2002.11.22(金)

オーピー作品『熱い肉体 濡れた一夜』編集。総尺71分以上になっていた。つまり、10分以上は切らなくてはならない。6、7分オーバーというのはいつものことだが、10分以上オーバーというのはいつ以来のことだろう。もう、こうなるとHシーンだけをカットしていけばなんとかなるというものではない。割り切って、バサバサと切っていくしかないのだ。しかし、なんでこうなっちゃったんだろう? 別に長いホンというわけでもなかったのに…。というか、フツーより少し短いくらいのホンだったんだけどなァ…。分からない。別にからみで特別長く回したということもない。だからフシギだ。なんで?…。
映画は、やはり難しく、永遠のミステリーだ。
編集後、夜の6時から、新東宝で打ち合わせ。森角のホンの件だ。

2002.11.24(日)

30年来の友人である伊井くんの飲み会に出席。いつもながらの御年配の人々の中に、珍しく若いコが3人ほどいる。そのコたちが面白くてね。行ってよかったよ。
少女椿ファン倶楽部「みどり」というミニコミをやってる女の人と、その同人である詩人の女のコ2人−花女と水子。
花女と水子の詩はなかなか興味深い。
ミニコミ「みどり」には、例えば「PG」の紹介が出てたりするのも興味深い。
それから、清水真理さんという人形師も紹介される。
怖と後藤大輔じゃないけど、こういう出会いから何か面白いものが産まれるかもしれない……そう思えるだけで、オレなんかうれしかったりするんだよね。

2002.11.25(月)

オール・ラッシュ。ラッシュ後の再編集、悩んでいたってしようがないので、気持いいくらいバサバサとカットしていく。結果、見事に10分カット出来て、61分強となる。ギリギリOKか、しかし、この悩みのなさはなんなんだろう? フツーはもっと断腸の思いで切っていくんだけどなァ…。それだけ、今回の作品、根本的な部分で思い入れがないのだろうか? 死ぬ思いで一生けんめいやった作品ではあるが、やはり根本的にダメなものはしょせん無理だったのだろうか? 今回のヤツって、かなりムリしてでっち上げてるんだよね。『セレンディピティ』だけじゃダメなんで『サイン』をプラスしたりしてね。でも、それってしょせんは悪あがきでしかなかったんだろうか?−珍しく考え込んでしまう。

2002.11.26(火)

アフレコ。
今回の作品は珍しく色んなトラブルがあったが、アフレコにまでトラブルが付きまとう。北条湖都が前日肺炎で倒れ入院したとのこと。またかよ! 急遽アテレコを頼む。バカキャラつながりで小の実葉=麻生みゅうに頼むことになったのだが、さすがみゅうというか、すばらしいノリと声で、朝一に来てもらったんだが、バタバタと北条のシーンが片づいていく。午前中からこんなに回るなんてほとんどないというくらいのテンポ。ま、それだけみゅうがすばらしい出来だったんだけどね。
役者は声が命とは、オレが数十年前の演劇青年時代から思っていることだが、今回のみゅうのすばらしさには、まちもや、その思いがよこぎった。だって、あんなヘタクソな北条湖都がみゅうのアテレコひとつで名演技に見えてきちゃうんだもんね。
今度、麻生みゅうのことは、ピンク界最強のアテレコ女優と呼ぶことにしよう。
そんなわけで、いつになくテンポよく進み、今回は珍しく0時前、ひょっとしたら10時くらいに終わるのではと思ってしまったのだが、意外な伏兵がいたのだった。
現場で、佐々木共輔急病のため、急遽来てくれた松田信行くん。芝居ぶりといい、ホント救世主みたいに思っていた松田くんのアフレコで急停車。ま、あとで思えば、彼もアフレコ2回目だし、そんなうまくいくハズないよなとは思うのだが、その時は、いきなり天国から地獄へとつき落とされたみたいな気分になってしまったのだった。
そんなわけで、終わってみればいつもと大差ない午前0時。ま、しようがないよね。
そのまま呑み会に突入。朝の5時頃解散。オレは珍しくシネキャビン泊まり。

2002.11.27(水)

午前11時から音入りラッシュ。そのために泊まったってわけ。
ラッシュ後は、そのビデオを持って音楽の大場一魅と夜会う予定。
夜まで時間つぶそうと映画館へ。新宿ピカデリー2の『たそがれ清兵衛』。なんと、すごい混み具合。しかも中高年ばかり。そうか、午後の時間帯ってこの人たちの活動時間なのか。あきらめて新宿東映『恋に唄えば』。こちらはなんと、広い場内に客の数10人くらい。なんだよ、新宿国際より入ってないじゃんかよ。見る。途中寝てしまう。金子修介にしたら今ひとつなのかな…。
映画はともかくひどい疲労感を感じる。一魅と会うにはもう一本見なくてはならないが、そんなパワーなくなった。一魅との打ち合わせキャンセルして、さっさと家に帰る。

2002.11.28(木)

夜、一魅と打ち合わせ。一魅と別れたあとは、久しぶりに鳥やすへ。いよいよ鳥やすも今月いっぱいで、ジ・エンド。麻由子さんも来て盛り上がり、最後はカラオケ・バー「みどり」でしめる。

2002.12.1(日)

ダビング。
デキシーランド・ジャズの調べに乗って快調にダビング進む。今回の作品で初めて手応えを感じた。
今回のヤツってオレにしては珍しく弱気になって、現場中、撮影の飯岡ちゃんに「オレのワースト5かも」なんて冗談めかして言うくらい、何か違うんだよね。
ダビングで初めてちょっとした手応えを感じる。ま、トータルに見てるわけではないので、分かんないといえば分かんないんだけど、少しはホッとする。
午前0時過ぎ終了。ま、いつもどおりか。さっそく呑み会へ。朝の6時まで呑んで、キャビンを後にする。

2002.12.2(月)

新東宝で森角・脚本の打ち合わせ。諸事情により、クランクイン、来年の1月上旬となる。ショック。12月はどんなに忙しくても、正月は遊んでいたいオレなのだ。ま、オレのつごうどおりいつもすべてうまくいくわけじゃないので仕方ないけどね。
森角のホン、あと少しだ。最後のツメというか、もう少しなのだ。
新東宝のあとは五代宅。来年の2月くらいにたぶんあるであろう次のオーピーの企画の打ち合わせ。次は、会社に押し切られないように、やりたいものを考えておこうということだ。今回のヤツがどうしても引っかかってしまうのだ。なんたって、ワースト5だからね。

2002.12.3(火)

新宿プラザで『ジョンQ』。はっきり言って全然ダメな映画だね。
そのあと、新人女優との面接。AVをやってる人で、芸名・望月梨央。なかなかの美人。とりあえず、2月にあるであろうオーピーの作品でデビューしましょう。本人は1月の新東宝の方にも出たいといってるが、これはもうキャスティング決まっているし、最初から主役でいった方がいいよということで、新東宝ではエキストラね。
それから、やっとピカデリー2で『たそがれ清兵衛』。やはり夜の回はガラリとすいている。
いや、すばらしい映画でした。さすがです。最近の日本映画では文句なしにナンバーワンでしょう。リアリスト・山田洋次ならではというか、決してヒーロー、ヒロイン足りえない、市井の人々に当てた目線のなんたるリアリズム。
これだけ泣かせる要素を含んだ映画でありながら、決して泣かせようとはしない冷徹なリアリズム。感動した。リアリストにして、稀代のエンタテイナーである山田洋次、本領発揮の一篇だ。
それから、オレの映画の撮影でお世話になった新宿の居酒屋「のだぴん」でうまい酒を呑む。

2002.12.5(水)

オーピー作品『熱い肉体、濡れた一夜』初号試写。
ガーン!!だ。オレの71本目となる成人映画監督作品。ワースト5どころか、ワースト1だよ、コレ。なんで、どうして、こうなっちまったんだろう? 分からない。今は、分からない。
ま、たまにはこういうこともあるさと思うしかないのだが、やはり落ち込む。やはり、尾を引いてしまう。
とりあえず、スタッフ、キャストに今回はゴメンねという気分だ。
ちょっと、悲しい。
映画は、やはり、難しい−のだ。

2002.12.6(金)〜8(日)

連日、雨。ホントよく降る。寒いしね。
そのせいと、やはり作品の出来が悪かったせいか、外に出る気にならず、連日TVの前に寝転び、ケーブルで映画とプロレス・格闘技ばかり見てすごす。
それにしても、K−1の「サップVSホースト」はすごかった。今年のすべての格闘技・プロレスの中で最高の面白さではなかったろうか。もうプロレスはかなわない。

2002.12.9(月)

『熱い肉体、濡れた一夜』映倫試写。
みゆき座で『ザ・リング』。つまらなかったわけではないが、疲れからか、前半は寝てしまう。
夜10時、東中野。次回作の脚本の森角と会い、ホンの直し。10月の21日に初稿が上がったのだが、なかなか決定稿までたどりつけず、それなりに難航してが、いよいよ決定稿の近くにまではたどりついてきたという感じだ。オレも最近は新人ライターと組むのは久々だし、というか、考えてみたら、新人のライターと組むのは、『ザ・裏本番 生いじり』の時の切通理作くん以来という10年以上ぶりのことであったのだった。
スケジュールも、ほぼ確定。クランクインは、1月10日の予定だ。
次回作でバン回しなくてはね。
深夜2時過ぎまで森角と話をして、それから近所の「リズ」までくり出す。「リズ」のあとは高円寺。「鳥やす」なきあと駅前の「角屋」で朝の6時まで呑む。
折から、東京では珍しい12月の大雪。雪の中を一日中さまよったせいか、またもやカゼを引いてしまう。

2002.12.10(火)

三百人劇場での山彦の会公演『山彦ものがたり』(有吉佐和子・脚本による舞台。しかもミュージカル)見る。
ミュージカル嫌いのオレがなぜにミュージカル見物かというと、前作のゲイ映画『恋する男たち』に出演した俳優の一人に矢本洋くんという人がいて、彼は文学座の養成所出身といういわゆる演劇青年で、当然舞台の人の知り合いも多く、そのうちの一人であろう松本邦裕さんという俳優さんを試写・打ち上げに連れて来たというわけ。で、その松本さんがこの『山彦ものがたり』に出演していて、オレを招待してくれたと、そういうわけだ。
この舞台、11月にニューヨークで公演をしていて、今回はその凱旋公演ということであったが、さすがにハイレベルな歌と踊りを見せてくれる。やはり、ニューヨーク帰りは違うね。特に女優陣のレベルは、そのビジュアルも含めて高いと思った。中でも、旺なつきさんという女優は特別にすばらしく、群を抜くカッコよさであった(あとで聞いたところによると、宝塚出身の方だそうで、宝塚のことは全くといっていいほど知らないオレは、やっぱり宝塚ってすごいんだなと素朴に思ったもんです)。
難を言えば、日本の有名な童話を中心に構成されているせいか、大人の観客に対するサービスがちと足りないのではないかと思った。全員が最初から最後まで、ほとんどが地味な百姓衣裳なのだ。端的に言って露出不足。全体にNHK教育テレビ的なのだ。そのへんがもの足りない。オレだったら、もっとハデにしていくね。例えば竜宮城の場なんか全員水着での群舞だよね。そうすることによって、エンタテインメントとして、もっと圧倒的なものになっていくと思うのだ。
ホント、あのステキな女優陣の水着姿を見たかったよ。セクシーだろうなァ。
そんなわけで、次に期待だね。

2002.12.11(水)

今回も芝居見物。下北沢「劇」小劇場で、劇団め組の『坂本龍馬』。今回はなかなかよかった。龍馬役の藤原習作が、龍馬の持つカリスマ的な魅力をかなりの部分で体現していたと思うからだ。ひょうひょうと大らかに、実に気持よそさうに龍馬を演じてるんだよね。それに彼、今回は実に声がいい。きたえてるなぁというのがよく分かる。自在に声をあやつっていた。
ただ作劇的には、龍馬の刺客となる佐々木唯三郎にもっとふみ込んで欲しかったな。龍馬暗殺という最大の悲劇を演ずる人物としては中途半端な印象。龍馬暗殺に向かう彼の心情がもっと色濃く見えることによって、より悲劇性が強まったと思えるのだ。
佐野和宏の店「バンプーハウス」に寄ると、なんと、榎本、坂本とそろって飲んでるではないか。麻由子嬢も呼ぶとさっそくやってきて、あとはオレかなり酔っぱらう。2、3日前引いたカゼがぶり返す。

2002.12.15(日)

鳥やす最後の忘年会。カゼの状態が悪くて本来は家でじっとしていた方がいいのだが、やはり、ここは「最後」とあって出かけてしまう。鳥やす満席の大にぎわい。明け方の4時おひらき。そこで帰ればいいものを、アルコールでカゼが引っこんでしまったオレは、それから駅前の角屋。朝の9時まで呑んでしまったのだった。

2002.12.16(月)〜17(火)

カゼ増々悪化。起きられない状態となる。森角とホンの直しをしなくていけないのだが、起きられないとあって、キャンセル。
こうしてオレは、酒で身をほろぼしていくのかなァ…。