2007.7.17(火)

『歌う!ピンク映画御殿』リハーサル。
吉祥寺のライブ・ハウスのメッカ「MANDARA2」で行われるピンク俳優たちが大挙出場してライブ・ステージを披露するという一大イベント・歌う!ピンク御殿。
そのリハーサル。
出場メンバーは、出場順にいくと、牧村耕次・なかみつせいじ・関根和美のトリオ、春咲いつか・日高ゆりあ・五代暁子・平賀勘一バンド、樹カズバンド、結城リナのユニット、田中繭子、大場一魅と原田なつみのユニット、そして私。計10組。飛び入りで華沢レモン。プロデューサーは桜井明弘氏。
リハーサル後は飲み会。20日のイベントに向けて、一気に気運盛り上がる。


2007.7.20(金)

『歌う!ピンク御殿』当日。
まずは各々、昼頃からリハーサルをして、夜7時半の開演を向かえたのだった。
客も入った。ただのカラオケ・レベルをはるかに超えた個々のパフォーマンスぶりは、オレの予想を大きく超えて、すばらしいものであった。
特にビックリしたのは、樹カズのバンド。カズよォ、芝居よりうまいじゃんかよォ。
他には、衣裳、選曲、歌いぶりで魅せた五代暁子のパフォーマンスも見事。平賀勘ちゃんのバンドも面白い。田中繭子は美しい。結城リナはカッコいい。そして、一魅となつみはファンタスティック!
なんだ、ほとんどみんなじゃんかよ。
そうです。みんながノリノリの一大イベントになったのでした。
お前はどうよ?
私? 私は…まあ、いいじゃないですか。どうせヘタだし、いつものエルビスですよ。
ともあれ、音楽を演じるという楽しさに初めて気づかされた、グレートな夜でした。


2007.25(水)

高円寺グッドマン。桜井明弘ライブ。
今だコーフンさめやらぬ「ピンク御殿」のネタで盛り上がり楽しいライブでした。桜井さん、どうもありがとう!


2007.7.26(木)

高円寺稲生座。劇団超新星公演『小鳥の水浴』(かわさきひろゆき演出。レナード・メルフィ作。私の訳)。
かわさきくんがこの演目やるのも、もう10回目くらいか。大きな変化としては、彼が初めて主役のフランキーを降り、演出のみになったことくらいかな。
オレにとってはこの芝居、演劇青年真っしぐらの頃に出会い、ドップリつかった翻訳までしてしまったという、まさに巨大なる青春の証(2人芝居で、1時間強という小品だけどね)。
だが残念ながら、15年前の初演時から、オレを納得させてくれるレベルからはほど遠く、失望の連続であった。
オレってこんなつまらん芝居に熱中してたのか、オレってバカ?…なんて思っちゃったりしてね。
ところがだ、2年前の下北沢のシネマ・アートンでやった「かわさきひろゆきと里見瑤子のバージョン」は、なかなかよくてやはりこの芝居面白いじゃんと、オレも自信回復したものだった。
で、今回。今回はダブル・キャストで、ヴェルマ役を西入美咲と水原かなえがやるということで、オレとしては去年の超新星公演、阿佐ヶ谷ザムザでの『どん底』を見て惚れちまった女優・西入美咲のヴェルマが見たく、彼女の出演日のこの日に行ったってわけね。
やはりホンはとてつもなく素晴らしい。男性論にして女性論。
フランキーは日常性の象徴的人物。ヴェルマはミステリアスな衣をもとった非日常性の象徴的人物。こんな二人が出会い、二人の人生が交錯し、渦を巻く。巧妙に張り巡らされた伏線の数々…。そして、劇的な、あまりに劇的な、そして、戦慄的なクライマックス。そして、美しきエンディングのカタルシス。
1時間の芝居としては、完璧なホンだろう。
今回は、この芝居の構造が明確に見えてきた。大成功といっていい。
西入美咲は最高の出来。思ったとおり、すごい女優だ。また、フランキー役もよかった。
オレ、実は、この芝居で初めて泣けたのよね。
終演後、水原かなえが「私のも見て欲しいです」なんてせつなげに言うので、水原バージョンも何とか見ようと思ったのだった。
それからアリアでの桜井明弘ライブに駆けつける。後半は間にあった。


2007.7.28(土)

上野オークラにて舞台挨拶。今回は、監督自作をセレクト特集ということで、オレの旧作3本立て。佐々木基子主演の『不倫妻の淫らな午後』、佐々木麻由子酒宴の『好きもの家族』、そして葉月螢主演の『猥褻ストーカー』という具合に、人間ドラマ、コメディ、サスペンスとバラエティに富んだセレクトをしました。
ゲストは、基子、繭子、そして日高ゆりあ。
客も満席で、楽しい一日となりました。


2007.7.29(日)

昼。木の実葉が出演してる舞台を見に巣鴨。
夜。高円寺稲生座。水原ヴェルマの『小鳥の水浴』。水原はがんばっていたが、全体としては西入版より落ちる。フランキー役の男優が22才と若く、やはり役に酔っちゃうんだよね。だから、根本的な部分でかまなくなっていって、水原はカラ回りという印象。ま、色々あります。


2007.8.2(木)〜5(日)

毎年恒例の式根島ツアー。式根の海は今年も美しかった。


2007.8.6(月)

次回オーピー作品はオレの100本目となるのだが、会社側のいうハードボイルドな犯罪物というところで、なかなかいい企画が見つけられないでいた。
式根で五代と話していて急遽ひろめいた。
『小鳥の水浴』をやろう!
これぞまさにオレの100本目にふさわしい。
娘の母親殺しという重いテーマなだけに、今のオーピーの体制の中でやるには、かなりきびしいところは多々あるが、何とかやりようはあるはずだ。何より、オレの100本目として、これ以上のものはないだろうとオレ自身が思ってしまった。
ピンク版『小鳥の水浴』を100本目の次回作でやります。


2007.8.7(火)

久しぶりにハッピーターンのライブ。高円寺ペンギンハウス。


2007.8.9(木)

森山の新作の初号試写。佐野和宏脚本主演による「なまぐさ坊主もの」の続編。佐野チンが復活するまでの前半はなかなか快調。しかし、佐野チンの影が薄くなるにつれて沈没していくのだった。


2007.8.10(金)

オーピーの100本目となる作品のスケジュールを一気に決める。クランクインを10月6日または7日とする。


2007.8.14(火)

恒例のシネキャビン納涼会。


2007.8.17(金)

名古屋のつぐちくんが主宰するイベント「待ち濡れた映画」の今回の主役がオレ。てなわけで、脚本の五代暁子と名古屋まで行く。
この日の夜はつぐちくん一派が市内の飲み屋で歓迎の飲み会をしてくれる。
結局、朝まで飲む。


2007.8.18(土)

「待ち濡れた映画・池島ゆたかスペシャル 第一夜」。「ブタノジユウ」というバーでの開催。お客さん、20数人か。
オレの出演作『ぼくらの季節』(83年・広木隆一監督によるゲイ映画の傑作)とオレの監督作『DENPAKEI』(公開タイトル『牝猫くびれ腰』・03年)の2本立て。プラス、オレと五代によるトークショーという趣向ね。
開始夜9時。終了午前2時。あとはお客さんたちとのフリートーク。終了朝6時。
映画もオレたちのトークも受け入れられたという感触。時のたつのも忘れるというか、時がたつのがうらめしい。永遠に夜よ続け!だよ。
楽しかった。


2007.8.19(日)

「待ち濡れた映画・池島ゆたかスペシャル 第二夜」。日曜というのもあり、「グロッギー」というバーで午後1時から開始。お客さん、今日は多いぜ。40数人てとこか。
オレの主演作『過激!変態夫婦』(88年・細山智明監督による傑作)。ちなみにオレは500本におよぶ出演作の中でこの一本と言われたらこの作品をえらぶ)と、オレの監督作『イマーゴ』(公開タイトル『熟女・人妻狩り』・06年)の2本立て。プラス、オレと五代のトークショー…とここまでは前日と同じだが、ここからが違う。
特別ゲストに、ミュージシャンの桜井明弘、そして女優の日高ゆりあが東京から急遽かけつけてくれたのだった! 桜井さんなんか生死の境をさ迷った入院生活の終わった当日に、なんとギター片手にかけつけたのだった。日高も東名を車を飛ばしてかけつけ、なんとイベント終了後にはそのまま車で帰るという日帰りの強行軍。
お二人には感謝の言葉もありません。なんてナイスなやつらなんだ! ホント、ありがとう!
そんなわけで、この日のイベントは大盛り上がりとなったのだった。なんたって、オレ、五代、桜井さん、日高による「ミニ・ライブ」もあったしね。
終了(たぶん)深夜0時頃。よくおぼえてないのだ。それからつぐちくん一派による打ち上げ。終了、2時か3時。よく飲んだ。
マジ、楽しかった!


2007.8.20(月)

五代、帰京。オレ、一人で名古屋をさまよう。夜は、またもやつぐちくんたちと飲む。ホント、飲み続けているよ。それにしても名古屋っていい飲み屋がめちゃ多い。


2007.8.21(火)

オレ、帰京。最後は名古屋駅近くのスシ屋でつぐちくんたちと飲み会。別れをおしむ。
さらば、名古屋! またね!


2007.8.22(水)

高円寺グッドマン。マジに不滅の男・桜井明弘ライブ。


2007.8.24(金)

仮題『ピンク映画全史』打ち合わせ。四谷の出版社三五館へ行く。オレ、五代、編プロ社長Y氏、三五館社長、三五館プロデューサーN氏の5人。方向性やっと固まる。本当の意味で「ピンク映画全史」にしたい。つまり、マジメな本ね。極論言えば、全部年表でいいとさえオレは思っている。


2007.8.26(日)

吉祥寺MANDALA2。不滅の男・桜井明弘スペシャル・ライブ。「いそがしい旅」。
ホント、いそがしい旅をし続けている人だ、桜井さんは。病院退院後一週間で、名古屋まで来て、さらにライブは二回だぜ。
オレもバンドをバックに一曲「好きにならずにいられない」を歌わせてもらう。感動した。バンドの音が「ガンバレ、ガンバレ!」って聞こえるのだ。
またも思う。音楽ってスゴイ。音楽家ってステキ。


2007.8.31(金)

桜井さんと樹カズによる飯田橋RAMLAでのオープン・ライブ。


2007.9.1(土)

映画ライター・中村勝則氏の取材受ける。映画誌「ジャッピー」用のインタビュー。テーマは「100本目を迎えて、思うこと…」。
3時間話す。それから編集者も混じえて飲み会。ホントよくしゃべるよオレって。楽しかったよ。


2007.9.2(日)

オレがプロデューサー&出演する『裸の女王 天使のハメ心地』(田中康文監督第二作)の役者リハ。
監督じゃない立場で、こういうのに参加するって、新鮮で楽しいものだ。


2007.9.6(木)

100本目作品『小鳥の水浴』初稿上がる。
クランクイン、10月7日。あと1ヵ月だ。


2007.9.8(土)

脚本の五代とさっそく脚本直しの打ち合わせ。今回は、難しいと実感。会社も色々と言ってきている。殺人シーンはダメ、殺人という言葉もダメ、包丁で人を刺すカットはダメ、血もダメ…等々。なんだ、『小鳥の水浴』にならないじゃないのよ。しかし、今回の会社側の担当は若いH氏だ。H氏とは快作『奪う女』もやれた。なんとか、押すとこは押して、引くとこは引いて、うまくやっていければと祈るような気分だ。


2007.9.9(日)

田中組『裸の女王 天使のハメ心地』クランクイン。
落合にあるジミー土田の稽古場を借りてのロケ。ストリップ劇場の楽屋シーンの撮影。オレも夕方頃顔を出す。何もない空間である稽古場が見事に楽屋に変身しているのに驚く。助監督たちも、もちろんよくやっている。しかし奴らだけではここまでやれない。振り付けの小泉ゆかさん、またジミーたちの多大なる協力あってこそ。
深夜0時、歌舞伎町のニューアート集合。ここで。ストリップ劇場のシーンを全て撮る。
エキストラの方にも集まって来ていて、その数50人弱というとこか。一口に50人のエキストラというけど、ピンク映画においては、この数は驚異的。すごい!
青山えりな、結城リナの踊りも見事。小泉さんの指導。また、彼女らの一週間に及ぶ特訓のたまもの。
ニューアートの協力にも感謝。
ここに至って、今回の田中組は、最近のピンクには珍しいイベント的映画であると認識。
終了。翌日の午前10時半。完徹となったのだった。


2007.9.10(月)

そんなわけで、撮休。
オレ個人は休みというわけにもいかない。『小鳥の水浴』のホン直し。会社のH氏との折衝等々…。


2007.9.11(火)

田中組・撮影二日目。この日から塩山の水上荘での二泊三日のロケとなる。オレも役者での出番あり。
午前中は塩山近辺でのオープン・ロケ。
午後から水上荘に入り、各シーンこなしてゆく。
終了。午後11時。飲み会。終了午前3時。


2007.9.12(水)

三日目。開始、朝8時。終了、翌13日の午前2時。飲み会、終了午前5時。


2007.9.13(木)

四日目。こまでいたって順調にきている。連日雨との予報も、うまい具合にオープンの間は降らず、室内の時に降ってくるという、いつもの「池島マジック」。
開始、朝8時。終了、夜6時。撤収、夜7時。
東京へもどり、新宿の某シティホテルへ入る。夜9時。
撮影はここから翌朝のクランクアップまで続くのだが、オレはホテルに入った時点でお役ごめん。シネ・キャビンでの下元組のアフレコ打ち上げに顔を出し、ヘロヘロになりながら、翌朝まで飲んだのだった。


2007.9.14(金)

『小鳥の水浴』第二稿上がる。さらにホン直し。


2007.9.16(日)

目白の小劇場で芝居見る。『ブルージズ〜傷跡〜』というタイトルのイギリスの現代作家による芝居。制作のMさんからの招待状で見に行ったというわけ。イギリスの現代作家ってピンター以後、オレは知らないので興味もあった。
ダメだった。イギリスの片田舎の港町を舞台に、ドメスティック・バイオレンス、そして、セックスをテーマにした芝居だったが、立ち昇ってこないのだ。何が? 暴力の、そしてセックスの匂いが。形だけの、悪い意味での昔の新劇風の芝居。気取っている。さらしてない。空疎。今時、こんな舞台があるということに驚く。典型的なサロン演劇だ。
夜は、五代と会い、ホン直しの打ち合わせ。


2007.9.17(月)

『ピンク映画全史』(仮題)打ち合わせ。
編プロ社長Y氏、オレ、五代、そしてライターの一人として参入してもらう中村勝則氏で話をつめる。
その後、オレ、五代、勝さんで飲み屋に移動。勝さんにも『小鳥の水浴』第三稿読んでもらう。勝さんから貴重な意見をもらう。オレも五代もかなり視野がせばまっていたと反省。


2007.9.18(火)

田中組オールラッシュ。ストリップ・シーンにおけるヘアーの描写に関して、映倫のきびしいチェック入る。
田中、新東宝の福ちゃん、オレの3人で映倫まで行き、こちらの要望と映倫の見解とのスリ合わせをする。オレも映倫まで出向いてこういうことをするなんて、15年前の『剃毛緊縛魔』以来だ。
夜はさらに五代と会い、『小鳥の水浴』のホン直し。これも、こんなにホン直しするのいつ以来?というくらい久しぶりのことだ。今回は、しみじみ難しい。


2007.9.19(水)

『小鳥の水浴』第四稿。五代と会い、さらにホン直し。次の第五稿を決定稿とすると決める。4日も続けて五代と会い、第五稿まで来るなんてこと、五代との協同作業ではかつて一度もなかったかも。


2007.9.20(木)

田中組アフレコ。終了午後11時。朝まで飲み会。


2007.9.21(金)

『小鳥の水浴』決定稿上がる。印刷所へ入稿。
夜。高円寺アリア。ボーカリスト・墨之江ユキ嬢のライブ。この人、いいです。出来るだけ追っかけようと思ってます。


2007.9.23(日)

『小鳥の水浴』印刷台本上がる。さっそく演出部、そして主役の2人、日高ゆりあ、野村貴浩と打ち合わせ。ゆりあと野村くんには原作戯曲まで渡す。野村くんはともかく、ゆりあは今回は、女優としてやっていけるのかどうかのホントのチャレンジだ。