2002.9.23(月)

以前からオレ御推薦の「世界一のガールズオルタナデュオ=怖COA」のライブに行く(世界一のガールズオルタナデュオというのは、彼女たちのニューアルバム「sea urchin character」のコピー文句。世界一とはよくぞ言ったり! ところで、オルタナってどういう意味? 音楽のこと、あんまり知らないので「?」なんだけどね。音楽で別バージョン、別テイクのことを、オルタナティブ・テイクと呼ぶよね。そのオルタナと同じ意味合いだとしたら、おのずとその深い意味合いは分かってくるんだけどね)。
場所。新宿MARZ。
同伴者。後藤大輔(監督作『OL発情 奪う!』で、怖の音楽を全編で使用してることは以前も言ってるよね)、監督の工藤雅典(オレと工藤さんて意外な組み合わせだけど、後藤氏と工藤さんて、日活時代の先輩・後輩の関係だし、オレとは、つい先日21日の川瀬陽太結婚パーティの時に初めて親しくお話をして、その縁で誘ったというわけ)、そして女優の美麗の3人。
トップバッターのバンド、KIRIHITO。いきなり体中のヒフ、そして内臓までも直撃するかのような重低音が鳴り響き、幕開け。そう、ここ新宿MARZって、音がかなりいいライブハウスだったのだ。耳にじゃなくて、体にくるのだ。
そしてこのKIRIHITOという男2人組のバンドもとてもよかったのだ。実にポップでノリがいい。スタンディング・ドラムのお兄さんが特にグッド。太った体にマッチして迫力あり、その風情にも味があり、面白い。気に入ってしまった。このバンド、ちょっと気にしておこう。また機会あったらぜひ見たいものだ。
お目当ての怖は2番手。始まった。いつもながらカッコいい。ガンガンに盛り上がる。よし、次は!となったところであっさり幕引き。なんだよ、20分しかやらないでやんの。みんなでものたりないとブーブー。特に初めての見物の工藤さんは、これからと思ったのに…もっと聴きたかったなァ…とブツブツ…。
でもやはり物足りない。怖はサイテー40分は聴きたいものだ。
で、3番手のバンド、40分やってくれる。しかし今ひとつ面白くない。一曲であきる。みんなも同感。あと2つバンドを残して4人で退散する。
それから呑み会へ突入。
新宿で12時まで。美麗はそこで帰り、次は3人で高円寺、鳥やす。山咲小春と久々に会う。朝になり、駅前の角屋に久々に行く。
ヘロヘロに酔う。
19日のダビング終了後から、1日おきに朝までしとど呑んでいる。その疲れもあったのだろう。帰り道、真っすぐ歩いてるつもりがそうじゃなくて引っくり返る。左足のヒザを強打する。モーレツに痛い。まいったなあ。

2002.9.24(火)

新東宝にちょっと用事があり、夕方、むりやり起き、痛む足を引きずりながら出かける。
用事を済ませ、新宿プラザで映画。『スター・ウォーズ エピソード2』をやっと見る。ガラガラの場内。それほど見たい映画じゃない時は、オレはいつも公開の終わる直前に行く。するといつもガラガラで、実に気分よく見れるってわけ。
いや、思ってたより楽しめたよ。でも一番よかったのは、ユアン・マクレガーの役者ぶりね。なんていい俳優なんだろうね。ちょっと大げさに言うと、ニュータイプのヒーロー像を彼は作ってるよね。
映画のあとは高円寺の呑み屋。助監督の森角と打ち合わせ。新東宝の作品で、彼に台本を書いてもらうという計画が今進行しているのだ。
足が余りに痛いので、最終電車で帰る。

2002.9.25(水)

病院へ行く。レントゲン。骨には異常なし。ホッとする。薬をもらい飲む。痛みがかなりやわらぐ。やはり病院の薬はよく効く。
それにしても、今年病院に行くの、これで3回目。耳鼻科、ヒフ科、そして外科。病院なんて、かつて歯医者以外はほとんど行ったことのないオレが、いきなり3回も! とうとう来たかって感じ。人間てこうして歳をとっていくんだなあ。
そうそう、今年の春先から長い間悩まされていた耳鳴りが、ここ10日くらいの間に、つまり映画の仕上げをしてるくらいから、鳴りをひそめてきた。ここ10日くらい全然気にならなくなってきたのだ。治ったのかな?
一番ひどかったのは、先日の現場中ね。特に2日目のスタジオ撮影の時は最悪だった。キーンという音が激しく暴力的に頭の中をかけめぐり、そのとんでもなさに、ああこのままいったらオレは気が狂うなと深刻に思ったものだ。
このまま直って欲しい。

2002.9.26(木)

オーピーのバラ映画『恋する男たち』初号試写。
うん、なかなかいいよ、今回。内容的なものと、エンタテインメントな部分とのバランスもとてもいいと思うし、うまくいったと思う。オレの映画っぽいって感じの映画だ。
(オレ、今回のヤツが、成人映画の監督作として、ちょうど70本目の作品になるんだなあ。11年前のデビュー作からこつこつ積み重ねてきた。そのひとつの節目となる作品で、オレらしい映画が出来て、ホント、よかったと思う)。
役者もみんな適材適所。それぞれのレベルの中でベストだったと思うし、文句なし。特に矢本洋はこれからの注目株だね(そうだ、名前変えるって言ってたけど、何だっけ? 忘れちゃった。ま、とりあえず矢本でいいや)。
打ち上げ。最後は例によって後藤宅。オレは朝の8時まで呑んでいたのだった。

2002.9.27(金)

自宅でのんびり過ごす。撮りだめていたビデオを何本か見るが、そのうちの2本に圧倒される。
アンゲロプロスの『永遠と一日』。アンゲロプロスは、昔『旅芸人の記録』を見た時、ぐっすり眠り込んでしまった憶えがあり、以来一度も見ることなく、どちらかというと敬遠してきた監督だが、そろそろ見てみるかと思いたち、見ることにする。
すごい、すごすぎるこの映画。これが映画だ。老芸術家の一日の行動を追って、その一日の中に永遠がある、つまり、永遠とはすなわち一日なのだ、というメッセージが、ワンシーンをほとんどワン・カットで撮りきるという絢爛豪華なテクニックの中から、じわじわとにじみ出てきて、見る者の魂がゆっくりと浸されてゆくかのような、ものすごいぜいたくな感触の映画であった。モーレツにせつなくて、そして、極めて美しい映画であった。
見ていて、ランボーの詩「永遠」、ベルイマンの映画『野いちご』などを思い出す。『野いちご』何十年ぶりかになるが、もう一度見てみよう。
(後藤氏に言わせると、アンゲロプロス、『永遠と一日』は今ひとつで−ホントかよ?−もっとすごいのが何本もあるとのこと。よし、こうなったら体調がいい時に少しずつ見ていこうと思う)。
そしてもうひとつが、今村昌平の『果てしなき欲望』だ。これ、今村昌平の最高傑作じゃないの?と思えるほどの、メチャクチャに面白い大エンタテインメント映画だった。昭和33年の映画なんだけど、当時の日本映画の充実ぶりといきおいのよさがストレートに伝わってくる超快作だ。おすすめします。内容は一言で言うと、金塊探しものです。そこに、人間の色と欲がからんでという、よくあると言えばくあるお決まりものなんですが、この映画の持つパワーはハンパじゃありません。とにかく面白いです。

2002.9.28(土)

久しぶりに阿佐ヶ谷「スターダスト」に顔を出す。すっかり気分よくなり、帰る前にもう一軒と「とりす」にも顔を出す。しかし、『恋する男たち』に出てくれた桜井雄也くんや、佐々木麻由子嬢などに会い、結局は朝の9時頃まで、最後は「角屋」で呑んでいたのだった。

2002.9.29(日)

桜井明弘ライブ。吉祥寺Be・Point。
一ヶ月前に同所でやったライブを見た時、4時間近くのライブを、少しもあきさせることなく乗り切ったそのパワーとエンタテイナーぶりに、オレは少なからずビックリして、これからは桜井明弘のライブは出来るだけ行こうと思ったものだが(その時の感想は前々回のこのページに詳しく書いた)、今回もまたよかった。
前回は5人編成のバンドであったが、今回は桜井さんのギター、ボーカル、そして山下さんのベースという2人編成。時間も今回はワンマンショーでなくて、3組の中のひとつということで50分ほどであったが充分に楽しいものであった。選曲にも工夫がみられ、中でもオレの映画用に作ってくれた3曲を全部やってくれたのがうれしかった。特に『こんな、ふたり』の挿入曲、『季節の狭間にしゃがみこんで』は増々みがきがかかったかのようでホントすばらしい出来だった。
途中、ゲストで一曲だけ歌ってくれた東京ダウンタウン・バンドの雨宮さんの歌がまたすばらしく、オレは泣けてしまったよ。このバンドのライブが10月6日、Be・Pointであるので来ようと思う。余りによかったので帰りに雨宮さんのCDも買ってしまった。
ところで桜井さんのライブの情報だが、毎月荻窪の「グッドマン」というとこでやっていて、10月は5日、11月は6日だ。10月5日はオレも行く予定なのだが、なんと、佐々木麻由子嬢も一緒に行くことになったのだ。というのも、今回のライブで、桜井さんが新曲として、「大ファンである佐々木麻由子さんに唄ってもらいたいと思ってこういう曲を作りました」と言って、ある曲を披露したのだが、そのことを麻由子嬢に言ったら、彼女喜んじゃって「私も5日行ってみようかな」ということになったってわけ。こうなったらこれを見てるみなさんも桜井さんのライブに行くっきゃないね。ナマ麻由子に会えるかも?(でも、もうおそいか?)桜井さんの事務所の予約・問い合わせナンバーを教えておこう、0422-54-6839だ。そんなわけで、みなさん、ぜひ桜井明弘を見よう!(もうひとつ、怖COAもあるけど、こちらもぜひ聴いて欲しい。次は12月にライブある予定。決まりしだい宣伝します)。
ライブのあとの打ち上げ。桜井さん以外、女の人ばかりで得した気分で呑んだ。