02.8.28(火)

オーピーのバラ映画『TODAY,TOMORROW&FOREVER』(仮題)ロケハン。
今回は、オープンはもちろん、セット撮影も今まで一度も使ったことのないスタジオが4ヶ所もあり、その意味で特に重要なロケハンだ。
朝9時、新宿集合。まずは目黒区にあるスタジオへ。住宅街のド真ん中にあるかなりゴージャスなスタジオだ。1時間半ほどかけてじっくりと見る。ホントはもう一度見れれば言うことはないのだが、もろもろのつごうでそうもいかないので、空間の感触を肌になじませるべく少しでも長くいたいものなのだ。
次に駒込のラブホテルへと移動。ちょうど昼前後となり、ほとんどの部屋は清掃前。泊まりのカップルたちの残していったSEXの残ガイの中を見て回る。それにしてもだらしない連中が多い。ザーメン入りのコンドームがそのままベッドの上に投げ捨てられている。そんな部屋がいくつもある。フツー、ゴミ箱に捨てるだろうが。
でもこのホテルは気に入った。遊び感覚にあふれてる。今後も大いに使いたいと思う。
次に王子のとある公園。駅前のビルの谷間に作られたとても人工的な川の流れる公園だ。実はこの公園、数年前に王子の神社で上演されたとある野外劇を見に行ったときに発見し、その時からいずれ映画で使いたいものと長い間思っていた公園なのだ。とうとう今回その機会がめぐってきたというわけ。どんな公園か一言で言うと、とても東京とは思えないたたずまいと雰囲気の公園なのだ。音無公園という。
次に荒川の土手。ここも長い間いつか撮影で来たいと夢見たところ。ホントすばらしい風景だ。
次に板橋のスタジオへ。このスタジオもいい。気に入った。1時間ほどじっくり見る。
そして最後に、日が沈み、暗くなってきた中を新井薬師にある助監督の小川のアパートへ。このアパート、いわゆる学生向けのボロボロの汚いアパート。ここで2シーン撮る。オレは今まで70本ほど撮ってきた中で、ホントの汚いアパートで撮影したことなかったので、なんとなくウキウキする。今回の作品的に最高の場所だ(助監督の小川は、オレの作品のチーフをやるのは今回初めて。2年前、『ロリ色の生下着』の時にサードとしてオレの現場に初めて顔を出したヤツだが、以後、佐藤吏グループの一人としてオレを支え、今回初のチーフとなった。小川にも期待している)。
夜8時解散。実に充実した一日だった。やっとこれでオレも気が入ってきた。

2002.8.29(木)

吉行由実の新作の試写を見る。吉行嬢らしいテイストあふれる映画であった。

2002.8.31(土)

演出部打ち合わせ。午後1時、セメントマッチ集合。小道具、衣裳、スケジュール等々…もろもろの打ち合わせ。

2002.9.1(日)

役者、衣装合わせ、リハーサル。午後1時、新宿の区民センター集合。5時までの4時間なので大急ぎでやったが、やはり時間が足りない。急遽、不安な役者3人を連れてシネキャビンでリハーサル続行。終了、9時。今回はまったくのシロウトが一人いるので、その意味でも9時まで区民センター借りるべきだったなと少し反省。
終了後は、シロウトの桜井くん、河村栞を連れて居酒屋。最後は一人で鳥やすへ。しばらくは朝まで呑むこともないだろうと、朝まで呑む。

2002.9.2(火)

一人で王子方面のロケハン。スタジオはなかなかもう一度見るってわけにいかないが、外だったら何度も見れるので、オレは一人でもう一度見に行くってことがよくあるのだ。そして、自分のテンションを上げていくってわけ。
夜8時、音楽の一魅と会い、軽く打ち合わせ。それから鳥やすへ。もちろん最終電車で帰る。
この日記を読んでる人から、ほとんど毎日のように鳥やすで呑んでますよね、とよく言われるが、けっしてそんなことはなくて、行かなくなると1ヶ月くらい行かないこともよくあるし、行き始めると、週に2度3度と顔を出したりもする。つまり、その時の状況しだいってわけね。

2002.9.4(水)

夕方4時から桜井くんの特訓。桜井くんは演技的には全くのシロウトの20才の男のコ。バンドを組んでボーカルとギターをやってるという。オレとは2、3週間前、怖COAのLIVEを見に行った時、鳥やすの松木さんの紹介で知り合った。いきなりホモ映画に出ないかと言ったらかなり面くらってはいたが、松木さんのプッシュとオレの押しでやる決心をしてくれた。オレが彼を使う気になったのは、やはり新人を一人は出さなくてはいけないという成人映画の不文律が最も大きいが、もうひとつには、COAのLIVEで松木さんに紹介されたという、その縁というのがある。今までオレはけっこうこの縁というヤツを大事にしてきたことが多いからだ。
で、その彼の出来だが、先日についで今日も特訓をやらざるをえないということにつきる。今までも特定の役者に特訓やったことは何度もあるが、それが2度までもというのはあくまで異例だ。
つまりはそういうことで、あんまり期待は出来ないというのが今の結論。でもやるべきことはやっておこうというので、こうして2度も特訓をしたってことだ。さて、どうなるか? もうこれ以上は時間的にムリなので、あとは、もう賭けだね。

2002.9.5(木)〜6(金)

終日コンテ。雨が降り続いている。撮影日の8日から10日も雨の予報。なんてことよ。いつものことだが、今回もお天気しだい。特に初日の8日は雨が降ったら全てパー。ホント、ピンクの撮影ってものすごいことやってるよね。たよりはオレの例のパワー「池島マジック」のみ(予報ではどんな悪天候でも、撮影の時は必ず天候に恵まれるというフシギを俳優のなかみつせいじが「池島マジック」と命名し、以後業界に流布した)。でもこのパワーも去年くらいから少しくずれだしてきてるしね。ホント、まいったよ。

2002.9.7(土)

クランクイン前日。夕方4時から、キャメラマンの志賀ちゃん、演出部とコンテの打ち合わせ。8時半終了。
雨が降り続いてる。深夜12時を過ぎて雨足ますます強まる。予報は明日から三日間完全に雨。明日はオープンロケ中心の日。この状況では完全にムリ。志賀ちゃん、助監督の小川と連絡を取り、オープンがダメとなった時の次善作を協議。荒川の土手を新宿の地下街に、王子の音無公園での2シーンを「鳥やす」に差し換えることにする。急遽、「鳥やす」マスターの松ちゃんにも連絡を取り、もし雨だったら店を借りるという約束を取りつける。
あ〜あ、音無公園なんか2回もロケハンしたのになあ。激しい雨足がうらめしい。眠ること出来ず、明け方の4時頃まで悶々と酒を呑む。

2002.9.8(日)〜10(火)

オーピーのバラ映画『恋する男たち』撮影。

初日。

朝6時半起きる。雨足は今だに激しい。予報を聞く。一日中雨の予報。あ〜、もうダメだ。オープンはあきらめるしかない。
7時半新宿集合。とりあえずやれるとこからということになり、まずは新井薬師にある助監督の小川のアパートへ。いきなりのSEXシーン。そして事後の芝居。
ところがだ、撮り進むうちに雨足徐々に弱まり、ついには薄日がさしてきたではないか! 何てことよ! やった!
昼過ぎアパートを終了。オープンのロケ地の王子へ出発。音無公園に着いた時には、完全にピーカンとなり、気温もグングン上昇、30度を超えるいきなりの真夏となる。
快調に音無公園、飛鳥山公園、荒川土手と撮影を進め、夕方オープンロケ終了。駒込のラブホテルへと向かう。
ラブホテルでの撮影。5時から8時の3時間で終了。新宿に戻り、新東宝のオフィスを借りてワンシーン。そしてタイトル撮りなどして、本日の終了、夜の11時。
すばらしい日であった。「池島マジック」は生きていた。ホント、ありがたい。神さま、ありがとう。

2日目。

今回の作品は2話のオムニバス。昨日は、両方のシーンが半分づつくらいであったが、今日は丸一日、第一話『弟の恋人』の撮影。
弱い雨が朝から降っている。
まずは新宿周辺でオープンのシーンを2発。雨足弱いので、さほど問題なし。板橋のスタジオへ移動。あとはこのスタジオで今日一日最後まで。
出演者は、矢本洋、河村栞、そして新人の桜井雅也の3人のみ。
ガンガンにテンポよくいきたいとこだったが、新人の桜井くんはもちろん、意外にも河村栞の芝居にも手間取り、なかなかテンポ出ず。これが2本目となる新人の矢本洋はいい。ガラもいいし、声もいいし、とにかく芝居に力がある。彼、ちょっとこれからの注目株だね。
スタジオの延長が最大深夜の12時までということで、夕方くらいから巻きに入る。ガンガンに巻いて撮ったが、それでも12時には終わらず、スタジオの管理人のきびしい視線の中、なんとか2時過ぎに終了。
今後、あのスタジオ使わせてもらえないかも? いいスタジオなんだけどなあ。

最終日。

曇り。今日は丸一日、第2話『あいつの子供』。まずは大久保のスタジオで2シーン。目黒区の新しいスタジオで2シーン。目黒区の新しいスタジオへ移動。今日は橋本杏子の娘レンカの出演日。生後10ヶ月。早くもオレの組3度目の出演。
泣き続けるレンカに少々手を焼きつつも、快調に撮影は進み、終了、翌日の明け方の4時。やはり一日はどうしても徹夜になってしまうよね。
ともかく今回も無事に終ってよかった。結局は天気にも恵まれたしね。神さま、ありがとう。

2002.9.11(水)

梅ヶ丘の五代宅に朝の5時帰宅。一人でしみじみとしあわせをかみしめつつ酒を呑む。7時、ベッドに入る。夕方の4時まで爆睡。

2002.9.12(木)

編集。今回はフィルム18本しか回らなかった(普段は19〜20本)し、NGは普段より多かったしで、編集後の尺は62分強。ホッとする。1分強のカットで済む。楽勝だ(普段は67〜68分くらいあり、6〜7分切るのにけっこう頭を悩ませるのだ)。
編集後、新東宝とジャパン・ホーム・ビデオの合作のピンク時代劇『にっぽん淫欲伝 姫狩り』の試写があり、のぞかせてもらう。
そのあとは真っすぐ帰宅。

2002.9.13(金)

オールラッシュ。ラッシュ後の編集で61分弱になる。これでOK。
真っすぐ帰宅。

2002.9.15(日)

アフレコ。
今回は新人もいるし、時間がかかりそうな予感があり、普段より若干早9時半開始。まずは第2部の『あいつの子供』から。
そうしたところ、これがピンク5本目となる兵頭未来洋が全然ダメで、なかなかOKとならない。えらい時間をくうばかりで、昼メシおしで午後の2時までやって、やっと3ロール終了。この調子では明日の昼になっちゃうよ。おいおい、いいかげんたのむよという感じ。
昼食後は、五代暁子、石川雄也中心のアフレコとなり、安定した彼らのアフレコでやっとテンポが出てくる。兵頭くんも徐々によくなっていき、第2話終了、夜の7時。やっと半分終ったとこで7時じゃ、やはり全部終るの明け方の3時、4時になっちゃうよと、少しカクゴを決める。
ところが、それから始めた第1話『弟の恋人』、時間くうだろうと思っていた桜井くんが案外にアフレコうまくて、えらいハイテンポで進んでいき、終了、なんて深夜の12時10分。終ってみれば、普段の終了時間と同じ線になっていた。
キャビンで軽く打ち上げ。2時過ぎ、助監督の車で五代宅まで送ってもらう。五代、起きていて、それから朝の6時まで呑んでしまう。

2002.9.16(月)

昼からセリフ入りオールラッシュ。音楽の一魅と打ち合わせ。夕方キャビンを出て、真っすぐ帰宅。久しぶりに映画でも見に行きたかったのだが、睡眠不足でフラフラなのであきらめた。

2002.9.17(火)

新宿ミラノ座で『ウインド・トーカーズ』見る。あー、つまらなかった。大好きなニコラス・ケイジも、映画の志が低いんだもん、どうにもしようがないよね。

2002.9.18(水)

久々に映画を3本ハシゴ。
テアトル新宿で『DRIVE』。サブ監督の新作だ。映画の中盤までは大傑作。途中から失速という感じ。
ピカデリーで『インソムニア』。『メメント』の監督クリストファー・ノーランの新作だが、いきなり、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムス、ヒラリー・スワンクなどアカデミー賞俳優3人が共演という心理サスペンス劇での登板だもんね、このへん、さすがというか、いかにもというか、ハリウッドのすごいとこだよね。
映画は見こたえり。
映画の中盤からやっと出てくる犯人の変質者をロビン・ウィリアムスがやってるというキャスティングにビックリ! おいしい役と言えば言えるけど、それにしても、よくやったね。しかし、そのロビン・ウィリアムスがいいんだな。実に楽しそうに変質者を演じていたよ。
白夜による不眠症に悩みながら、犯人を追いつめることが自らの破滅にもつながるというパラドックスを生きる老刑事アル・パチーノ。これはもうさすがね。久々にしぶくてかっこいいパチーノを見たよ。
ともあれ、『メメント』のような企画ものというか、アイデアものと違って、3大スター共演という心理サスペンス劇をじっくりとオーソドックスに描き切ったクリストファー・ノーランの力量も冴え、実に見応えのある映画だった。
ピカデリー2で『バイオハザード』。一言で言うと近未来のゾンビものね。見せ場となるショック・シーンも色々と仕掛けられていて面白そうと思うのだが、3本目ともなるとさすがに疲れて途中寝てしまった。ひとつ不満を言うと、ヒロインのミラ・ジョヴォビッチね。やはりこの手の映画のヒロインは巨乳でなくちゃと思うのだ。彼女、余りに中性的で色気が全然ないんだもんね。さびしいことこの上ない。それとも、ああいう中性的なヒロイン像が今のはやりなのだろうか? オレは絶対やだね。映画を見る楽しみが半減するよ。

2002.9.19(木)

ダビング。
なかなかいいもんになったんじゃないかと思う。
生きることの喜びや悲しみやせつなさなどをかみしめつつ、それでも生きてるっていいなあというメッセージが少しでも感じられる映画にしたいというのが今回のオレのテーマだったのだが、そういう感じになったんじゃないかな。初号が楽しみ。
終了、夜10時。久々にガンガンに呑む。最後は、久しぶりに「鳥やす」で朝を迎えた。

2002.9.21(土)

俳優の川瀬陽太の結婚パーティ。結婚のパーティなんて、ホント久しぶり。オレの記憶では、5、6年前の下元史朗のパーティ以来か。ともあれ、おめでとう。
またもガンガンに呑んでしまう。最後は佐野和宏と2人で鳥やす。佐々木麻由子嬢にも久々に会う。そんなわけで、結局、朝の9時頃まで呑んでいたのだった。