2002.7.28(日)〜31(水)

久しぶりに、そう、18〜19年ぶりに式根島に遊びに行く。当時は毎年のように行っていたものだが、以後は沖縄や海外が中心となり、実に長い間、行ってなかったのだ。
以前と比べて明らかによくなったなと思える点が三つある。
@若者の集団が減って静かになった
 以前はナンパ目当ての若者の集団が多くて島全体がうるさかったものだが、今や家族連ればかりで実におだやか。オレも歳を取ったのでありがたかった。
A海がキレイ
 以前から東京周辺の中では一番キレイというイメージがあったが、長い間行かないうちに新たに海水浴場がひとつ出来ていて、そこがメチャキレイなのであった。沖縄狂いのオレが、ここは「ミニ・オキナワ?」と思うほど美しく素敵な場所で思わず大感動。これにはホント驚いた。ナンを言えば、沖縄と比べて水温が低いので何時間も入ってられないこと。それでも、あのキレイさは価値がある。
B高速艇で2時間の近さ
 昔は、深夜便で8、9時間もかけて行ったものだ。それが今や、2時間だよ。しかも昼に出るので、行った日もある程度遊べるのだ。すごい。
というわけで、いいことづくしなのだが、カンジンの料金ね。これがまた安い。ちなみにオレは今回、3泊4日の旅程だったが、一人、3万数千円。もちろん、船から宿から食事から全部入れてね。はっきり言って、これは安い。も〜、行くっきゃない。オレもまた行きたいよ。ホント、明日にでも行きたいくらいだよ。
おすすめします、式根島。

2002.8.2(金)

今月の22日に、シネキャビン社長の中村さんの還暦パーティをやることになり、今日はその打ち合わせ。中村さん、オレ、そして役者の中満が顔をそろえる。オレと中満は幹事ってヤツね。もう一人、久保新二がいるが、仕事のつごうでこれなかった。
キャビンで集合して打ち合わせ。終了後は呑み会。バレたあとも、オレと中満は、清美の店「銀河系」、翔子の店「寺小屋」と呑みついで、朝まで呑んでしまったのだった。

2002.8.5(月)

劇団星座の最終稽古を後藤大輔と見に行く。7日に新潟での興行をひかえていて、その最終稽古だったのだ。「風のうたうたい」と「銀河鉄道の夜」の2本立て。実はオレ、この演目、何度も見てるし、自分でも、2、3回参加して舞台に立ったことあるしで、ホントはわざわざ見に行きたくもなかったんだな。
でも一応、河村栞が初舞台で出てるということで、ま、河村を見るためだけに行ったってわけだ。
でもね、河村を見るためだけなんていう目的は吹っ飛んじゃいましたね。それほど「銀河鉄道の夜」は面白かったのだ(片や、河村が出ている方の「風のうたうたい」には、大きなクエッションしかなかったんだけどね)。
まず思ったのは、宮澤賢治ってやはりメチャすごいんだなということ。こんなすごい作品書いてたんだなと思った。自分で何度も参加していた時には、不覚にもそこまで思わなかったのだ。離れて見て初めて見えてくるということもあるけど、この場合のオレって余りにアホ。あまりに不覚すぎた。
「銀河鉄道の夜」って、ホントすさまじい作品だったのだ。
役者たちのガンバリもたいしたものだ。
これが何度目のジョバンニになるのだろう、手塚美南子。まさにジョバンニは当たり役。今回は髪を切り茶髪に染め、よりいっそう男のコっぽくなった。あとはもっと自分の芝居を相対的に見る目線が出来たらもっとすごい女優になると思うのだ。世阿弥曰く「離見の見」ってヤツね。客席に座ってじっと自分の芝居を見つめるもう一人の自分ね。そういう感性が生じた時、手塚はまたひとつカラを破るだろう。
里見瑤子には思わず見入ってしまった。やはり彼女はいい。生まれながらの女優だね、彼女は。このままいって、作品、演出家とのいい出会いがあれば……と期待してしまう。
それと山名ね。樹かず組のホモ映画で、オレは山名を殊勲賞とほめたが、そのノリが続いている。個性が出てきたね。
そうそう、河村だが、オレが知っている河村以上でも以下でもなかった。つまり、いつもどおり。ちょっと不満。あとは400人入るという本番での見せかたの問題だね。少しアドバイスしたが、さて、どうであったか?
稽古後は、劇団のみんなはそのまま車で新潟へ直行。オレと後藤氏は呑みに行く。芝居の話、そして、後藤組の話などで楽しく呑む。

2002.8.6(火)

新宿ピカデリーで『タイムマシン』。つまらなかった。
五代宅で打ち合わせ。
久々に鳥やすへ。麻由子嬢とも久しぶりに会う。朝まで呑む。

2002.8.8(木)

次回オーピー作品の初稿上がる。次回は『マンズ・マンズ・ワールド』以来、久しぶりのホモ映画(それにしても『マンズ・マンズ・ワールド』の評価は低かった。オレとしては快心の出来に近いモノだったんだけどね。ま、分からんもんだ)。
今回のヤツは、『こんな、ふたり』『ぼくとダディのこと』に連なる路線の映画で、一言で言えば、ゲイの日常・切り取りもの。隠し味としては、カーウァイの『恋する惑星』のようなオムニバス映画。

2002.8.9(金)

芝居をハシゴ。
まずは、池袋の芸術劇場小ホールでの劇団め組公演『新撰組』。
め組は前回(3月31日)初めて見て、その時は、エンタテインメントに徹した痛快時代劇で、まるでシェイクスピアを思わせるかのような、テンポのいい場の展開と、多彩で個性的な登場人物のイキのよさに圧倒され、えらく感動したものだった。
ところが今回は、はっきり言って感心出来なかったのだ。一言で言うと、新撰組を中心とした幕末の歴史のダイジェストを見せられたかのような、または、くだらんTVドラマの総集編を見せられたかのような印象ね。
前作に見られた、登場人物個々の生きざま、キャラクターが強烈に、かつ、エンタテインメントに迫って来て、胸をゆさぶるという劇的な感銘はついぞ得られなかったのだ。
舞台の上には、得々と演技を披露している俳優がいるだけ。何よこれ? オレの頭の中は、???。一体どうしちゃったの?
ま、「新撰組」という歴史的事実の前に、作者としては、前作のような大胆な展開、構成がとれなかったのだろうとは思うものの、前作がかなり面白かった分、ホント、これでいいの?って感じなんだよね。
前作では、オレ、泣いちゃったからね。思い入れが強くなった分、より、ガッカリしたということなのかな。
次に、阿佐ヶ谷アルス・ノーヴァ。鳳いく太の遊劇社2年ぶりの公演となる『夢で会いましょ?』。
これで一気に気分が盛り上がる。
さすが、鳳さん、相変わらず、アバンギャルドで、アングラチックで、かつ、洗練されていて、これは面白かった。
鳳さんに送った感想文のFAXをそのまま書き写そう。
「(前略)特に感心したのは、アルス・ノーヴァという、かなり特殊な空間を使うその手際です。
 ぼくも30年くらい前から、あそこでケイコしたり、遊劇社の芝居を始め、多くの芝居を見てきましたが、あれほどまでにうまい使い方は初めて見た気がしました。
 特に、あのトイレ、そしてラセン階段の−まるで、「パンドラの箱」状態。大いに笑いながら、いつしか演劇的マジックにかけられていくのだ。
 つまり、そのトイレやラセン階段の「パンドの箱」状態が、さめても夢の続きであるかのような、つまり、いつ果てるともない夢の物語という芝居のモチーフを暗示というか、象徴しているかのようで、演劇的感銘がひたひたと、重層的に押しよせてきました。
 もうひとつ言うと、あの「シャボン玉」です。形を成しては、すぐに消えてしまうシャボン玉は、まるで夢そのものを暗示するかのようで、今回の芝居の小道具としては、とても劇的な小道具だと思いました。
 特に、ラストで全員が奏でるシャボンの協演。美しかった! とてもカタルシス。あれこそ演劇的感動です。
 しかもその重要な小道具が、あの安いシャボン玉というところに、鳳さんの演劇に対するひとつ強烈な意識を見た思いがしました。(後略)」
以上だけど、見てない人には一体何のことやらさっぱり分からないと思うけど、ま、それか芝居のダイゴミ。遊劇社に注目して下さい。
朝まで呑む。最後は、やはり、鳥やす。

2002.8.12(月)

オーピーのホモ映画の初稿、オーピーから大きなダメをくらう。悩む。とても悩む。

2002.8.13(火)

助監督チーフの小川と会い、初の打ち合わせ(小川はオレの組のセカンドは10本くらいやってるが、チーフは初めて)。
呑みに行く。歌舞伎町の居酒屋→翔子の「寺小屋」→石川雄也の「オレンジ王子」とハシゴ。「寺小屋」から下元哲も合流。下ちゃんと呑めば朝まではキマリ。

2002.8.14(水)

原宿、ラブ・ミー・テンダー。ELVIS、死後25周年ということで、16日の命日を前に大量のグッズが大放出された。
目玉は、4枚組のCDボックス『TODAY,TOMORROW&FOREVER』。そして、たぶん今年の全世界的な規模では最大のヒットと思われる『A LITTLE LESS CONVERSATION』のシングルCD(この『リトル・レス・コンバセーション』という曲は、エルビスの68年の録音によるものだが、今年、ワールドカップのナイキのCMで全世界に発信され、全世界的なビッグ・ヒットにつながったものだ。7月上旬の情報によると、イギリス、ドイツを初め世界16ヶ国でNO.1になっている。ちなみに日本では洋楽部門の2位、トータルで30何位という数字が出ているようだ。もうひとつちなみに本国アメリカではおくれて発売されたようで、さてどうなるか?という感じ。さらに、ちなみに、イギリスでの話だが、今までNO.1ヒットはエルビスとビートルズが17曲づつでトップを分け合っていたのだが、今回のヒットで、エルビスが18曲のNO.1となり、単独でトップに立ったとのこと。死後から25年目にしてビートルズをけ散らかして唯一の存在になるなんて、オレたちエルビス・マニアにはたとえようもないほどのうれしい出来事。どうだ、みたか!−って感じだよね)。
その他、エルビス映画4タイトル入りのDVDボックス・セット、マニア向けのCDが7タイトル。そして、ニューデザインのTシャツ、バスタオル……などなどだよ。
もちろんオレは全て購入。プレゼント用に2点づつ買うものもいくつかあり、あっという間に10万以上の出費。いや〜、コーフンした。今やオレの唯一のドーラクって感じだもんね、10万くらいどうってことないよね。いや、どうってことあるけどね。ま、いいか。
コーフンしたまま、シネキャビン。社長の中村さんの還暦パーティの打ち合わせ。22日の予定だが、100人以上を呼ぶのがとりあえずの目標ね。

2002.8.16(金)

以前から何度も触れている、オレが何より惚れている姫路の天才少女2人組のバンド=怖COAのライブに行く(東高円寺UFO CLUB)。
今回は、怖COAの3枚目のCDの発売記念ライブというのがお題目。
後藤組の『OL発情』でCOAの音楽を使ったばかりということもあり、後藤組のメンバーが6人集合。ライブを見る。
結論。東京にCOAのマニアがまた数人増えたな。新東宝の福原氏、俳優の新納氏が特にはまったようだ。
最後は高円寺鳥やす。COAの2人も来てくれ、朝まで呑み会。

宣伝。怖COAの次回東京ライブのお知らせ。次回は、9月23日、新宿MARZにて。START17時30分。みんな行こう。もちろんオレも行く。後藤組メンバーもさらにグレードアップして大挙して押しかける予定。とにかく見てくれ。聞いてくれ。とにかく、スゴイ、から。

2002.8.18(日)

ザムザ阿佐ヶ谷、劇団A・P・B−TOKYO公演、寺山修司作『さらば映画よ! スタア編』。
前回6月30日の日記で書いたように、この芝居はオレの人生を決定づけたものだ。「30数年前、新宿のピットインでこの芝居を見てしまった時の衝撃は今だに忘れられない。あまりの衝撃に席を立つことの出来なくなったオレは、そのまま寺山さんの劇団天井桟敷に入ってしまい、そして−途中を大幅に省略して−今に到る」のだよ。
オレにとっては、30数年ぶりの再会だったのだが……はっきり言って、そんなに期待していたわけではない。それにしても、これは、余りに、ちょっと、ンー、はっきり言おう、余りにダメだった。
そこにあるのは、寺山修司的な記号のラレツ。何ひとつ、寺山修司の台本、そして、演劇そのものに切り込んでいかない。寺山修司チックな、演劇チックな、「らしさ」と「記号」のラレツであった。
徒労を感じた。演出・主演の高野美由紀嬢のエネルギーはどこに向かっていたの? あれだけの肉体を作りながら、そして、美術・衣裳にあれほど凝りながら、向っていく方向が何も見えない。もったいない。徒労だ。
芝居は、ムズカシイ。
ホント、ムズカシイ。
鳥やすで、朝まで、ヤケ酒……?

2002.8.22(木)

シネキャビン中村さんの還暦パーティ。
大盛況。トータルで目標の100人を10人ほどオーバー。よかった、ホント、よかった。
2次会、3次会……結局オレが一番最後まで呑んでいたな。なんてことよ。

2002.8.23(金)

脚本の五代と打ち合わせ。次回、オーピーのホモ映画の決定づくりね。
それにしても、いつものことだけど、キャスティングが難航して、少々つらい。ホモは特に難しいのだ。ホモだといやがる俳優が多いのだよ。分かると言えば分かるけど、何でもやってきたオレみたいな役者の立場から見ると、エッ、何で?−みたいなとこもあるんだよね。なんでも面白がってやればいいじゃんと思っちゃうんだよね。やはり、「やったもん勝ち」なのだよ。

2002.8.24(土)

ライブ。吉祥寺「Be・Point」。「桜井明弘SPECIAL・LIVE」を見る。
桜井さんは、脚本の五代の大学の先ぱいであるというその縁で知り合って、オレの何本かの映画で劇中歌を作ってもらった人だ。
特に印象深いのが、ホモ映画『こんな、ふたり』での桜井さんの曲。2曲作ってもらった。桜井さん自身にも劇中シンガーの役で出てもらい、その2曲を歌ってもらったのだが、この2曲がいいんだな。特に、『季節の隙間にしゃがみこんで』という歌、この曲は名曲です。しみじみと人生の不条理、つらさをかみしめながら言葉をかわす男と女−その隙間を縫うかのようにこの曲が流れる時、オレの胸には何とも形容しがたいせつなさに満たされ、しみじみと、何といいシーンなんだと思ったものだ(これは今見ても同じ。というか、時間が経っているので、今や自分の映画とも思えず、見てる者として感動しちゃっているのだけど。ちなみにそのシーンの女役は、マイ・フェイバリット・アクトレスの林由美香。由美香、サイコー!)。
で、今日のライブだが、オレにとって今日は「桜井明弘の日」であった。まさに、桜井明弘ワールド全開の日であった。
はっきり言って、桜井さんてけっして歌のうまいという人ではない(こんなことはっきり言うって、ひょっとして営業妨害? でも桜井さんて、こんなオレのイサミ足も笑って許してくれちゃう人なのだ)。もっとはっきり言っちゃうと、ヘタな人である(あくまでプロレベルでの話ね)。
ところがだ、そういう人でありながら、あの4時間近くの超なが〜いライブを少しもあきさせることなく、見てる者を楽しくさせ、ついには感動させてしまうというあのパワー、たたずまい、エンタテインメント性は一体何? 一体どうして?
ミステリー、そう、まさにミステリーだ。
今、分かった。桜井さんのライブの魅力って、そのミステリー性にあるのだ。
ホント、不思議。
でも、その不思議のまま、そこにこそ桜井明弘というシンガー・ソング・ライターの魅力の根元があるということで、彼のライブを楽しめばいいのだ。
そんなわけで、みなさんもぜひ見て下さい。
宣伝させてもらいます。
桜井さんの近いうちの予定。
9月6日。20時から、荻窪「グッドマン」。
9月29日。19時から、吉祥寺「Be−Point」。
10月5日。20時から、「グッドマン」。
というのが、近々の予定。9月29日と10月5日はオレも行くつもり。みなさんもぜひ桜井ワールドの魅力に触れて下さい。打ち上げもあるので一緒に飲みましょう。ぜひ来てね!

2002.8.25(日)

オーピーのゲイ映画、決定稿上がる。助監督の小川と脚本の五代と打ち合わせ。
夜中は朝まで「鳥やす」。

2002.8.27(火)

オーピーのゲイ映画・仮題『TODAY,TOMORROW&FOREVER』印刷台本上がる。新宿の茶店で演出部全員、メインキャストと会い打ち合わせ。9月8日クランクイン。まだメインキャスト6人のうち2人が決まらない。

2002.8.28(水)

ロケハン。