2002.6.1(土)

また今年も浜松のシネマハウス新映での舞台挨拶によばれる。今回で3年連続だ。今年のオレの特集は、新作の『欲情牝 乱れしぶき』、『猥褻ストーカー 暗闇で抱いて!』、そして去年の作品『好きもの家族 バイブで慰め』の3本。そこで同行の女優は『暗闇で抱いて!』の出演者、美麗と真咲紀子の2人となる。そしてもう一人、何と真咲紀子のお母さんも一緒にやって来たのだった。なんせ、「アンタ、がんばんなさい」と、お母さんが応援してくれてると言うんだから、すばらしい親子関係だよね。
今年、場内で目についたのは、大量のオカマさん軍団ね。そんなわけで、今年はいつになく華やかなムードが場内を支配していた…かな? ま、3回目ともなれば定連のお客さんとも顔なじみになり、その分リラックスした雰囲気となり、今年は一段と楽しいイベントになったと思うのだ。
また来年もぜひ呼ばれたいなァ。
夜は社長接待の食事会で今年もまた特上のうなぎ料理をごちそうになる。
食事会のあとは、ホテルのオーピーの営業部長T氏の部屋に集まり酒を呑む。これも例年通りに、女の人たちはあんまり呑まないので、これもまたオレ一人でバーボンを3分の2くらい呑んでしまい、フラフラになり寝についたのも、これまた例年通りであった。

2002.6.2(日)

浜松。オレは一人朝食も取らずチェックアウトギリギリの11時半まで寝てる。
午後2時くらいの新幹線でみんなを送り、オレは一人それから浜松ブラ。いい街だよね、キレイで広々していて…。これが今回の浜松行きのオレの個人の最大のテーマだったんだよね。やはり、街ってゆっくり歩いて見て回らないと、ホントのところは何も見えてこないんだよね。前2回の時は、ほとんど街を見てなかったんでね、今回は絶対一人で歩こうと思ってたってわけ。
たっぷり浜松の街を楽しんだオレの足はいつしかシネマハウス新映にたどり着いていた。
よし、この機会に客に混じってオレの映画3本立て見るか。
入ると、『暗闇で抱いて!』を上映中だった。全盲の女役の葉月螢がストーカー野郎にねらわれてるというサスペンス。お客もとりあえずジッと見てるようで少しホッとする。
次に始まったのが『乱れしぶき』。ところがだ、見ているうちにどうしようもなく落ち込んでいくのだな。別につまらない映画だとは思わない。オレのフツーのアベレージの作品だとは思う。しかし、このつらさは何だ?! 内容を一言でいうと、女の孤独と、それゆえの狂気を描いたもの。しかし、そんなもの、フツーにピンク見ようと思いフラリとピンク館にくるお客さんは少しも求めていないということが、お客さんの中に混じって見ていると、オレの心にグサリグサリと突き刺さってくるのだな。
それでもまだ主演女優の2人がもっと華やかな人たちだったら、まだしも持ったかなとも思うのだ。例えば、姉が佐々木麻由子で妹が林由美香とか里見瑤子だったらね。ウン、それなら持つな…と思う。こんなこと言って、出てくれた2人にはホント申し訳ないなと思うのだが、これが現実ってヤツ。ま、一番その現実ってヤツをつきつけられたのはオレなんだけどね。
そんなわけで、次に『好き者家族』が始まると、いきなりホッとする。導入部の亭主の手紙を読んで怒り狂う麻由子さんてとこからホントつかみオッケーってヤツでね、お客の空気がなごんでくるのが手に取るように分かるのよ。だんだん笑い出したりもしてきてね、麻由子さんがおじいちゃんのオナニーのザーメンをいきなり浴びるシーンなんて場内大爆笑よ(ちょっと大ゲサか)。
そう、やはりピンクの王道ってこれなんだな。たわいのない笑いとエッチの洪水。
この「三好家シリーズ」って、オレが年一本やってるドタバタコメディなんだが、これからは年に一本と言わず少し考えなくちゃなァ…。ま、毎回ドタバタってのもなんだし、ここはひとつ、5、6年前までのエクセス路線の頃を少し思い出して、ライトなヤツを少し増やしていこうかな…なんて考えちゃうよね。
ま、とりあえず自作3本立てを見て、大いなる反省のキッカケとなり、とても収穫の多い今回の浜松行きであったことよ。
たまにはこういうことって必要だよね。

2002.6.3(月)

『絹肌のうるおい』ダビング。浜松の話とリンクするのだが、今回の作品って、オレにしたらかなりの実験作(ホントはそんなことあんまり思ってないけどね。だって、ピンクっていつだって実験作になるかもしれないジャンルなんだもん)。何だか分からないと言われるおそれもかなりある映画だ(いや、「かもしれない」くらいのことだけどね)。こういう作品をやれるというのも、年に6本も7本も制作するオレにしたら、ピンクの魅力の大きなひとつなのだ(実は、いつもそのつもりで作ってるんだけどね)。でも、お客さん、ごめんなさいって映画になっちゃってるんだろうなァ…(いや、そんなハズはあるわけない。立派なピンクだ、きっと)。
音楽のほとんどない映画ということもあって、ダビング終了、夜の9時という、これまたかなりの早い仕上がりとなったのだった。
音楽の一魅を送りつつ高円寺へ。鳥やす、朝まで呑む。

2002.6.4(火)

樹組の五代暁子版の脚本の直しが上がる。一読。さすがだ。やっと主役の2人が人間に見えてきた。これでいけるだろう。

2002.6.5(水)

後藤組のキャスティングのため、DVCをかついで埼玉の朝霞まにあるAVモデル事務所・Mまで女優の面接に行く。4人と面接。そのうちの2人がいいと思う。実は後藤組、7人のキャストのうち、女優2人がまだ未定なのだ。夕方から、LLCの事務所でAVのプリ編。

2002.6.6(木)

一日中、AVのプリ編。今回のヤツ、なかなか面白そうだ。

2002.6.7(金)

オーピー作品『デリヘル嬢 絹肌のうるおい』初号試写。
オレとしては、ここ1年くらいでは一番好きな映画となった。
打ち上げ。最後は例によって後藤宅。朝の8時まで呑む。

2002.6.10(月)

『絹肌のうるおい』映倫試写。
スバル座で『ビューティフル・マインド』。アカデミー賞ということでなかなか見る気にならず見ていなかったが、脚本家の五代が「とにかく見て」というのでやっと見に行く。
面白かった。「天才と狂気は紙一重」と言うが、その「紙一重」の部分に焦点をしぼり込んだすさまじい映画だった。しかも、エンタテイメントんだよね。難しい理屈なんか何もない。それでいて、これほどまでに「現実と狂気の相克」を克明にリアルに描いた映画って、かつてなかったのでは…?と思えるほどに、この映画は真の意味で恐く、かつ、感動的であった。ガラガラの客席で、まるで一人で見てるみたいだったこともあってか、いや〜、泣けた泣けた、ボロ泣きに泣けたよ。主役の天才数学者を演じたラッセル・クロウが圧倒的にすごい。今まであんまり好きな役者ではなかったのでより驚く。この演技こそアカデミー賞だろ、決して『グラディエーター』じゃないよね、なんでこの芝居で取れなかったの? だからアカデミー賞なんて信用出来ないよ−ということだ。

2002.6.11(火)

LLCでAVのプリ編。
伊藤清美が新しくゴールデン街に出した店「銀河系」に初めて顔を出す。偶然、螢雪次朗と出くわす。ゴールデン街・五番街にある「銀河系」。清美ちゃんが一人でやってます。みなさん、ぜひ行ってやって下さい。ラッキーなこと、あるかも。実はオレもラッキーでね、螢ちゃん、とある美人女優と一緒でね、おかげで楽しく呑めたよ。

2002.6.12(水)

後藤組、樹組の決定稿上がる。印刷所へ入稿。
LLCでAVのプリ編。
夜。後藤ちゃんと打ち合わせかねて呑む。2人とも呑むのが大好きだからね、組むと2人で呑むというのが多くなる。

2002.6.13(木)

LLCとのAVの本編。今回のヤツ、なかなか面白そうよ。オレも編集してていつになく楽しかったもんね。タイトルは『レクイエム 美月あんな』。販売はクリスタル映像。たぶん8月頃出ると思うので、巨乳好きな人には特に見てもらいたいものだ。

2002.6.14(金)

新宿東映で『突入せよ! あさま山荘事件』を見て、あまりのつまらなさに頭をかかえて劇場から出て来て、ケータイをオンにすると、ルス電がいくつか入ってた。そのひとつに、ガーン! 後藤組に出演が決定していたMの女2人がいきなり飛んでしまったというマネージャーの連絡が入っていたのだ。Mって、先週ビデオカメラをかついでアサカまで面接に行った事務所ね。なんてことよ?! わざわざアサカまで行き、4人と面接し、7日のオレの初号の時にもそのうちの2人が見に来て、後藤ちゃんとも監督面接までして、それで決定していたハズだったのに!
ま、こんなこと、よくあると言えばよくあることで、あ〜、またか、てなもんでね、オレの監督作だったらオレ一人が背負って悩めばいいのだが、今回はそうじゃないので、つまり他に監督がいるのでその分メンドー。
なかなかよくならない突発性難聴と頭痛、そしてつまらなかった『突入せよ!』、そしていきなり持ち上がった女優問題−という三つの悩みを抱えて新宿の街を歩いていると、街はかなりの騒乱状態。そうか、ワールドカップで日本が勝って決勝トーナメントに進出が決定という大騒ぎか。しかし、難聴の耳には強烈に痛く感じる若者のバカ騒ぎを見てると、増々腹が立ってきて、これは日本中をバカにしようという政府の陰謀ではないかと思えてきた。このバカ騒ぎのスキを縫って、有事法制だの個人情報保護法だのを一気に成立させようとしてるのではないか! これはホントウにヤバイ! 日本は今、ホントウにヤバクなりつつあるんじゃないか!−なんて、ふだんは全然、政治的人間ではないオレにさえ思えてきてね、酒も呑まずに家に真っすぐ帰っちゃったよ。

2002.6.15(土)

後藤組、スタッフ・ミーティング。女優さがしを始める。
最後は鳥やすで朝まで呑んでた。
後藤組のクランクインは6月28日の夜。クランクアップは7月2日。出演者はほぼ全員出ずっぱりという感じで7人。
女の主役に奈賀毬子。男は、今井事務所から、新納敏正、江端英久、平山久能の3人、そして、松木良方(鳥やすマスターにして、シェイクスピア俳優)。あと女が2人出るが、それが飛んでしまい未定なのだ。

2002.6.17(月)

樹組、スタッフ・ミーティング。クランクイン、7月4日。アップ、7月7日。こちらは、キャストは樹かずが決めているのでオレはラクだ。
新宿東映パラスで『パニック・ルーム』。プラザで『スパイダーマン』。
『パニック・ルーム』はあの監督のものとしては今までで一番面白かった。どうもオレ『セブン』とかダメなんだよね。『セブン』とか『ゲーム』とかああいう変化球じゃなくて、今回は「密室もの」という直球勝負よね。つまり、ねらいはハラハラドキドキの娯楽サスペンスね。いいじゃん、コレ。オレ、面白かったよ。ジョディ・フォスターも、あの女優にしては最大限色気を見せたしね、その分キレイに見えたしね、全然OKよ。
『スパイダーマン』は、ン、別に言うことなし。

2002.6.18(火)

脚本の五代暁子と企画会議。