2001.12.27(木)

森山組『桜井風花 淫乱堕落天使』オールラッシュ。74分強あった。何とか13分以上切って、61分くらいまで持っていかなくてはならない。ま、森山に悩んでもらうしかないけどね。
プロデューサーのオレとしては、今回は前回やった後藤大輔組(『喪服の女 崩れる』)とは全く違うスタンスでかかわった。後藤ちゃんは監督として豊富なキャリアのある方であったので、オレも彼とのやり取りが楽しくて、台本作りから準備の前段階くらいまでは、いつもの自分の監督作以上ではないかとも思えるくらいに積極的に参加して、かつ楽しんだのであったが、今回は、かなり引いた立場で、ま、好きにやってみたらという感じでここまで来てしまった。(当然、制作の基本的なことはアドバイスしたけどね。)とりあえず、最後まで好きにやってもらうということです。

2001.12.28(金)

渋谷で映画をハシゴ。渋谷東映で『千年の恋 ひかる源氏物語』。エルミタージュで、(やっと見た!)『千と千尋の神隠し』。
『千年の恋』。天海祐希の源氏がよかった。彼女は宝塚を辞めて初めて適役に出会ったのではないか! あの声、背の高さ−そこからつむぎ出される風情。すばらしい! オレは吉永小百合は相変わらず…ンーだな。なんであんなスゴミがないんだろう? 紫式部という稀代の天才の、天才性が全く見えない。相変わらずの「オーディナリー・プレイ」ぶり。つまらない。吉永小百合のつまらなさには、日本映画総体、ひいては日本文化全体のつまらなさの象徴なので彼女一人の責任のあることではないのだが、それにしても…だ。今、ふと思ったのだが、今度オレの友達の俳優・松木良方のやる、シェイクスピア・シアターの、太宰治の『新ハムレット』、あの王妃ガートルード、あの役を吉永さんがやったら…ひょっとしたら…これは、かなり面白いかもしれないな? ま、やらんだろうし、太宰のハムレットなんて、どだい知らんかもしれんしね……なんてこと言ってると、吉永小百合ファンには(昔はサユリストと言った)怒られるかもしれないけど、マジ、あの役は適役だと思うのだ。ぜひ、吉永さんにこそやってもらいたいと思うのだ。
ついでに言うと、2月に東京グローブ座でシェイクスピア・シアターがやる2本の『ハムレット』は必見かもしれない。
2月8日から11日がシェイクスピアの『ハムレット』、2月13日から17日が太宰の『新ハムレット』だ。シアターとしては、『新』の方は初演。シェイクスピアの方の吉田鋼太郎=ハムレットは、去年の2月にシアターでやっていて、オレはそれを見て、『ハムレット』という芝居の魅力と面白さを初めて知ったんじゃないかと言えるほどの画期的な舞台であった。余りにすばらしい吉田鋼太郎のハムレットには心底、衝撃を受け、これは新時代の、これからの、歌舞伎だと思ったものだ。(今年の紀伊国屋演劇賞で吉田鋼太郎は主演男優賞を取った。紀伊国屋演劇賞はわが国の演劇界では最大の権威ある賞だと思うので、オレはスナオにうれしいと思い、見てる人は見てるんだと思い、ちょっと力付けられたような気になったもんだ。)
その再演と太宰のヤツの二演目公演。
はっきり言って、オレは今回はシェイクスピア版の方にはあんまり期待していない。なぜなら、時も流れ、場所も変わり、当然、同じ役者であっても、1年前の彼ではないからだ。そして、何より、あんな奇跡のような舞台が2度もあるはずはないと思うからだ。
その意味で、今回は、太宰の『新ハムレット』に期待しよう。最近、二十数年ぶりに読んでみたのだが、太宰は太宰で、やはり、圧倒的に面白い。あの暴力的なまでの、セリフ、セリフ、セリフ……の洪水。どう役者は演じるのだろう。そして、出口典雄氏の演出は…。とても興味深い。
ちなみに、オレの友達の松木良方(鳥やすのマスター)は、シェイクスピア版では、亡き父王とクローディアスの2役、太宰版ではポローニアスを演じる。
興味ある人はぜひ見て欲しい。特に、2月13日から17日までの太宰版の方ね。グローブ座だ。
『千と千尋の神隠し』。さすがです。宮崎駿。いろいろあるだろうけど、オレは、あの巨大な湯屋の描写と、海の上を走る電車の情景の、この2つにまいってしまった。逆に言うと、この2つだけなんだけどね、でも、この2つで充分。要はイマジネーションだ。『ハリーポッター』がつまらなかったのは、イマジネーションの貧困さにつきる。『千と千尋』には、イマジネーションの世界に圧倒され、連れ去られる快感がある。はるかにすばらしい映画です。

2001.12.29(土)

7、8年来恒例の、録音スタジオ=シネ・キャビンの忘年会。スタジオ・オーナーの中村さんの心意気と思いで今年もやってもらえた。つまりは、ピンク映画界全体としての忘年会でもあるのだ。オレにとっても、今年初めての忘年会であった。12月は忙しかったからねえ。

2001.12.31(月)

いく日か前までバタバタと仕事していたので、今年最後の日という意識もあまり持てなくて、ちょっとさびしい。
でも、デートもしたし、「猪木軍VSK1」も見れたし、初詣でにも行けたし、そこで屋台のおでんと焼とりも食べることが出来たし、それから、鳥やすでバーンと盛り上がって朝まで呑み続けることが出来たし、ま、いいか…。

2002.1.1(火)

2002年か…。今年もよろしくお願いします。

2002.1.4(金)

オーピー映画恒例の新年会。昼の2時頃から酒を呑み続け、おひらきとなった夕方の5時頃にはもはやかなりの酩酊状態。それから森山と高円寺に移動して、高円寺「宮川」で音楽の大場一魅と会い、森山組の音楽打ち合わせ。それから「鳥やす」へ移動。ひたすら呑み続けたのだった…。

2002.1.7(月)

五代暁子、そして彼女の息子つぶら(4才の男の子)とディズニー・ランドへ行く。もっとも今日はディズニー・ランドではなく、隣にある葛西臨海公園で日の暮れるまで遊んだ。いつか乗りたいと思っていた日本一という観覧車にも乗ったし、水族館にも行ったし、海に沈むすばらしい夕陽も見れたし、楽しい一日であった。夜はディズニーリゾート内の東京ベイホテル東急に泊まる。

2002.1.8(火)

今日がディズニー・ランド本番。朝10時から夕方5時までたっぷり遊ぶ。オレはディズニー・ランドに来るのは十数年ぶりで2回目。前の時は、何に乗るにも長時間待たなくてはならず、並ぶの大嫌いなオレはヘイコウし、2度と来るかと思ったものだが、今回はさすがに正月のあとの平日、ほとんどの乗りものが5分程度並ぶだけでスイスイと乗れてしまった。一番待ったので15分程度であった。何でも一年で一番入場者数が少ない時期らしいのだ。オレの予想では、あとはゴールデンウィーク明けと、夏休みあけだろうな。みなさんもそういう時期をねらって行くといいと思います。ま、そんなわけでタップリとタンノウ出来たのだが、子供と一緒というのは疲れるもので、帰りの電車ではヘロヘロになり眠ってしまったよ。
でも、久しぶりにすべてを忘れて楽しい2日間であったよ。

2002.1.9(水)

夜、新宿ピカデリーで『スパイ・キッズ』を見る。たいして面白くなかったなァ。それから高円寺鳥やすで軽く呑んで帰宅。明日の初号にそなえる。

2002.1.10(木)

新東宝作品『OL性告白 燃えつきた情事』初号試写。
東映化学の地下試写室で(いつもの3階の試写室は1月中は工事のため使えず、いつもはラッシュを見る時だけ使ってるトコ)夕方5時半から開始。4時半頃、3階の応接室に行くと、もうすでに10人以上集まっている。佐々木麻由子引退ピンクということもあってか、5時半近くになると、その数、40数人にまでふくらむ。ところがなかなか始まらない。なんでも音響トラブルがあったようで、音が出ないという。待つこと1時間。回復の様子もなく、今日はスクリーンで見ること出来ないのではないと、こんなにいっぱいの人が来てるのに…と思ったところで、撮影の志賀ちゃんが一言。「東京現像所でやってもらえば」。その手があったかと、東映化学の担当のS氏が東京現像所に問い合わせると、OKの返事。さっそく東映化学から東京現像所への40数人の大移動となったのだった。もちろん東映側がタクシーをチャーターしてくれてね。
調布にある東京現像所の試写室に入ってみてビックリ。そのスクリーンの大きさ、そして座席の立派さに。こんなすごいとこでやれるなんて、これはひょっとすると逆にラッキーだったんじゃないか?
S氏、オレ、麻由子嬢と簡単にアイサツをして、いよいよ試写の始まりとなった。7時をちょっと過ぎて、1時間半の遅れであった。
62分後、映画が終わり、場内が明るくなった。新東宝の担当プロデューサーの福ちゃん、そして営業の森部長から握手を求められた。あんなこと初めてであった。
それにしてもすばらしい試写室であった。大きくて鮮明なスクリーン、そして、迫力のある音響。オレは久しぶりにスクリーンって、生きている、生きものだと思った。
そんなとこでやれて、オレは、麻由子は、そして出来上がった映画はなんて幸福なヤツなんだろう。
そうか、きっと「映画の神様」が、麻由子さんのピンク引退を祝福して、オレたちにちょっとした幸運を与えてくれたのかも…?
2月1日から11日まで新宿国際でやってます。ぜひ見に行って下さい。そして、映写効果の劣悪な新宿国際だけど、神様の微笑んだ映画を体感して下さい。お願いします。
打ち上げ。最後は朝の7時まで後藤大輔宅で呑んでいたのだった。


「OL性告白 燃えつきた情事」(新東宝)

2002.1.11(金)

夜、新宿ピカデリー『アトランティス』見る。金をかけた分、どうだ、すごいだろうと言ってるだけの映画に見えた。『千と千尋』と比べると、魂の深度が違いすぎる。
それからゴールデン街「if」。客はオレ一人だった。マスターの佐々木共輔と3、4時間楽しくしゃべっていると(昨日からのテンションが続いているオレ)、ひょいと、下元哲と神戸がやってくる。下元組の打ち上げの流れだ。久しぶりに下ちゃんと呑むことになり、オレは益々ハイテンションに。それから2人で翔子の「寺小屋」、どこかのラーメン屋と呑み明かす。オレは久しぶりの、じゃないか、またもや酩酊状態になる。朝の7時頃に下ちゃんと新宿駅で別れたのに、家に帰り着いたのは、昼の1時。そう、実に久しぶりに、東京⇔高尾を何度も往復してしまったのだった。

2002.1.12(土)

森山組『桜井風花 淫乱堕天使』アフレコ。夜の9時頃、顔を出す。11時頃まで見て、それから終了した役者河村栞と「if」へ呑みに行く。実は樹かずの紹介で女優志願の女のコと会うためもあってね。
そのコと会ったが、いっぺんで気に入ってしまう。1年ほど前に、オーピーの小川組に2本ほど「小山りかこ」という芸名で出たらしいのだが、それからはAVとVシネばかりで、やはり芝居の多いピンクに出たいと言う。オレは2月に入る予定のオーピー映画のある役、このコでどうかなと頭で計算。ンー、いけそう。このコのよさは、まず姿勢がいい。次に、目線がハッキリしている。そして、何よりも、芝居ヘタだけどやりたいんです好きなんですという、その気持ね。顔も悪くないし、体も良さそう。性格も大らかそうでいい。出来ればこのコでやりたいものだ。
深夜3時半頃「寺小屋」で呑んでると、森山から「今、終わりました」とTEL。シネキャビンへと戻る。朝の7時頃までお疲れの酒を少々呑むが、翌日の昼からラッシュなので、そのままキャビンに泊まる。意識的にキャビンに泊まるのは初めてであった。

2002.1.13(日)

12時から森山組のセリフ入りラッシュ。音楽の一魅も見に来る。
ホッとした。役者の声が弱々しい、全体的に雰囲気が重く暗いと思った現場までのマイナス点がだいぶアフレコでカバー出来てると思った。つまり、ピンクの利点をいかしたのだ。ウン、これでいける。大丈夫だと、森山にも自分にも言い聞かせる。

2002.1.15(火)

森山組ダビング。午前中に少し顔を出し、あとは銀座へ行き映画を見て時間をつぶす。日劇東宝で『ゴジラ・モスラ・キングギドラ』。日比谷映画で『ムーラン・ルージュ』。2本ともにすばらしい映画で、久しぶりに「映画」を堪能した。
『ゴジラ』。去年の手塚監督版の『ゴジラ』に続く傑作。さすがだ、金子修介。特に、ゴジラの登場シーンのすばらしさときたら、まさに「!」だ。他にも、怪獣たちの戦い模様の面白さや、宇崎竜童親子=親子愛の描写など見どころ多し。ウン、すばらしい。
『ムーラン・ルージュ』。ミュージカル嫌いで、MTVまがいの細かいカッティング嫌いのオレがはまったんだから、これはいい映画に決まっている。「この世で最もすばらしいことは、愛し愛されること」ということだけを、ひたすらパワフルにうたいあげているだけの映画だけど、そのパワーに圧倒されてしまった。ニコール・キッドマンの美しさ、ユアン・マクレガーのうまさ−役者もすばらしい。うん。まいったぜ。
映画を見て、シネキャビンにもどると、ちょうどラスト・ロールのダビングが始まる時という、こちらも理想的な展開。
終了11時過ぎ。それからオレと森山は高円寺の鳥やすへ行き、朝まで気分よく呑んだのだった。

2002.1.18(金)

森山組『桜井風花 淫乱堕天使』(オーピー映画)初号試写。森山組が5時半からだったので、その前にオレの『OL性告白 燃えつきた情事』も、もう一度試写する。前回来れなかった人も含めて十数人と意外な盛況であった。
森山組初号。さすが処女作。四十数人の関係者と客で狭い試写室は満ぱい状態。森山は当然、生きた心地がしなかっただろうが、意外なことにオレも緊張してしまって、そんな自分に驚いた。去年、プロデュースした後藤組の時は全然そんなことなかったので、その変化にもオドロク。やはり苦節10年、オレの助監督としても、のべ7、8年やったヤツなので、そのへんの思い入れもあるのだろう。まるで、わがことのように緊張してしまったのだった。といって、自分の時には全く緊張もしないんだけどね。
試写、終わる。オレもそんなに冷静に見れない。あとは見た人がどう評価してくれるかだ。封切、5月の中旬になります。ぜひ見てやって下さい。(あっ、オレの『燃えつきた情事』もよろしくね。)
打ち上げ、一次会、二次会と盛大に盛り上がり、最後は恒例の後藤大輔宅で朝まで呑んでいたのだった。