2005.1.4(火)

大蔵映画恒例の新年の御挨拶会が今年も銀座支社で行われた。
そのあとは、今月の15日にやることになっている上野傑作劇場での『愛のラビリンス』舞台挨拶の打ち合わせのため上野に行く。
そして最後、夕方6時からシネ・キャビンにて中村さんはじめ有志が集まっての新年会。これもここ数年は恒例化してきてるね。今年は牧村耕次、なかみつせいじ、佐々木麻由子など10人くらい集まった。大いに盛り上がり、10時頃には、東中野の「リズ」に移動。「リズ」が深夜3時頃お開きになるや、オレと麻由子となかみつちゃんの3人はもっと飲むぞと高円寺へ移動。結局、朝の7時か8時くらいまで飲み続けたのだった。

2005.1.6(木)

オーピー映画『襦袢を濡らす蛇−SM開華編−』アフレコ。
2倍たいへんで、2倍楽しかった作品も、やっと前篇のアフレコにまでたどりつけた。一気に正月気分も吹っ飛ぶ。
3人の女優陣(ヒロインの山口真里、M女役の持田さつき、女王様役の紅蘭のアテレコの五代暁子)が好調。山口は、現場もそうだったが、アフレコもどんどんよくなっていくのだ。声もいいし、このコは思った以上の拾いものかもしれない。次にやるのが楽しみになってくる。持田も役柄ピッタリで味がある。でもアフレコの殊勲賞は五代ね。彼女独特のハイテンションでぐんぐん引っぱってくれた。はっきり言ってすごいです。たいしたもんだと思った。紅がアフレコやってたらと思うとゾッとするよ。たぶん翌朝になっても終わらないんじゃないかな。カッコはいいんだけどね。つまり絵にはなってんのよ。でもねぇ…。ま、絵は紅、声は五代で正解でした。
そんなわけで、アフレコもいつもどおり天辺のあたりで終了。飲み会へとなだれ込む。
牧やん、山口もそのままいたので、結局いつものように朝まで飲む。5時半解散。オレはそのままキャビンに沈没。明日も早いしね。

2005.1.7(金)

10時半に起きる。ソファの上で寝たせいか、珍しく頭が痛い。準備して、11時過ぎから、オールラッシュ。あっという間の1時間。なかなかの怪作じゃん、コレ。
夜は調布の市民ホールへ。「おかしな監督映画祭」を見るためだ。14人の監督による14本の短篇。そのうち7本づつに里見瑤子と水原香菜恵が出演するという。
プロデューサーのかわさきくんから、ベスト作品は観客の投票で決めることになるが、それとは別に審査員特別賞というのを誰か一人に決めてくれと言われていた。
短篇とはいえ14本。それをノンストップ、休憩なしで3時間。さすが疲れた。しかし、非常にバラエティに富んだ作品群で、その点最後まで楽しめた。
バラエティという点では、作品のレベルも実に千差万別で、これは余りに箸棒だな、こんなもの人に見せんなよと思えるものから、実にキチンとしたプロの仕事を感じさせるもの、独自な笑いのセンスが飛び抜けたものまで色々とあり、総じて最初想像していたものよりレベルは高かった。
その中でも特に3本の作品が気に入ったが、たぶん観客投票のベストワンはアレだろうから、オレは違うもの…もうこれしかないという感じで、活弁監督山田広野さんの『青い衝撃』をもって特別賞とした。
いや〜、山田広野さん圧倒的に面白いです。あの人の笑いの世界、飛び抜けてますね。オレ、はっきり言ってファンなんですね。(広野さんには、おととしの「レズ・ゲイ映画祭」の時、オレの『恋する男たち』のトーク・イベントの司会をしていただいたという縁もあるんですね)。
そんなわけで、かなり楽しめた「おかしな監督映画祭」でした。

2005.1.10(月)

『襦袢を濡らす蛇』ダビング。
和洋折衷の大場一魅の音楽が実にすばらしい出来で、オレの映画がいきなり百倍ぐらい面白くなったように思えた、実にシアワセな一日となったのだった。一魅は天才だ。
準備期間中のさまざまなプレッシャーや、現場中の時間との戦いなど、オレにとってピンク映画って、現場までが実に大変なものなのだが、仕上げになるとそういうプレッシャー、戦いがない分、気がラクになり、オレは仕上げがとても好きなのだが、その中でもダビングが一番好き。映画が立体化して息づいてくる瞬間に立ち会えるからだ。
気分は異様に高揚し、「あー、また傑作撮っちゃったよ」と思ってしまうのがダビングの日が頂点なのだ。
あとは初号が近づくにつれ、徐々に冷静になり、反省と苦悩の日々となり、初号の時はけっこう落ち込んでたりすることもあるんだけどね。
そんなわけで、今は「また傑作撮っちゃったよ」状態です。
Hシーンだけでも40分以上もあり(しかもそのほとんどがSシーン)、つまり、全体の3分の2以上がHシーンってわけね。オレも長い間やってるけど、ここまでHシーンが多い映画はそう何本もないはずだ。
しかし、面白いこと保障します。
「明るく、楽しく、激しく、新しい」SM映画なのだ。なんてね。ま、楽しみにしてて下さい。4月下旬公開です。ちなみに第2章の方は5月上旬だ。みなさん、劇場に通って下さい。

2005.1.12(水)

第二章となる『人妻を濡らす蛇 −SM至極編−』アフレコ。
第一章から引き続いての山口真里、牧村耕次、新たに登場の竹本泰志、華沢レモン、そして新人の水沢ゆりなと、みんなテンション高くて、またも予想以上に早く終わる。終了、夜11時半。
恒例のアフレコ後飲み会。役者が4人も残っていて、本多菊次朗も顔を見せたりで、総勢10人と、アフレコ後の飲み会としては大人数となる。
終了、朝の6時半。オレはそのままキャビンに泊まる。

2005.1.13(木)

10時半に起こされ、11時からオール・ラッシュ。酔いが抜けてるはずもなく、オレはかすかな頭痛と、もうろうとした意識の中、スクリーンを見つめた。
不思議なことに、第一章の時のような高揚とした気分はおとずれない。第一章とは全く違う感触の映画になっているんだな。これがはたしてうまくいったのかどうか、面白いものになってるのかどうか、今のオレには全く見当もつかず、ただただボーゼンとスクリーンを見つめるのみ。
終了後、キャビンの女性スタッフの梅ちゃんにどうだった?と聞くと、「私、見入っちゃいました」とうれしいことを言ってくれたので、いく分ホッとする。あとは、音楽の一魅が何と言ってくれるかだな。

新宿で映画をハシゴ。心ここにあらずの状態がずっと続いていたので、映画を見るなんて、ほぼ二ヶ月ぶりか(『ゴジラ』とか、初号試写とか『おかしな監督映画祭』とか見るには見てたけどね。映画を見たいと思って劇場に行ったのは2ヶ月ぶりね)。
新宿ピカデリーで『Mr.インクレディブル』と『マイ・ボディガード』を見る。
二作とも面白かった。とてもいいと思えた。久しぶりに見た映画で、いきなり傑作2本にぶち当たり、少しとまどうほど。特に期待してなかった分『マイ・ボディガード』がよかったな。アカデミー受賞後、オレはうまいんだぜってカオしかしなくなっていたデイゼル・ワシントンが今回はクールでね。とてつもなくカッコよかったのだ。人を殺す時、全くこれっぽっちもちゅうちょしないで殺し続けるヒーローって、オレ、映画史上初めて見たかもね。そこが又、この男のキャラとしてキワダツのだ。また、ボディガードの中年男と少女の心の交流がとてもていねいにリアルに描かれていて、男が少女のために命をかけるという後半に説得力をもたらした。監督トニー・スコットの演出はあいかわらずなのだが(つまり、ダサイ)、とてもよく出来た脚本と、気の入ったデイゼル・ワシントンの演技に助けられ、それなりの佳作に仕上げたといったところか。ラストなんて、うまい監督が撮ってれば絶対泣けるんだよなァ。でもトニー・スコットじゃ泣くとこまでいけない。おしい!

2005.1.15(土)

上野世界傑作劇場で『愛のラビリンス』の舞台挨拶。
雪混じりの雨という悪天候の中、はたしてお客さん来るものかどうか不安なとこだったが、一応立ち見の盛況ぶりでホッと一息。それでも、ロビーにまで人があふれた『恋する男たち』の時と比べるとやはりさびしい感はいなめないけどね。でも、この悪い天気の中、ここまで来てくれたということでよしとしなくちゃね。
出演者は、主演の森健人、本多菊次朗、そしてオレの3人。
今回は出来るだけお客さんの意見を聞きたいと思い、そのように進行したのだが、役者2人についての感想を聞くと、ほとんどのお客さんが、森くんのことを「キレイだった」と言い、本多菊ちゃんのことを「とてもいやらしかった。また見たい」と言ってくれて、オレとしてもうれしかったね。中には「監督の悪役ぶりをまた見たい」なんて言ってくれるお客さんもいて(たぶん『ミステイク』でのオレの役のことを言ってると思うのだが)、オレを増々よろこばせてくれたのでした。
そんなわけで、40分という時間はアッという間に過ぎ去ったのだった。
次は、今進行中の「SM二部作」でぜひとも舞台挨拶をしたいものだ。ゴールデンウィークだしね。出演者全員で行きますよ。
終了後は、本多くんとオーピーのT氏と3人で上野で飲む。11時解散、かなり酔っぱらい、帰り道がちょっとつらかったよ。

2005.1.17(月)

『人妻を濡らす蛇』ダビング。
前にも言ったが、二作目には今ひとつ気分が盛り上がらず、はたしてコレどうなの?とかなり不安な気持でダビングにのぞんだが、大場一魅の音楽がこれまたよくてね、音にのせられオレはいつしかハイテンション。
コレ、いいよ。面白いじゃん。
と、思ううちにダビング終了。夜9時と終わりもいつになく早かった。
スタッフもキャストも、この過酷な製作状況の中では、文句つけようがない仕事ぶりだったということ。
もしこの映画がつまらないとなったら、全部オレが悪いんです。素直にそう思うほど、みんなはベスト。もしダメなら、オレが全部悪い。
いつもながらに、初号がコワイ。
今回のヤツは…長かった!
10月初旬に注文受けてから中ぶらりんの状態が1カ月半もあり、11月の下旬に一気に制作体制にはいれたが、12月17日から撮影、昨年中に編集までやって、年明けからアフレコ、ダビングとやってきて、やっと2本目の仕上げ作業が今日終わったわけだが、2本分ということもあってか、えらい長く感じたなというわけ。
それもやっと今日終った。しかも夜の9時と、異例に早くね。
飲むしかない。例によってキャビン飲み会。深夜1時くらいになって東中野「リズ」に移動。「リズ」で朝5時半まで飲んだのだった。

2005.1.19(水)

芝居と映画と打ち合わせ。
野田秀樹好きな五代に誘われて、シアター・コクーンのNODA・MAP公演『走れメルス』を見る。野田秀樹の芝居をナマで見るのは初めてであった。
終演後、五代の買ったパンフを覗いて知ったのだが、野田秀樹が20才の頃に書いた、約30年前に初演というえらい古い芝居だったんだな。それで見ている時の謎が解けた。
なんだ、このドアングラは!と思ったのだ。いきなり30年前のアングラ演劇時代に連れていかれた感じがしたからだ。
ビックリしたよ。だって、セリフが聞こえないんだもん。当時のアングラ演劇特有のセリフ術というか、オレらは「テンション芝居」と言ってたけど、とにかくガナるんだな。当時のアングラ演劇のせまい空間であれば、役者のそういうガナリも迫力に感じたりするものだが、コクーンくらいの小屋になると、空間に吸収されてしまう、または、空間に拡散してしまう、という感じなんだな。
つまり、声は聞こえるけど、言葉として聞こえてこないというかね。
だから、この芝居が面白いものかどうか、オレには見当もつかなかったね。だって、芝居の命といえる「セリフ」が聞こえないって、これは致命的なことだからね。
もちろんそんなことは野田秀樹だって百も承知。主演の女優にはずっとハイキーでセリフを言わせたり(つまりは聞こえるようにということだと思うけど、オレはそれが一番イヤだったね。深津絵里って女優だけど、ひたすらキンキン声でね、何なのコレ?って感じなのよ)、すばらしい舞台美術だったり、あざやかな装置転換の演出だったり、カンペキにアングラ風の音楽の入れ方だったり…と、あの手この手なんだけど、そんなもん、芝居の本質とはちょっと違うよなあ。
ピーター・ブルックというオレらにとっては神様みたいな演出家いわくなんだが、「演劇とはなにか?」の答えとして「演劇とは、やる人がいて(つまり、役者ね)、見る人がいて(つまり観客ね)、そして、空間がある(つまり、芝居小屋ね)。この三つがそろった時、演劇が始まる」……と言ってるんだね。(もっと詳しく知りたい人は、たぶんまだ晶文社から出ていると思うが、ピーター・ブルック『なにもない空間』を読むといい。この本は、オレが、世阿弥の『花伝書』と並んで最大の演劇論だと思ってる本だ。演劇を語ってこれほどスリリングでエンタテインメントにあふれ、かつ、示唆に富んでる書物をオレは知らない。あまりに面白くてビックリするよ、きっと)。
つまり、『走れメルス』を見ていて感じたことは、「空間」が全然合わないんじゃないかということなんだよね。
つまりは…「商業主義」ということになってしまうのかな、あの芝居をコクーンでやるっていうことはね。
唐十郎が今だに「テント芝居」に固執するのも、そのへんのことなのかなぁ…?
それでも少しの見応えはあった。
やっぱり役者ね。中村勘太郎の動きのすごさ。平気な顔して2、3メートルのとこから飛んでるんだからね。あれはすごい。あれで色気が出てきたら大変な役者になるだろうな。
古田新太の存在感。この人クラスになるとセリフも聞こえる。
小西真奈美。とてもキュート。気に入った。また見たいと思った。

次に映画。
渋東シネタワーで『エイリアンVSプレデター』。これってそれほど(けっこういい評判を聞く)面白いの?
で、五代と再会して打ち合わせ。
例のインターネット・ドラマの件ね。とは言っても、前に言ってるかな? 北沢幸雄監督と役者のなかみつせいじがプロモートしてるヤツなんだが、ごくごく近いうちに、音楽の大場一魅と助監督の三浦にオレのプロデュースで初監督やってもらう予定。そのあと、2月の中旬くらいにオレもやりたいと思い、そのネタの打ち合わせというわけ。
ふたつほどネタが出来たところで終了。

2005.1.21(金)

オーピー『襦袢を濡らす蛇』『人妻を濡らす蛇』の2本の初号試写。
やっとここまでたどり着いたということだよね。長かった。10月4日に会社から「次はSMの2本撮りで」と注文をいただいてから、3ヵ月半。長かった…。ここまでこれて本当によかったと思う。
映画はサイコーの出来です。何も言うことはありません。とにかくスタッフ・キャストに感謝です。

2005.1.23(日)

音楽の大場一魅が初監督をするインターネット・ドラマ『数える人々』のロケハン。
オレと一魅、そして車を出してくれた一魅のお父さんの3人。8時半に高円寺で集合して、目的地のお台場へ向かう。
一魅の脚本について。道路交通量を調査する3人の男女の一日のお話。準社員間近の中年男(なかみつせいじ)と若いカップル(真白ちゃんと谷畑くん)。カップルは恋人同志であったが、そのバイトの直前に別れたばかりという微妙な関係。そういう3人の織り成すちょっとシリアスでほろ苦い一魅のコメディ。
一魅のお父さんがすばらしいナビゲーターであったせいもあり、あっという間に第一候補地から第三候補地くらいまでが決まっていき、昼過ぎにはロケハン終了。
面白いものになりそうな予感がヒシヒシとしてくる。

2005.1.24(月)

『襦袢を濡らす蛇』映倫試写。
評価高く、オーピー映画の監督賞ゲット。
クランクイン前は、審査の対象にならんとさえ言われ、一悶着あった映倫も無事通過。
ほっとした。

日劇で『東京タワー』見る。主演の黒木瞳のパートより、脇の寺島しのぶのパートの方が全然面白いという変な映画。

2005.1.25(火)

前日に続いて、SMもの第2部『人妻を濡らす蛇』映倫試写。
またも、監督賞ゲット。
映倫もなんとか無事通過。
ほっとした。

2005.1.26(水)

ネットドラマ一魅組の役者打ち合わせ。なかみつせいじ、真白、谷畑聡のキャスティングがバッチリ。ますます楽しみ。
打ち合わせ後は、キャビンの中村さん、なかみつちゃんと飲み、最後は久しぶりにゴールデン街のユーヤの店「オレンジ」で朝まで飲む。

2005.1.28(金)

ネットドラマ大場一魅組『数える人々』撮影。
当初の予定では、二話分を今日一日でまとめて撮る予定であったが、ほとんどが昼間のオープンシーンということもあって、さすがにムリ。第二話は後日ということになる。
しかしながら、天気にもめぐまれ、思ったとおりキャスティングはサイコーだし、予想以上に面白いものになりそうだ。

2005.1.31(日)

一魅組『数える人々』第一話、編集。
はっきり言います。かなり面白いものになりました。傑作です。ぜひ見て下さい。
http://deru2.com/ 「でるでる−みんなのステージ」です。今すぐ見てくれ!
夜10時終了。なかみつちゃん、撮影・編集のヨシさんと朝までうまい酒を飲む。