2001.12.5(水)
久しぶりに朝まで5軒もハシゴして呑んでしまい、ここ10日ほどの疲れが一気に吹き出す。
それにしても嵐のようなここ2週間であった。12月14日クランクイン予定の佐々木麻由子ピンク引退映画の企画が、一転、二転して、やっと1週間ほど前に、キアヌ・リーヴス主演『スウィート・ノベンバー』のピンク版と決まり、五代暁子には6時間で初稿を上げてもらったのだった。
昨日には印刷台本も上がり、スタッフ、キャストにも配り、ホッと一息というところで5軒もハシゴをしてしまい、一気に疲れが吹き出したってわけ。
どうにも疲れ切っていて気が湧いてこない。仕方がない。気が湧くまで寝ていよう。そんなわけで、一日中寝てしまう。
いずれにしても、構想数日、準備10日間の映画−『ウィンター・スカイ』(仮題)がスタートした。
2001.12.6(木)
この日も一日中寝て、ブラブラ過ごす。
2001.12.7(金)
深町組『未亡人旅館3 女将の濡れたしげみ』アフレコ。
6時頃、オレと魔由子嬢、終了。寒い。ここはお酒でも呑んで温まろうよと呑みへ直行。2軒目で高円寺鳥やす。いつもだとこのまま朝までとなるのだが、明日はロケハン。仕方がないので、深夜1時近くの最終で家まで帰る。
クランクインまで1週間を切ったというのに、まだなにも手につかない状態だ。
2001.12.8(土)
ロケハン。朝8時鳥山集合。終了、夜の7時。真っすぐ家に帰る。
2001.12.9(日)
やっとコンテに取りかかりだす。
2001.12.10(月)
役者・打ち合わせ。12時スタート。終了6時。いつものオレだと、このままみんなと呑みに行くのだが、さすがに今回はそんな余裕がない。一人で、シネマスクエアとうきゅうでやってる『スウィート・ノベンバー』を見に行く。つい最近見たばかりだというのに印象が全然残っていなくて、とりあえずもう一度見とくかと思い見に行ったってわけ。
2001.12.11(火)
終日コンテ。
2001.12.12(水)
一人で烏山近辺の公園などをロケハン。8日に行ったばかりだが、コンテをやってると、どうしても、もう一度見たくなってくるもんなのだ。それにしても、オープン・ロケのメインで考えている公園のロケーションがすばらしくいい。探してくれた助監督たち(佐藤吏、下垣外純、井上久美子)の手柄だ。
ロケハン後は、深町組の初号を見に東映化学へ。だいぶおくれてしまい、ラストの15分しか見れず。後半30分に集中してるオレの出番だけでもちゃんと見たかったのだが、半分しか見れず。ちょっと残念。劇場で見よう。それにしても、今回のオレはいい。のびのびと実に楽しそう。深町組のオレってホント絶品だ。見ものは、佐々木麻由子とのからみです。からみのテーマは、「誰も知らない佐々木麻由子」。そう、彼女がやったことのないことをやってるのだ。この「誰も知らない佐々木麻由子」というフレーズは、オレの次回作である麻由子引退映画の時も、オレのひとつの大テーマとなるのだった。
打ち上げ。クランクインを2日後にひかえているので、夜の11時に退散する。ここんとこ、そんなのばかりで、チトさびしい。
帰宅後は、またコンテに入る。
2001.12.13(木)
イン前日。公開タイトルが決定した。『OL性告白 燃えつきた情事』だ。企画決定からクランクインまで2週間強というメチャクチャなスピードで進行したこの映画だが、逆にここ4、5日はかなり集中して考えることが出来た。「佐々木麻由子ピンク引退映画」でもあるこの映画。さて、どう転ぶことか。
キャスティングは、女優陣が、佐々木麻由子、水原かなえ、河村栞、男優陣は、オレの作品初出演の川瀬陽太、竹本泰志、そして、レギュラーのなかみつせいじ、樹かず、入江浩治、神戸顕一。
今回の作品のテーマをズバリ一言で言うと、「泣ける映画」だ。オレの個人的なテーマとしてもうひとつ、「だれも知らない佐々木麻由子」というのもあるんだけどね。
2001.12.14(金)〜16(日)
『OL性告白 燃えつきた情事』(新東宝)撮影。
初日。
例によって朝の7時半、新宿集合。いよいよ寒くなってきたなァ…と実感しつつ集合場所へ向かう。
まずは劇中最も重いシーンのひとつと言えるなかみつちゃんの告白シーンのオープン・ロケからスタート。初日の朝いちからいきなり重いシーンからということで、ちょっといやな気分なのだが、さすがなかみつちゃん、落ちついたただずまいで演じ切ってくれた。3分近い長ゼリフであった。
次にオープンをもう一ぱつ撮って抜弁天のTスタジオへ。オレの映画で最も多く使っているスタジオだ。まずは川瀬の事務所のシーン4シーン。次に、なかみつちゃんの部屋でのバースデー・パーティのシーン。コスプレパーティの趣向で、麻由子にはセーラー服、川瀬くんには学生服を着てもらう。なかみつちゃんは女装ね。脚本の五代、五代の愛息つぶらも顔を出し、なかなか微笑ましいシーンになったと思う。次に、病室シーン、麻由子のマンションでの浴室シーン、水原と竹本くんのからみシーンと撮って、夜の9時スタジオ撤収。新東宝へと向かう。
新東宝では、麻由子のオフィスシーンを4シーン。樹かずとのオフィスラブのシーンもあり。深夜12時半終了。
今日は10人以上の出演者がいたが、明日からは減っていく。川瀬と麻由子、2人の映画なのだ。
2日目。
7時半、新宿集合。一路、烏山へ。まずは烏山周辺の公園、住宅街、橋の上など。で、オープンを7シーン。午後の1時過ぎ烏山のKスタジオに入る。
河村栞と入江くんのからみ、麻由子と川瀬くんの目隠しファックなど5シーン撮る。夜の9時頃終了。新宿の伊藤清美のバーへ移動。
清美の店でワンシーン。次に高田馬場近くの路上でのナイト・オープン。終了、深夜1時半。
最終日。
昼の12時、烏山集合。そのままKスタジオへ入る。じっくりと十数シーンを撮っていく。なかみつちゃんも2、3シーンには登場したが、ほとんどが麻由子と川瀬2人だけのシーン。終了、深夜3時。夜食を食べ、仮眠をする。
早朝5時、スタジオを出る。クライマックス・シーンの撮影だ。空がうっすらと明るくなり始めた6時に撮影スタート。佐々木麻由子のピンクにおけるラストアクトだ。すばらしい朝日に包まれ、朝の8時、佐々木麻由子のラストアクトは終了した。
さらば、佐々木麻由子。オレの映画、8本目の出演作。丸2年の付き合いであった。
2001.12.18(火)
編集。長くなるなとは思っていたが、やはり長かった。69分以上の尺となっていた。今回は意識的にからみはあまり回してないので、尺をつめる上で困ったことになった。つまり、どうあがいても、7分も8分も縮めることなんてムリなのだ。
2001.12.19(水)
オールラッシュ。ラッシュを見て、意を強くする。コレ、面白いと思えたのだ。しかし悩みは尺つめ。仕方がないので、涙をのんでシーン抜きを敢行。一気に4シーンを抜く。からみも2分ほど切る。結果7分以上カット出来た。62分になった。でもあと1分以上ある。どうしたらいいのだろう? トホホ…だよ。
2001.12.20(木)
森山組のオーピー映画が今日からクランクインした。
森山は、2年ほど前まで、6、7年の長きに渡ってオレの助監督をしてくれていたヤツで、今回がそのデビュー作となる。オレはそのプロデューサーというわけだ。(それにしても今年後半はプロデューサーづいてきて、9月の後藤組に続いて2本目のプロデュースだ。ちなみに来年はもっと多くなりそうだ。今の助監督の佐藤吏もデビューするし、森山も当然2本目となるだろうし、樹かずもENKでのデビューをねらっているようで、オレにプロデューサーして欲しいなんて言ってきてるしでね。ま、楽しいことだ。)
5日撮りというぜいたくさ。デビュー作だし、ま、いいか。
オレは午後の3時、ロケ現場である早稲田大学へと向かう。以前の「PG」にも書いたと思うが、偶然呑み屋で知り合った小村くんという男のコがワセダの学生で、かつ、演劇をやってるということで、オレが森山組の主演の男のコ役に強引に押し込んだのだが、彼に頼んでワセダの教室も借りられたってわけ。
5時頃ワセダを終わり、大久保のスタジオへ移動。ヒロイン役の桜井風花と千葉誠樹のシーン。スタジオの余りのせまさに7時頃オレは退散。
何か久しぶりに映画でも見るかと、新宿ピカデリーで『ハリー・ポッター』を見る。
いや〜、つまらなかった! 余りのつまらなさに後半ほとんど寝てしまう。大ヒットしてるという話だったが、客席はかなりガラガラ。ほんとに客入ってんのかね?
久しぶりにゴールデン街の「if」に顔を出す。石動三六、麻生みゅう、里見瑤子などと会う。楽しかったのだが、明日はオレの組のアフレコ。涙をのんで12時半に帰る。
2001.12.21(金)
アフレコ。オレの組のアフレコにしては、えらい早いテンポで進んでいく。ひょっとしたら、終了7時、8時という今までにない早い時間で終了するのでは?と思ったものの、前半に集中してた脇の役たちが帰り、麻由子と川瀬だけになるといきなり急停車。結局はいつものように天辺を回ってしまったのだった。
オレにとって、今回のアフレコの最大のテーマは、佐々木麻由子に、いつものような口先だけじゃない、体から出る声というのを目標にやってみた。ま、ある程度やれたんじゃないかと思うものの、もう少し時間があればと思うと、少しもの足りない気分でもある。現時点としては、これがせいいっぱいか…。
終了後は例によってラッシュを見る。そのあとはいつもだとキャビンで呑むということになるのだが、そうはならず、音楽の一魅を送りつつ、麻由子と高円寺へ移動。久しぶりに鳥やすに顔を出す。結局朝の8時過ぎまで3軒ほどハシゴをしてしまったのだった。それにしても、ほんの数時間呑んだだけでヘロヘロに酔ってしまった。疲労感と解放感がせめぎあう、いつもどおりの気持よさってわけだ。
2001.12.23(日)
森山組4日目。
久しぶりに(2、3ヶ月ぶりか)原宿ラブミーテンダーへ行く。カレンダーが全て売り切れていたのがショック。ELVISのカレンダーが部屋に一部もないなんて、かつて一度もないだけにオレとしてはかなり落ち込む。
それから森山組の現場へ行く。夕方5時頃から夜の12時近くまで現場見学。主演のAVギャル桜井風花はなかなかいい感じ。少しホッとする。しかし、それにしても重苦しい現場だ。オレとしては、とりあえず、からみだけはちゃんと撮ってくれればいいんだけどね。
2001.12.24(月)
森山組5日目・最終日。
今日は2シーンのみの予定。さすが5日撮りは余裕あるというか、ラクだね。オレは午後の鳥やすを借りてのクランクアップシーンを見に行き、エキストラで出演。
そのあとは、中野武蔵野ホールで映画『悲しくなるほど不実な夜空に』という自主映画を見る。葉月螢が主演であった。後半ずっと寝てしまった。
それから早稲田の穴八幡へ行き毎年もらうお札をもらう。
それから呑みに行く。阿佐ヶ谷のスターダスト、そして鳥やす、麻由子と会うが、明日はダビング。涙をのんで最終電車で帰る。
2001.12.25(火)
『OL性告白 燃えつきた情事』ダビング。ラストロールでは、映写の梅ちゃん、サード助監督の井上が泣くという(2人とも女性)感動的な幕切れであった。女性2人が泣いてしまったということであらためて思った。今回の映画こそ、女性に見てもらいたいと。女性の方、ぜひ見て下さい。2月1日に新宿の国際で封切りです。男の人をお供にぜひ見てやって下さい。
ダビング終了深夜1時。音楽の一魅を送りつつ高円寺鳥やすへ。麻由子も呼ぶ。結局、朝まで呑む。