2003.1.21(火)

新東宝作品『ノーパン秘書 悶絶社長室』ダビング。
手応えバッチリでノリノリの作品の時はダビングも快調だ。大場一魅の音楽もいつもどおりのすばらしい出来で映像をグングンふくらませてゆく。この音の迫力が今のピンク映画館では、ほとんど絶望的に伝わらないのが今さらながら悲しい。
終了、0時前。ま、いつもどおりか。
それからは、いつもどおりの飲み会となり、朝まで続くのだった。

2003.1.22(水)

森山組の役者・打ち合わせ。
森山の3本目となるオーピー作品。
タイトルは『美人保健婦 覗かれた医務室』。
オレはプロデューサーにして、今回は珍しく出演もしている。河村栞とからむという本格的な役だ。
午後の2時から衣裳合わせ、本読みと進み6時前には終了。
それから飲み会へと突入。2次会で、久々に佐野和宏の店「バンブーハウス」へ行く。しかし疲労コンバイのオレは、珍しく最終電車で帰ったのだった。

今回の森山組のホンについてだが、脚本はこれがデビュー作となる黒沢久子さんという女性の手によるもの。このホンがなかなかいいのですよ。
会社の医務室を舞台に、そこに出入りする人々の織り成す悲喜こもごも。
会社の医務室というリアリスティックな空間から、一人一人が自分探しの旅に羽ばたいてゆくという展開が、とても映画的でナイスなのです。
人物もキャラが立ってていいのだ。特に中心の女性3人は、さすが女性ライターと思わせるほどいい。リアルだ。3人それぞれに黒沢さん自身が投影されているということなのでしょう。
屋上の狂人など、一歩間違うと鼻持ちならないシチュエーションでさえ、微妙なバランスで成立し、映画のヘソたらしめている。
今風の感覚とでもいうのだろうか、このホンにはステキに映画的な仕掛けがあちこちに見られる。一言で言うと、難しいホンだ。演出のウデが問われる。
森山にとっては正念場だ。
2月2日クランクイン。

2003.1.24(金)

新東宝作品『ノーパン秘書 悶絶社長室』初号試写。
27日の予定が急に24日にくり上げたためにメインの役者6人のうち3人が来れなくなるというさびしい試写会になるはずであったが、これが脚本デビューとなる森角の劇団の役者が20数人もやってきて、試写会としては大にぎわいの盛況ぶりであった。
今回の作品、オレも初めて完成品見たわけだが、一言で言って大変面白いと思う。うまくいったなァというのがオレの実感。
役者がみんないいなんてめったにあることじゃない。その「めった」があったのだ。面白くならないわけがない。
ドタバタのバカバカしさスピード感で走り抜け、最後にはいきなりさわやかな風が吹き抜けていくかのような作品にしたいというオレのねらいどおりのものになったと思うのだ。
快心の一作だ。これで前作『熱い肉体、濡れた一夜』(オーピー)の不調を完全にバンカイしたね。でも、公開順はこっちの方が先で、失敗作があとなんだよね。トホホ…だ。
映画って、アンサンブルだと、あらためて思わされた映画でしたね。だからこそ、今日見れなかった3人の俳優がかわいそう。何とか見れる機会を作ってあげたいものだ。
打ち上げ、大いに盛り上がる。オレは翌日に上野傑作でのトークショーをひかえていて、最終電車くらいで帰るつもりだったが、そうもいかなくなり、結局、翌朝の8時まで飲んでいたのだった。

2003.1.25(土)

上野世界傑作劇場での『恋する男たち』公開記念トークショー。
オレは結局、朝の9時から昼まで3時間眠り、それから上野へ行ったのだ。酒は全然抜けず、かなりフラフラ状態ね。
2時から、ゲストの正一、小川(助監督)と簡単な打ち合わせをし、3時半から『恋する男たち』を見て、5時からトークショー開始となる。
それにしても、よく入っていた。満席はもちろん、場内のカベにもお客がギッシリで、廊下へのドアが開きっぱなしというすごいことになるほどの盛況ぶり。なんなんだ、コレは?!
『恋する男たち』久々に見る。一番前というか、スクリーンの真横から一時間立って見た。
いい映画だ、これは。女性中心に話が展開する第一話『弟の恋人』。赤ん坊中心に展開する第二話『あいつの子供』。2作とも、とてもリアルでユニーク。今までにない視点でゲイの世界を描いたといえる。
で、トークショーだ。
酒が全然抜けてないオレのリラックスしたトークがよかったのか、おだやかな表情でじっと集中して見入ってこれたお客さんがよかったのか、(もちろん、その両方なのだが)、実に楽しい、ステキな1時間となったのだった。
オレも今までにずい分この手のトークショーやってきてるが、いつ以来だろうと思えるほど楽しかったね。
大成功といえるだろう。
ショーのあとは、打ち上げ。オーピー映画の担当の方2人と、オレ、正一、小川の5人で中華をごちそうになる。それから、オーピーの富田さんと2人で飲み、色々と情報交換。最後は一人で阿佐ヶ谷のスターダスト。ジャズに酔い、バーボンに酔い、またも、時間のない世界へ行ってしまうのだった。

2003.1.27(月)

俳優の牧村耕次が新しく始めた飲み屋「串上げ屋」に行く。本格的な関西風串揚げ。うまい!うそじゃないです。うまい!です。アルコールダメな人でも楽しめます。行ってやって下さい。神田南口、肉のハナマサの向かいです。すぐ分かります。ヨロシク!

2003.1.28(火)

五代暁子と一緒に借りてる世田谷のマンションの引っ越し日が決まる。2月9日だ。で、今日は次の事務所兼倉庫のアパート探し。物件も少なく、今日決めるしかないという感じなので、新しいアパート決める。
それから、シネマ下北沢で『異形の恋』を一緒に見る。それにしても、何なんだ、コレは!?−という映画だった。ま、オレはほとんど眠ってしまったけどね。
夜は、オーピーの次回作の打ち合わせ。次は以前にやった『美人秘書 パンストを剥ぐ』に近い世界を、もっと映像的な遊びを多くしてやってみたいなというのがテーマ。

2003.1.29(水)

森山組、役者リハ。

2003.1.30(木)

次回オーピーの初稿上がる(仮題『DENPA−KEI』)。さすが五代。第一稿にしてほぼ狙いどおりのものに仕上がってくる。あとは演出的な問題ね。どこで撮るか?とか、どう撮るか?とか、キャスティングとか…。
夜は、下北のスズナリで今井事務所15周年記念公演『アシバ』(作・演出 水谷龍二)見る。すばらしいです。やられました。一言で言って、わざわざ見に行く価値のある芝居。ま、水谷さんの芝居なので、それなりに面白いだろうとは思って行くわけだが、これほどのもの見せられるとはね。まいったな。これだから、芝居ってヤツは、やっぱり、あなどれない。芝居をやる快楽、それを見る快楽、そしてそこに出現するものは−ひとつの宇宙なのだ。(そうそう、役者の新納さん見なおしちゃいました。絶品でした)。
数日前、新東宝の後藤大輔組が急遽決まり、封切は3月下旬ということで(最初はもっとあとの話だったのだ)、いきなりバタバタしてきているのだが、後藤ちゃんの中にはすでに腹案があり(仮題『牛の嫁』だって)主演は、今井事務所の中村方隆さんで行きたいということで、観劇後は、後藤ちゃん、方隆さん、オレで簡単な打ち合わせ(後藤ちゃんは2日続けて『アシバ』を見たそうだ。つまり、そういう芝居なのだ)。ま、飲んでただけですけどね。方隆さんは途中で帰ったが、かわりに途中から、同じく『アシバ』見に来てた劇団LRP座長の谷津かおりさんも参加してきて、ついには、3人で朝まで飲んでいたのでした。

2003.1.31(金)

一週間前、初号やったオレの『ノーパン秘書 悶絶社長室』だが、急に日程が変わったため、メインキャスト6人のうち3人がこれなくなって申し訳ないことをしたと思っていたのだが、何とかその3人にも見てもらいたい、同じ感激を味わってもらいたいと、東映ラボにお願いして、今日2度目の試写会となる。
午前11時開始。朝の6時か7時くらいまで飲んでいたのでちょっとつらいが、もちろん飛んで行く。
前回見れなかった役者3人(本多菊次朗、酒井あずさ、柏木舞)と、キャビンの中村さん、新東宝の福ちゃん、そしてオレの6人の試写会。
オレ、泣けちゃったよ。70本以上ピンクを撮ってきて、自分の作品の試写で涙が出たなんて初めての経験だ。おバカ映画で、別に泣くような映画じゃないんだけどね。何なんだろう、あれって? みんな、ありがとう−て気分が今回は特に強かったせいなのかね?
試写のあとはファミレスに入って、一気に打ち上げとなる。昼から3時くらいまで飲んですっかりいい気分になる。と、4時から国沢組の試写があるというではないか。見せてもらう。大変そうな「銭湯もの」でした。
そして、そのまま打ち上げへ。こうしてオレは、昼から飲み続けることになったのだった。

2003.2.1(土)

明日から、森山組オーピー作品『美人保健婦 覗かれた医務室』クランクイン。

2003.2.2(日)〜2.6(木)

森山組オーピー作品『美人保健婦 覗かれた医務室』撮影。
最初は、4日撮りの予定であったが、撮影初日にして、5日かけざるをえなくなる。とにかく、最近ではまれにみる大変な現場となったのだった…。

初日。オレも今回は久しぶりに役者としての出番もあり、朝7時半集合。今日はシーン数も多く、最初から時間はかかるだろうと思っていた。それでも初日から徹夜するわけにもいかないし、スタジオの料金の問題もあるので、遅くとも、深夜の1時、2時くらいまでには、予定のシーン撮り終ろうとは森山とも話していたし、森山もそのつもりですと言っていたのだったが…。
オレの出番は4シーンのみ。ところがだ、最大14時間待ちなんてのもあって、オレの出番終ったのが、なんと翌日の昼過ぎであった。結局、初日で予定していたシーンが全部終了したのが、2日目の夜の6時。当然、2日目の6時頃までの予定は何も出来ず。しかも、この間、スタッフは食事以外は一度の休みもなしというとんでもないことになってしまったのだった。
何のことはない。こんなことになるのだったら、最初から5日撮りのスケジュールを組んでやるべきだったのだ。ま、誰が悪いとは言わないが、甘かったと言うべきだろう。

2日目。そんなわけで2日目の終了、翌日の明け方の4時頃。翌日の集合、朝の7時半。完徹が2日続くようなものだ。

2003.2.4(火)

夕方、森山組の現場に顔を出す。今日は朝から高円寺の駅前のビルの屋上を借りてのロケ。その屋上が、とてつもなくいいんだな。オレは初めて見たのだが、あまりのロケーションのよさにビックリ! あたかも、この撮影のために最初から用意されていた場所という感じ? オレも経験しているが、こういう時って、はっきり言って傑作が出来る。ちょっと楽しみになってきた。
夕方6時、オーピーの次回作に向けての女優面接。AVをやってるコで、名は美奈。小悪魔顔のグラマーギャル。石動三六氏の紹介で会ったのだが、やる気があるということで、それではやってもらいましょうということになる。
夜は五代宅で次回オーピー作品の打ち合わせ。

2003.2.5(水)

次回作へ向けてのスケジュール押さえ、キャスティング等々…(3月2日クランクイン予定)。

2003.2.6(木)

セメントマッチの新しいアパートが決まり、今日はその契約。場所は前と同じ梅ヶ丘だ。
夜は五代と打ち合わせ。その最中、森山組クランクアップとの連絡入る。ホント、ごくろうさんだ。とにかく無事に終ってよかった。

2003.2.8(金)

3月にクランクイン予定の後藤組の初稿がFAXされる(またプロデュースするのだ)。一読。面白い。傑作だ。あとはキャスティングだァ…。
こうしてオレのカバンの中には、森山組(黒沢久子脚本)、後藤組(後藤大輔脚本)、そしてオレのオーピー作品(五代暁子脚本)と、タイプの違う面白いホンが3つも並んでいる。なんか、ワクワクするよね。

2003.2.9(日)

セメントマッチの新しいアパートへの引っ越し。

2003.2.11(火)

次回オーピー作品に向けての最初の演出部の顔合わせ。今回の演出部編成は、チーフ、セカンドにオレの組1年ぶりとなる田中、笹木(田中はオレの組、初チーフ)、サードに新人の柴田くんという顔ぶれ(柴田くんは、荒木組に2本ついたそうだ)。ま、よろしくということだ。クランクインは、3月2日予定。
仮題は『DENPA−KEI』。
キャスティングは、男の主役に、オレの組連続5本登場の本多菊次朗。女優陣は、望月梨央、美奈、紅屋トミ子…といっても誰も知らないでしょう。そう、今回は3人ともピンク映画初出演という、ゴーカというか、ちょっとコワイというか、そういうキャスティングになったのだ(ちなみに、望月と美奈は現役のAV嬢。トミ子は、以前この日記でも触れたことのある、謎のパフォーマンス・ユニット=母レモンの片割れ、母レモン水子のピンク用芸名だ)。3人がみんな新人て、オレの70数本のピンク監督歴の中でも初めてのことだ。なんか、ワクワクするよね。
そうそう、他には、おなじみ樹かず、神戸顕一、色華昇子、そしてもう一人が、母レモンの片割れ、母レモン花女こと吹雪桜子だ。

2003.2.12(水)

森山組オールラッシュ。
オレの組の決定稿上がる。さっそく印刷所へ。
ちょっと時間があいたので新宿東急でリュック・ベッソン製作脚本の『トランスポーター』見る。例によって、何とも大味な活劇で退屈な映画。ベッソン、もう全然ダメだね。

2003.2.13(木)

演出部打ち合わせ。

2003.2.14(金)

森山組アフレコ。オレも出番があるので、ずっとシネキャビン。合間をぬって、オレの組の打ち合わせ。オレのアフレコ、9時頃終わる。それから近所の飲み屋で、後藤組の打ち合わせを、後藤ちゃん、撮影の飯岡ちゃん、そしてオレ(同じくアフレコ終了した河村栞もいたが)でする。深夜12時終了、オレと飯岡ちゃんはキャビンにもどる。
アフレコ、深夜1時半終了。2時からセリフ入りのオールラッシュ。3時過ぎに終了。それからまたも(オレと飯岡ちゃんだけど)、飲み会に突入。監督の森山は技師さんを車で送っていき不在。オレ、飯岡、ヒロインの麻木涼子(彼女、いいです)、そして助監督、キャビンの中村さんというメンツ。
今見たばかりの森山の映画が酒のつまみ。朝8時頃お開き。お疲れさんでした。