オレは客に教えられ、そのことはとても新鮮な発見であった。 それは、オレの作った映画がオレの手から離れ、客たちの間を巡るうちに、その見知らぬ他人である客たちのエキスをたくさん吸収し、よりたくましいものとしてオレのところにもどってきたという感じでもあり、こうなると新鮮な驚きだね。 例えれば、旅に出した子供が、よりたくましくなってもどってきたという感じかなのかな。親にも分からない部分をたくわえてね。つまりは、一人前になっていくのだ。 そうすると、オレの『恋する男たち』も、スパイラルのお客さんたちによって、少しは一人前になったのかな?−なんて思ってしまったのだった。 映画が終った。すさまじい拍手が場内を包んだ。ビックリした。 上映後のトークイベントもなかなかよかった。出席者は、オレ、脚本の五代、俳優の正一、兵頭未来洋、石川雄也、桜井雅也、そしてゲストに色華昇子。司会は、活弁映画監督として一部でカルト的な人気の山田広野氏。 このイベントに参加出来てホントよかったと思う。 実行委員の早川由美さん、本間えつさん、大蔵映画の富田氏など多くの人のおかげだ。 今後も、この映画祭に参加出来るような映画を撮るというのが、ひとつの目標になった。 終了後は五代、色華、見に来た望月梨央、マニアの太田泉くんと飲みに行く。最終的には阿佐ヶ谷のまるきやで朝の何時までだろう、記憶にないくらい飲んでしまったのだった。 2003.7.21(月) 次回オーピー作品の初稿上がる。痴漢電車もので、仮題は『タッチ&ゴー』。9月7日クランクイン予定。 2003.7.22(火) 久々に横浜をブラつく。というのも、8月9日に光音座のホモ劇場の方でトークショーをやることになっていて、今日はその打ち合わせと下検分といったところ。 このトークショー、またもや『恋する男たち』なのだ。今年、上野傑作でトークショーをして以来、先日の青山スパイラルでの上映、ティーチイン、そして、次は8月に光音座と実にひとつの映画で3回もトークショーするという、オレにとっても全く初めての経験だ。 オレの手から離れたあと、こうして何度もオレをあっちこっちに引き回して楽しませてくれる、ホント、この子(『恋する男たち』)はいい子です。 実はオレ、光音座も、光音座のある日の出町界隈も行くのは全く初めてのこと。横浜へ遊びに行くとなると、どうしても山下公園とか中華街ってなっちゃうもんね。 光音座、いいねえ。スクリーンも音もピンク館の中では一番いいかも。アットホームな場内の雰囲気もいいし、一辺で気に入ってしまった。 日の出町もいいねえ。日の出町から桜木町まで歩いてみたが、路地裏に並ぶ、ちょっと東京の飲み屋街とは雰囲気の違ういくぶんかの妖しさをたたえた飲み屋街のたたずまいには、オレのドランカーごころが大いに刺激を受けてしまったのだった。 それから、赤レンガパーク、よこはまコスモワールド、みなとみらい界隈とぐるりと一周して帰途についたのだが、やはりヨコハマはいいなァ。街全体が巨大なアミューズメント・パークのような趣でね、実にワクワクさせられる。回り中アベックだらけだったが、その中を一人歩くというのもなかなかいいものでしたね。 夜は樹かずが中野で始めたバーの今日が開店日ということで、望月梨央と一緒に行く約束をしてたので、かずの店の開店時間の深夜3時まで、3軒ほどハシゴして、4軒目でやっとかずの店。佐々木麻由子嬢にも連絡すると「行きますよ」と来てくれた。朝の7時頃まで飲んでいたのかなァ…。店の名はゴールド。中野武蔵野ホールのすぐそば。深夜2時から朝7時まで。TELは03-3388-2770。行ってやって下さい。 2003.7.25(金) 森山組、オーピー映画・佐々木日記主演『OL日記』クランクイン。脚本・佐野和宏(森山組2本目)。 今作で森山は5本目、今年に入ってからは3本目となる。 今回は、佐野和宏が現場ずっと付くと言ってるので、オレはあんまり行かない方がいいだろうと思い、ちょっと引いたスタンス。セットも狭いトコが多くて、実はそっちの方がイヤだったりして…。 夕方、現場のラブホテルに顔を出す。オレもちょっと出番があったのでね。爆乳の山口玲子嬢(新田組、加藤組につづき3本目)としばし談笑。現場相変わらず押していて、オレの出番今日はなしとなる。仕方がないので10時頃先に帰る。 2003.7.26(土) 森山組2日目。今日は一日中、小平にある某監督のアパートを借りての撮影。オレの家からは自転車で20分くらいのとこなので、自転車で出かけて夕方2時間ほど顔を出す。昨日も今日も佐野チンがよく働いている。はっきり言って、現場ではオレより役に立つな。 夜は久しぶりに桜井さんのライブ。吉祥寺Be Point。桜井さん、相変わらず好調。『こんな、ふたり』を歌ってくれたし、満足のライブ。次は桜井さん、8月23日にBe Pointでやります。このライブ、おすすめです。バンド編成でやるのだが、このバンドの面々の音がまたいいんだな。実に得なライブだと思うので、みなさん、一度桜井さんのライブを見に行くといいと思います。楽しいです。保障します。オレも行きます。女優も一人二人つれていくかもしれません。みなさんも来て下さい。会場で会ったら声をかけて下さい。ヨロシク。 2003.7.27(日) 森山組最終日だが、撮りこぼしがそれなりにあるので、4日目に突入するのは確実な状況。 今日は、朝7時から深夜0時までが高円寺のスナックを借りての撮影。そのあとは、急遽、野方の某監督のマンションを借りての撮影の予定。 オレは夜の9時頃顔を出す。借りるバーが狭いので、その近所にある佐野和が水曜だけマスターをしてる店を控え室にしてるのだが、もうすでに飲んでいた佐野チンと一緒にオレも飲み始める。松島氏もいたな。 深夜1時過ぎ。バーでの撮影終了。それからオープンロケ。オレたちは佐野チンの店で飲み続ける。3時頃やっとお呼びがきて、野方へ移動。5時過ぎ、やっとオレの出番となる。ところが、エッ、何、コレ?!といった感じのショット。オレの腰の一部しか写さないのだな。なによ、こんなんだったら助監督でも誰でもよかったじゃないよ、というショット。フツーの俳優なら怒ってしまうかもしれないが、オレはプロデューサーなので、ま、いいかと怒らず静かに身をまかせる。 6時頃終了。さ、帰るかとオレだけ現場をあとにする。外は朝。あいにくタクシーがほとんど走っていない時間帯。仕方ないので高円寺まで歩く。昔、20代の頃、野方に3年ほど住んだことがあり、その頃はよく高円寺・野方間を歩いたもんだったのだ。 2003.7.28(月) 森山から「今、終わりました」と午後の2時頃電話があり起こされる。ごくろう様。 2003.7.29(火) 森山組編集。67分ちょい。ちょうどいい感じか。 2003.7.30(水) オールラッシュ。60分代になる。 2003.7.31(木)〜8.3(日) 式根島へ行く。今年は五代親子と五代の友人の母子との5人連れ。3週間前まで沖縄に6日行ってたので、ここ30日で10日海に行ってることになる。遊びづけという感じ。仕方がない。ヒマだもの。思い切り遊びの夏になってよかった。 式根は今年もキレイだった。余りに透明度の高い水に一種神秘的な気分にさせられた。 来年も式根は絶対行こうと思う。 2003.8.4(月) 森山組ダビング。終了、深夜1時。飲み会となる。朝の5時頃、みんな倒れるように眠りに入る。オレも倒れそう。世田谷の事務所までタクシーを飛ばし、珍しく事務所で寝る。 2003.8.5(火) ミラノ座で『マトリックス・リローデッド』。もはや1作目ほどの面白みはなし。白けた。 2003.8.7(木) 池袋・芸術劇場小ホールでめ組公演『赤報隊始末記』見る。また、め組だよ。この前見たばかり(6月22日、下北沢・劇小劇場)。この快ペースはいったい何なんだろう?−と、とりあえずは感心。 でも今回は、め組の悪い時のパターンに入っていたな。何度も見てるから、大体のパターンも読めてきたのだが、め組の悪い時って、登場人物が多い時、200人以上のキャパでステージも広い時−この2点に集約される。 登場人物が多いと、どうしてもそのさばきが中心になってきて、特定の人物をじっくり描くというのが弱くなってくる。 やはり個性的で魅力的な人間を見たいもんだよね(前作での玄蕃とか十平次のようなね)。歴史を絵解きしてもらってもしようがないもんね。そんなテレビドラマの総集編みたいなもんじゃなくて、舞台で見たいのは、人間なのだから。 め組は役者の2枚看板がちゃんとそろっているのがいい。今回もその2人(新宮乙矢、藤原習作)はいい。オレは特に藤原クンのファン。最近不調だった渡辺城太郎も今回は徳な役どころでよかった。この3人を中心に、個性と魅力あふれる人間をこれからも見せて欲しいものだ。それから女優ももう少し大事にして欲しいな。せっかく平沢昭乃さんのようなコメディエンヌもいるんだからね。 ま、いずれにしても座付作者の合馬百香さんは才女です。オレは初めてめ組の芝居を見た時、これは日本のシェイクスピアかと思ったものだ。清水次郎長を中心にした幕末ものだったが、またあの手の史実にとらわれないアバンギャルドなエンタテインメント時代劇をやって欲しいものだ。 2003.8.8(金) 森山組『OL日記』初号試写。森山、前作に続いて、なかなか好調です。 2003.8.9(土) 横浜光音座にて『恋する男たち』トークショー。 あいにくの台風。お客いないんじゃないのと思いながら強風の中を役者たちとカサをこわしながら光音座までたどりつく。出演者は、オレと正一と兵頭未来洋。特別ゲストに樹かず。他には、柏木舞と木の実葉が遊びに来た。 客入り。ガラガラということはなく、半分以上は埋まってる感じ。少しはホッとする。しかしこの映画、上野、青山と超満員の客の中でトークしたので、その意味ではちょっとガッカリ。ま、台風だ。仕方ない。 せっかく女優が2人いることだしと思い、急遽光音座2のピンク館の方でもアイサツしようかとなり、柏木と木の実の2人連れて、いきなりの飛び入りのアイサツをする。オレの映画やってなかったので少し残念だったが、お客さんはいきなりの飛び入りを面白がってくれたみたいで、5分の予定が15分もやってしまう。 で、本番の『恋する男たち』の方。こちらは予定通り1時間。ま、いい感じではあったのだが、上野の時よりちょっと下ネタが少なかったかなと反省。少しエンタテインメント性に欠けてたかなと思ってね。ま、その時のノリなので仕方ないけどね。 光音座の印象だけど、固定客が多いせいか、とてもアットホームで雰囲気も重くなくいい感じ。それに、意外と若い人が多いなと思った。ショーのあとの飲み会にはお客さんも7、8人参加してくれたのだが、みんな若い人ばかりだった。オレ、久々にくどかれちゃったし、楽しい飲み会だったよ。 今度はブラリと「遊びに来ました」と言って寄ってみたい小屋だね、あそこは。 |